ここまでは「君なんだよ」に登場する1番の歌詞をご紹介しました。
これまでの歌詞から、wacci特有のとある特徴が浮き彫りになっています。
皆さんはお気付きでしょうか。それは背伸びしない等身大の歌詞であることです。
一般的なラブソングには、劇的な別れや印象的なイベントがつきもの。
しかしwacciの紡ぎ出す物語には、特別な出来事は何一つ起こりません。
我々の生活の中でも起こりうる、よくある風景が表現されています。
日常を切り取った歌詞。これがwacciの魅力の1つといえるでしょう。
2番を解説
停滞期?
story, story 書きかけのままの 君との物語
ずっと ずっと 紡いでくはずだった 未来を今書こう
出典: 君なんだよ/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
1行目の内容は1番の歌詞「slowly」とかかっている表現です。
韻を踏むと同時に、2人の恋愛の進捗度合いを表しています。
ここで注目したいのは本作が「書きかけ」のまま執筆が滞っている物語であるということ。
途中で何かが起きたのは明らかです。また2行目には別れを彷彿とさせる描写が登場。
これらの要素から男女は付き合っているものの、喧嘩中ではないかと考えることができます。
幸せな毎日だけではなく、苦しい日のことも描かれるこちらの作品。
より日常に近い、普遍的なストーリーとなっているといえるでしょう。
大切な存在
生まれてから消えてくまで 知りあえる人の方が少なくて
その間で 君と出会い 笑い泣いて過ごせたことは奇跡
出典: 君なんだよ/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
幸せだって思った 君の事ばかり思った
誰もが限られた時の中で探してる
自分を忘れないでいてほしい人 それは君なんだよ
出典: 君なんだよ/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
前半ではお馴染みのあのコーナー。主人公の感情暴露シーンが登場します。
運命の出会いだからこそ、より一層君のことを大切に考えている…。
前述したサビ前の歌詞の理由付けとなる、リンクした部分です。
また後半では、今は仲良しの2人が仮に別れてしまった日のことを語った歌詞となっています。
失恋から立ち直るまでにかかる期間は、男女や各個人によって異なるもの。
期間は違えど、自分と過ごした日々を完全に忘れられるのは悲しいはずです。
別れから立ち直っても、人生の思い出として記憶の中に留めておいてほしい。
それほど大切に思っている、という尺度を表した表現となっています。
ラストフレーズまでを解説
別れの予感
誰かにとってはきっと いつもと同じ今日だって
僕らにとってはきっと 二度とない一日
最後の1ページが 春風にめくられてゆく
出典: 君なんだよ/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
冒頭の2行では、男女のとある1日の様子が語られています。
良い1日だったのか、そうでなかったのか…。その真相に関わるのは3行目の表現です。
春に吹く気持ちの良い風に例えられていることから、良い1日だったと推測できるでしょう。
また上記の表現から2人の別れが現実的となり、近付いていることが分かります。
以降2人の最後の姿を念頭に置き、考察していくことにしましょう。
言葉尻に注目
抱きしめたいと思った 愛されたいと願った
言えなかった言葉達が 空に溶けてゆく
涙をはじくような 君の笑顔を焼き付けた
出典: 君なんだよ/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
ここでは歌詞に登場する文章の末尾に注目してみましょう。
全ての文章において過去形で統一されています。
ここから分かることは、本歌詞が過去に起こった出来事を回想しているシーンであること。
時期を考察するのであれば別れて間もない頃でしょうか。
主人公は諦めきれず、別れを惜しむ様子が見て取れます。
特に印象的なのは最後の表現。数々の思い出の中で最後に思い返すのは笑顔の姿です。
2人の円満な関係性が分かる1文といえます。