私たちは魂の織物
完全な孤独などありえないから
So many words.
So many tears.
So many smiles.
And so many hearts.
We are up held by many feelings.
So you'll never forget that.
出典: MAGIC/作詞:HAWAIIAN6 作曲:HAWAIIAN6
「数え切れないほどの言葉たち
数え切れないほどの涙
いっぱいにあふれた笑顔
そして大勢の人の心よ
僕たちは色々な感情によって支えられているね
だから君もそのことを決して忘れないでいてよ」
「MAGIC」のサビの歌詞です。
歌詞の情報量が非常に多いので2回に分けてご紹介いたしましょう。
私たちの心の内側には様々な感情が渦巻いています。
その感情をつぶさに眺めてみると言葉にならない言葉、泣きたくなる思い、笑顔になれることがあるのです。
そして一番に大事なことは私たちの心の内側には多くの人の影響があることでしょう。
孤独であることを気にしている私たちですが、心の中をきちんと見ると様々な人の顔を思い浮かべられます。
私たち人間存在は生まれた瞬間から母親の庇護のもとにいるのです。
家族という最小限の社会の中の一員として私たちは生み落とされます。
人間存在は生まれながらにして社会的な存在なのです。
この宿命こそが私たちをこの先もずっと社会に繋ぎ止めてくれます。
孤独死などの辛い死を迎えた人であっても公的なサービスの弔いによって葬られるのです。
社会の紐帯から私たちが逃れられることはありません。
他の誰かのために特別なことをする必要はないでしょう。
しかし社会というもの、人と人との繋がりというものまで捨て去ることはできないことを思い出して欲しい。
「MAGIC」はサビにこんな歌詞が響くのです。
タイトル回収するラインを読んで
We have the love and the freedom.
We have a dream.
And we have a chance.
Hope and despair are waiting for you.
But still our lives are shining just like magic.
出典: MAGIC/作詞:HAWAIIAN6 作曲:HAWAIIAN6
「僕たちには愛というものがあって自由だってあるのさ
僕たちには夢もある
そして僕たちはチャンスをつかめるんだ
希望も絶望も等しく君を待ち構えている
だけど僕らの人生や生命というものは未だに魔術のように輝き続けているよ」
ここで原文をご覧いただきたいのですが愛と自由に定冠詞の「the」がついています。
唯一の価値であることを強調するものでしょう。
訳出は一般的な形にいたしました。
それでも愛と自由がHAWAIIAN6にとって特別な価値を持つことは大事な点です。
愛こそ私たちに必要なものはありません。
そのためには自由な身分であることが大前提になります。
誰にとっても自由に愛を謳歌できる社会は理想的なものでしょう。
しかし実際の社会は生産性のないものを排斥する傾向があります。
またHAWAIIAN6は夢や成功へのチャンスについても歌うのです。
希望があり、それを実現する機会が保証された社会はとても大切なものでしょう。
とはいえ実際の社会がそのように私たちに寛大かどうかは疑わしいものがあります。
しかし「MAGIC」ではネガティブな現状を指弾したりはしません。
まず大切な価値は何かを見極めてゆこうという思いだけが大事にされるのです。
一方で人生を夢心地で把握していると解釈すると間違います。
人生には希望も絶望も同様に君を訪れるとリアルな現状把握をきちんとしているのです。
こうしたきちんとした現状認識をしたうえでさらに畳みかけます。
私たちの生命というのは「MAGIC」のようであると歌うのです。
サビの最後でようやく「MAGIC」というタイトルを回収します。
魔術という訳語を当てましたが、実際は英単語の「MAGIC」をそのまま残しておきたかったです。
このワードは様々な解釈が可能ですし、その響きだけで心を躍らせられる不思議な魅力があります。
共感力は社会の基礎
君に伝えておきたいことがあるから
Never be mean or lose your sympathy.
'Cause you are not a victim.
Time will not solve just anything.
'Cause change is up to you.
出典: MAGIC/作詞:HAWAIIAN6 作曲:HAWAIIAN6
「不親切になったり、共感力を失うのは絶対ダメだよ
なぜって君は犠牲者なんかじゃないんだからね
時間というものだって何ごとも解決できはしないのさ
なぜって変革というものはあくまでも君の責任によるものだからね」
これまで抱擁するように優しかった歌詞のトーンが若干ですが変化します。
私たちリスナーへの貴重なアドバイスをしてくれるのです。
そこには説法師のような風格がある言葉が登場します。
意地悪になったり他人の悲しみや歓びに対する共感力を失うことは絶対にしてはいけないと戒めます。
ここでは共感力と訳出しましたが、思いやりという柔らかい訳も可能でしょう。
何か大きな悲劇を背負っているような人間であったなら意地悪になるだけの事情があるかもしれません。
しかし普通に生きてきただけの私たちの多くはこうした悲劇にめぐりあった訳ではないでしょう。
ならば他者に対して攻撃的になったりするのは根拠のないことです。
一番大事な価値について歌おう
他者に優しくあることを自覚しながら生きることで社会はその分だけマシになります。
特に他者への共感力というものはいまの日本社会で一番欠けているものかもしれないのです。
私たちはおもてなしの心を持つと世界に向けて宣言しました。
本当にこの言葉が生きているのだとしたら、もっと生活しやすい社会になっていないとおかしいでしょう。
もちろんおもてなし論議の遥か以前に発表された楽曲です。
HAWAIIAN6は理想的な社会を作るのは浮ついた言葉だけでは足りないといっているのでしょう。
社会に変革をもたらすのは君の心の在り方が大事なのだと教えてくれます。
時代というものは放っておいたら劣化する可能性だってあるのです。
自分の責任というものを自覚して社会に「Change」をもたらそうと歌われます。
人類の進化の過程を見ると、自覚的に社会をよくする意志というものがのぞけるのです。
こうしたよき意志ほど大切なものはありません。