遠ざかる声が夕日に溶けていく
はしゃいだ影はどこまでも伸びていく
しばらく君と話していたいから
今はまだどうか灯りを消さないで
出典: 影踏み/作詞:山崎将義 作曲:山崎将義
1行目は過去の子供時代の自分のことを表現しているのでしょう。
夕日を見ながら感傷に浸る主人公。
子供の頃の思い出を振り返り、それが遠い過去の出来事であることに切なさを感じているのかもしれません。
また2行目ではタイトルにも含まれている「影」という言葉が登場しています。
「影」から連想されるのは、前述のパートで言及された「闇」という言葉です。
「影が伸びる」というのは、心の中の闇が増していっている様子を表しているともいえます。
主人公は大人になって心に大きな闇を抱えているのかもしれません。
またそんな心の闇を小さくしようとしている様子が3、4行目から伝わってきます。
ここで「君」と呼んでいるのは主人公にとって心の休まる人物を指しているのではないでしょうか。
これはつまり恋人や家族といった存在のことを指しているのでしょう。
そんな大切な人と話をすることで、闇に飲み込まれそうになるのを抑えようとしていると考えることもできます。
別れについて
二つの錆びたブランコが 互い違いに揺れた
サヨナラの重さなんて感じていなかった
出典: 影踏み/作詞:山崎将義 作曲:山崎将義
この歌詞パートは何を表しているのでしょうか。
主人公が子供の頃の感情を思い出し、今とは違う感情でその別れを体験していたことを思い出しているのかもしれません。
今では別れがとても大きなもののように思えるけれど、子供の頃はそんな風に大きなことだと捉えていなかった。
1行目の「ブランコ」という言葉からは子供時代を振り返る主人公のそんな想いが伝わってくるかのようです。
この揺れる「ブランコ」の数が2つということから、主人公とある人物との関係を表しているとも考えられるでしょう。
男女が別れる前の気持ちのすれ違いを表現していると考えることもできます。
「君」との未来
すれ違う2人
夢から目覚めたその時まで
空も雨も雲も同じに映っていた
いつから互いに何を愛したの
出典: 影踏み/作詞:山崎将義 作曲:山崎将義
1行目の「夢」という言葉は夢見心地な状態を表していると考えることもできるでしょう。
そして続く2、3行目を見ていくことで、このパートが恋愛について書いているのではないかと考えることができます。
これは恋に陥っている間の夢見心地な気持ちが消えて正気に戻る様子を表しているのかもしれません。
2行目では主人公と恋人が気持ちや見るもの全てを共有している様子が描かれています。
これは恐らく恋が燃え上がっている時の2人を表しているのではないでしょうか。
今ではそんな感情も無くなってしまったのかもしれません。
3行目の歌詞は2人の気持ちがすれ違っていることを表していると考えられます。
感覚を共有していた2人も、今では違うものを愛するようになってしまった。
時の流れと無常さを感じる表現です。
2人の時間
もう戻らない日々 止まったままの時間(とき)を
静かに再び 動かし始めたい
しばらく君と会えなくなるから
今だけはどうか灯りを消さないで
出典: 影踏み/作詞:山崎将義 作曲:山崎将義
このパートの1行目では、子供の頃から止まったまま存在している気持ちを表しているのではないでしょうか。
彼にとってそれは、自分自身の「闇」と関係していると考えられます。
自分自身と向き合い、失った時間を取り戻したいのでしょう。
そうすることで止まっていた時間を動かし、今を生きられるようになると考えているのかもしれません。
しかし自分自身と向き合うということは「君」との別れを意味していました。
何故2人は別れなくてはならないのでしょうか。
それは主人公にとっての心の拠り所でもある「君」と一緒にいることで、自分自身と向き合うことが難しくなるから。
心の支えがいるということによって、逆に過去から目を背けてしまうのかもしれません。
だからこそ「君」とはしばらく会わないようにしようと考えているのでしょう。
4行目はそんな別れを目前にして、2人の時間を噛み締めようとする主人公の心情が描かれているようです。
そこには言い知れぬ切なさが漂っています。
「闇」に打ち勝つ
痛みを乗り越えたい
引き離された傷が疼く頃 痛みはその心を呼び覚ましていく
どこかで僕らはまた巡り会う
出典: 影踏み/作詞:山崎将義 作曲:山崎将義
そして続くこのパートでは、その別れが主人公に痛みを与えていることが分かります。
しかしその痛みの後に2人はまた出会うだろうということをこのパートではいっているようです。
この言葉からは2人の再会を予感させられます。
主人公は自分と向き合うことで、本来の自分を取り戻そうとしているのではないでしょうか。
そしてその本来の自分を取り戻した後、また再会をしたいと考えているのでしょう。
今の自分では過去の「闇」と対峙できておらず「君」を傷つけることになるかもしれない。
そんなことも考えているのかもしれません。
だからこそ彼は、そんな暗い過去とけじめを付けて「君」と再会したいと考えているのです。
大切な人だからこそ彼は別れを選ぶという決断に至ったのでしょう。