案外難解な『Woman』の歌詞
あらゆる人への応援歌
中西圭三さんの実質的な代表作であり出世作の『Woman』はなんと3rdシングル。
この楽曲が「中西圭三」という名を世間に知らしめたのではないでしょうか。
意外なことに作詞自体は売野雅勇さんの手によるものなのです。
中西圭三さんは作曲を担当しています。
歌詞を丹念に読めば、付き合い始めの女性へのエールと感じる人が多いでしょう。
しかし、この楽曲は全ての弱気になった女性への激励ですし、男性にも当てはまると思います。
そういう意味では、あらゆる人々への応援歌といっても過言ではないかもしれません。
中西ワールド満開の楽曲
どういった分野の楽曲に当てはまるのかは難しいところですね。
私はバラードに近いものだと感じました。
しかしポップスやジャズや懐メロの要素も併せ持つ印象があります。
またエモーショナルソングでもあります。
それだけ中西圭三さんの作曲能力の高さを証明しているというと大袈裟でしょうか。
強いて分類すれば「中西ワールド」とでも形容できるかもしれません。
中西圭三さんの優れた作曲能力と抜群の歌唱力を堪能できます。
非常にハリと伸びがある歌声なので、中西圭三さんの優れた歌唱力が際立つのです。
また歌詞も一見分かりやすそうで、意外と難解だと感じられるかもしれません。
そのような複雑な顔を持つ『Woman』という曲をつぶさに解剖してみました。
高度な歌詞
抽象的で案外難解な歌詞
この楽曲の歌詞には難しい言葉は一切使われていません。
でも歌詞は抽象的で、よくよく咀嚼しないと意味は分からないのではないでしょうか。
それだけ高度な歌詞ということがいえます。
何度も何度も聴き返してようやく分かったような気になるのです。
Woman君が探している
未来は君の中にあるよ…
Woman 何も恐れずに
夢見るように生きてごらん
出典: Woman/作詞:売野雅勇 作曲:中西圭三 編曲:小西貴雄
出だしからあま~い言葉が出てきます。
それに、分かったような分からないような歌詞ですね。
「自分が目指す未来は自分の中にある」というのは意味深で抽象的です。
「君の中にある」というフレーズ。
「探している未来」で始まる文章ってなかなか分かりづらいフレーズですね。
一体どんな「未来」を探しているのでしょうか。
続くフレーズで若干分かってくるような気がします。
「夢見るよう」の一文。
そうです、探しているのは「夢」だったのです。
でもどんな「夢」なのでしょうか。
「夢」といっても人それぞれ違いますからね。
夢すらない人も大勢いるのではないでしょうか。
また未来が「君の中」にあるというのは解釈の難しいところです。
憶測ですが、夢はもう知らぬ間に手にしていると励ましているのではないでしょうか。
具体的にどんな夢なのかは楽曲が終わっても謎のままです。
恐らく聴く人にどんな夢なのかは想像を委ねているのだと思います。
いや、具体的に書かないことによって様々な人に当てはまるようにしたのかもしれません。
普遍性を敢えて持たせたのかもしれないような気がします。
あらゆる女性へのエールとなるように意図したのではないでしょうか。
さらにいうと、あまねく男性にも当てはまると思います。
要するに、あらゆる「夢」を持つ人への応援ソングですね。
そして「夢」はこの曲の最後までキーワードになってくるのです。
自由に生きること
自由に生きるのは悪いことなのか
朝焼けの河口へと滑る船見ながら
思うまま生きるのは勇気がいると言ったね
出典: Woman/作詞:売野雅勇 作曲:中西圭三 編曲:小西貴雄
この女性は自由に生きることに後ろめたさを感じ、罪悪感も感じているのでしょうか。
「朝焼けの」で始まる歌詞は、いかにも詩的ですね。
船のことを「滑る」というのはなかなか書けない表現です。
要するに最初の文章は、悠々自適に生きている、象徴なのではないでしょうか。
その後、その証拠に「思うまま」という言葉が出てきますね
そしてそうした生き方は「勇気」がいると言っています。
「夢」を追いかけたいのに「自由に生きる」のは矛盾する、と女性がつぶやいたのでしょう。
それを自分の中では許せないのではないと思っている節がありますね。
だから、勇気がいる、と言ったんだと思います。
苦しんでいる彼女の葛藤を吐露しているのですね。
ひとりではないという励まし
出だしから常に少々ネガティブな言葉を口にする女性ですが光明が射します。
続く言葉で元気が出たのではないでしょうか。