生きてる 生きている
その現だけが ここにある
出典: サンサーラ/作詞:山口卓馬 作曲:山口卓馬、酒井陽一
ここでは、「人間の生」すなわち「人生」が歌われています!
「生きている」というのは、普段あまり私たちが意識しないような当たり前のことです。
それを繰り返し歌うことで、ああ、人間って生きているんだ、ということを改めて深く気づかせてくれます。
2行目の「その現(うつつ)〜」とはどういう意味なのでしょうか。
「ゆめうつつ」という言葉があるように、ここでは「夢」と対比して「現実」が歌われているのです。
この世界に生まれて、ひとりの人間として生きてゆくこと、それは「現実」以外の何物でもありません。
あたりまえに聞こえることですが、忙しく毎日を生きる私たちはときどき目の前のことに囚われすぎてしまいます。
そしていつの間にか、「生きている」ということについて忘れてしまいがちなのではないでしょうか。
このサビを聴くと、いつもはっと人間の「生」すなわち「生きている」ということに気づかせてくれます。
「サンサーラ」とは
生きることは サンサーラ
出典: サンサーラ/作詞:山口卓馬 作曲:山口卓馬、酒井陽一
印象深いサビのこのフレーズは、どう解釈したら良いのでしょうか?
本項で解説していきます。
「サンサーラ」とは、まずどんな意味でしょうか?
輪廻(りんね)とは、サンスクリット語のサンサーラに由来する用語で、命あるものが何度も転生し、人だけでなく動物なども含めた生類として生まれ変わること
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/輪廻
インドの伝統的な死生観である、「輪廻」を意味するんですね。
例えば、いま「人間」として生きているあなたが、死んだあと生まれ変わって鳥になってまた「現世」を生きる。
というようなことです。
たしかにいま、人間としてあなたは生きている。
死んだあとも魂だけは不滅で、また繰り返し何かに生まれ変わって生きてゆく、というのが「サンサーラ」という言葉の意味なのです。
さきほどのサビの意味が、少し見えてきましたね。
次項では、1番の歌詞から順に「サンサーラ」をより深く掘り進めていきます。
「サンサーラ」の1番の歌詞解釈
曲名になっている「サンサーラ」の意味を紐解いたところで、1番の歌詞をみていきましょう。
ポイントは、「川の流れ」
川の流れは 時を超えてゆく
時は流れゆき 人を超えてく
出典: サンサーラ/作詞:山口卓馬 作曲:山口卓馬、酒井陽一
ここでキモになってくるのが、「川の流れ」です。
川というものは、ずうっと流れてゆくものです。
そして、その流れゆく川は時を超え、人を超え、どんどんと流れてゆきます。
そんな観念的で奥深いイメージを歌った歌詞なのです。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/方丈記
鴨長明が「方丈記」という書に記した有名な言葉です。
いちど浸かった水に、人は2度と浸かることはできません。
なぜなら、川は流れゆくものだからです。
そう、そんな「川の流れ」を「時」と「人」、すなわち「人生」に重ねて歌っているのです!
構造的には先人の本歌取りを引用しつつ、万物流転の深さと壮大さを川の流れに喩えて歌い込んでいるのです。
ある意味では反則ともいえる本歌取りですが、逆にいえば先人の知恵を拝借してまでいい歌を作ろうという気概が見て取れます。
同時にそれをもって、「生と死」の根源へと迫っていこうという決意表明になっているのではないでしょうか。
夢の正体とは
遥か昔に 誰かが見た夢
僕たちに宿り
明日へ向かう
出典: サンサーラ/作詞:山口卓馬 作曲:山口卓馬、酒井陽一