「グッバイ・マイマリー」という曲について

結婚をテーマにした物語

若いカップルの幸せな日常、そして突如訪れる別れ。去ってしまった彼女のことを、今でも未練がましく想い続ける男性の心情を描いた失恋ソングです。

当たり前のように過ごしていた日々の崩壊、そして“捨てられた男性”の虚しさを浮き彫りにしたリアルな歌詞が、聴いていて心にグサッと突き刺さります。

ギターサウンド主体の、ロックバンドらしいアップテンポでグルービーな演奏ボーカル椎木のパワフルだけど柔らかさのあるハスキーボイスが、曲への没入感を一層増してくれます。

爽やかなサウンドと重く切ない世界観が魅力的な「グッバイ・マイマリー」失恋してしまった男性はもちろん、結婚へ踏み込むことに迷いが生じている方は、是非お聴きになってみては?

My Hair is Bad - グッバイ・マイマリー

収録アルバム「Woman’s」

【グッバイ・マイマリー/My Hair is Bad】結婚したいと思ってたのに...!歌詞を解釈!の画像

2016年10月に発売された2ndフルアルバム「Woman's」。紫色した女性の胸が目を引く斬新なジャケットですね。

今回ご紹介する「グッバイ・マイマリー」はもちろん、「接吻とフレンド」「恋人ができたんだ」など、心に響く人気ラブソングを多数収録しています。

過去の恋愛に縛られる女々しい男性像や、鬱屈とした雰囲気に共感しやすいエモーショナルな歌詞が実に魅力的。

発売した月のオリコン週間アルバムランキングでは、初登場でTOP5入りを果たすほどの人気を誇っています!

収録曲一覧

1. 告白
2. 接吻とフレンド
3. 音楽家(ミュージシャン)になりたくて
4. グッバイ・マイマリー
5. 戦争を知らない大人たち
6. 恋人ができたんだ
7. mendo_931
8. ワーカーインザダークネス
9. 革命はいつも
10. 沈黙と陳列 幼少は永遠(とわ)へ
11. 真赤
12. 卒業
13. また来年になっても

出典: woman’s/My Hair is Bad

歌詞を見ていきましょう

【グッバイ・マイマリー/My Hair is Bad】結婚したいと思ってたのに...!歌詞を解釈!の画像

何の疑問も抱かず幸せな時を過ごす日々

都会の乗り換えも慣れた六月の正午
下品な中吊り広告を
ボーッとただ流し込んでいた
駅から二分 自動施錠のワンルーム
君が茹で上げたパスタは
いつも決まって柔らかいけど好きだ

出典: グッバイ・マイマリー/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁

"都会の乗り換えも慣れた"ということは、以前は地方に住んでいて、夢のために上京してきたという感じでしょうかね。

梅雨で蒸し暑いであろう六月の正午。

時間が時間なだけに、それほど混雑もしていない電車に腰かけ、下品な週刊誌や啓発本の吊られている広告を何気なしに眺める僕。

目的の駅に着いて改札を通り過ぎた僕は、駅を出て二分で我が家に到着する。

愛する彼女と同棲する狭いワンルーム。だけど何の不満もない幸せな空間だ。

部屋のドアを開け、待っていたのはパスタを茹で上げたばかりの君。

今日のランチはパスタだ。茹で過ぎですっかり柔らかくなったパスタをフォークで器用に巻き上げる二人。

「君の作るパスタは、柔らかいけど美味しくて好きだ。」そんなことを思いながらも、幸せな時間とパスタの味に舌鼓を打った。

二人でよく行った五百円の飲み放題
薄めで頼んだレモンハイ
たった二杯でほっぺ赤った
酔っ払った君は特に可愛かった
デザートは酒肴になるんだって
得意げに二つ頼んでた

首都高は僕らに見向きもせずに流れて
同じように季節も流れてた

出典: グッバイ・マイマリー/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁

僕と彼女、二人の行きつけの安い居酒屋。

金銭的な余裕のない僕達には、五百円で飲み放題できるここは一番の憩いの場だ。

お揃いで注文した薄いレモンハイ。君はたった二杯で酔っ払っていたね。

いつもの君も可愛いけど、酒に酔って素直になった君は特に魅力的でよく癒されたものだ。

酒を交わし、ひとしきり盛り上がった後は決まって甘いデザートを二品注文する君。

「甘いデザートは酒肴になるんだよ。」そういって酒と一緒に楽しむのがいつものパターンだった。

せわしなく流れていく首都高や季節は、そんな穏やかな時を過ごす僕達には目もくれず、僕もこの風景が不変なものだと信じていた

突如として崩壊した日常

結婚したいなって思ってたんだ
でも思っていただけだったんだ
どういうことかわかんなかった
合鍵で開けても君はいなかった
僕の荷物がまとまり 手紙が置いてあった

出典: グッバイ・マイマリー/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁

ある日帰宅すると、いつものように笑顔で迎えてくれる君の姿がどこにもなかった。

台所に立つ君、リビングでくつろぐ君、そんな当たり前だった光景が綺麗さっぱり失われてしまったワンルーム。

訳も分からず狭い部屋を隅々まで見渡していく僕。

そこにあったのは、まとまって置いてある僕の荷物と一枚の手紙

その手紙を読んで僕は全てを理解した。

彼女はこの生活に満足していたわけじゃなかった。いつまでも夢を追い続ける僕に現実的な生き方をしてほしかったんだ。

僕だっていつかは彼女と結婚したいと思っていたいや、ただそう思っていただけだったのかもしれない

「これからは真面目に働くから、いつか結婚しよう。」そんなことを口に出さず、自分の夢だけを追いかけて、彼女の気持ちに一切気付けなかった僕。

何もかもが後の祭りだ。そんな僕に愛想が尽きて、愛する君は消えてしまった。

二人で住むには狭かったワンルームも、今では孤独で冷たい広大な空間のようにさえ思えてならない

現実はドラマのようにはいかない