タイトルを回収します。

英文は君の両手を挙げてという意味です。

この言葉には君の存在を僕に教えて欲しいなどの意味が裏に潜みます。

静寂を打ち砕こうというのは今日こそ思い切り遊ぼうという意味でしょう。

もちろんこれまでの歌詞は語り手の僕の独白でした。

君の言葉は一切登場していません。

君も何か言葉を発して会話しようという意味かもしれないです。

「Raise Your Hands」の歌詞はとにかく君についての描写が少ないでしょう。

ダンス・ミュージックですから細かなドラマを展開する訳にはいきません。

あくまでもリスナーが踊ることを念頭に書かれた歌詞です。

ダンスの邪魔になるような考えることが必要な歌詞は省かれるのでしょう。

社会規範への不信感というもの

Who knows! そんなくだらないruleは

出典: Raise Your Hands feat. Such/作詞:PSYQUI 作曲:PSYQUI

英文は誰が知るかという捨鉢なセリフです。

僕と君を縛っている常識や法則について反旗を翻す場面になります。

「Raise Your Hands」の歌詞はこうした反骨精神こそが要になっているのです。

僕は君の固定観念を破壊しようと試みます。

一方で社会全体の法や規律への背反をも宣言するのです。

法と規律では実際の在り方が大きく違います。

ここでは和製英語の「ルール」こそが一番しっくり来るでしょう。

法となると類語の「law」となるはずです。

つまり立法府で厳密に決められて行政で取り締まられる法ではないのでしょう。

目に見えない規範や決まりごとへの抵抗を表現します。

常識に変わって僕が対置するものは何でしょうか

もう少し先を見ていきます。

閃きにこそ賭けて進め

立ち止まって考える暇は
There's no time
イマすぐ so runaway

イマすぐ so runaway

出典: Raise Your Hands feat. Such/作詞:PSYQUI 作曲:PSYQUI

常識の代わりに僕が対置したものは感性のようです。

熟慮している暇などないよと歌っています。

感性の閃きを疎かにして考えることによって本能のようなものを失ってしまうことを怖れるのです。

閃きと熟慮のどちらに頼るのがいいのかはケース・バイ・ケースでしょう。

しかしPSYQUIが賭けるのはあくまでも閃きです。

新進気鋭のトラックメイカーならではの閃きを最優先する姿勢を歌詞で表明します。

音楽の創作というものは面白いものです。

即興演奏に似た創作姿勢でクオリティの高いものを送り出すミュージシャンもいます。

一方で熟慮を重ねて計算尽くしで作品を発表するアーティストもいるのです。

この場合は正解というものはありません。

馴染んだやり方で好きな方法を選ぶ自由がアーティストにはあります。

PSYQUIは直感に従ってここですぐに逃亡することを決意するのです。

常識や規範にがんじがらめになっている状況からの逃亡になります。

逃げること自体を常識や規範によって咎める人がいるでしょう。

そうした社会総体からも逃げ出そうと企てるのです。

それこそ誰が知ったことかという精神で邁進します。

反復と恍惚

Let me high
駆け抜ける freeway
You don't stop
そのままで groovin' night
貪欲だっていいじゃない 今日は
Never let you go
ココロ決めな

出典: Raise Your Hands feat. Such/作詞:PSYQUI 作曲:PSYQUI

リフレインの歌詞になります。

かなり細分化しながら読んでいった箇所をまとめてご紹介し直しましょう。

この箇所以降はずっとリフレインが続きます

エレクトロ・ダンス・ミュージックは産声を上げたときから反復を基本とするのです。

ドイツのロック・バンド「Neu!」がこの反復を得意としていました

パターン化されたサウンドを反復することによって恍惚が得られることを発見したのです。

「Neu!」は独自のロックにシンセサウンドを導入したバンドでもあります。

中心人物のクラウス・ディンガーはテクノの始祖クラフトワークでドラムを叩いていました。

PSYQUIもこうした伝統を引き継いで反復という手法にこだわります

サウンドの傾向は色とりどりに変化させますが、歌詞や主旋律に当たるメロディは反復するのです。

ただただシンプルに踊ることに専念してもらうためでしょう。

そうなると足を止めて歌詞を深く読み込む記事自体が野暮になるでしょう。

ここでは考えるよりも感じることを先行させます。

僕の意志の強さと絶対的な自信によって導こうという印象が歌詞からうかがえるでしょう。

PSYQUI自身の閃きにどこまでもついてゆく姿勢というのがリスナーにも求められそうです。

逃亡兵の闘い

熱いメッセージに驚く

Raise your hands
ブチ壊せ silence
Who knows! そんなくだらないruleは
立ち止まって考える暇は
There's no time
イマすぐ so runaway

出典: Raise Your Hands feat. Such/作詞:PSYQUI 作曲:PSYQUI

こちらの箇所もリフレインだと気付かれるはずです。

まとめてご紹介すると新しい光に照らされて発見があるでしょう。

僕の中には燃えたぎる義憤のようなものが溜まっているようです。

ふつふつと湧き上がってくる思い・想いをまずは君に理解してもらおうとします。

僕は誰よりも君に同調して欲しいのです。

一方で社会全体と対峙して闘ってみせるという姿勢も見せます。

その闘い方は逃亡兵のようです。

逃げることによって生き延びるという闘いをし続けます。

逃亡兵には落ち着いて考えているような暇などありません。

ひたすら遠くに逃げるように高速道路でクルマを走らせます。

常識や規範によって自分の身ががんじがらめにならないために逃走線をひた走るのです。

Suchの声が僕の思い・想いに適度な抑制を加えて表現します。

しかし歌われている内容は大音量で奏でられるパンク・ロックのアティテュードと重なるものです。

若いアーティストがこうした熱い歌詞を書いてくれるのは頼もしいことでしょう。

僕と君は運命を同じくする