MVのロケーションとなっている場所は印鑑のテーマパークです。
先ほどからちらりちらりと象牙が映っているのもそのため。
ここは山梨県甲府市の「幸せの丘ありあんす」内の「象牙彫刻美術館」です。
印鑑のテーマパークですから素材として超一級の象牙についても取り上げています。
象牙の彫刻は日本か中国でしか見られないものかもしれません。
象牙の密輸入は現在、非常に高い関心を持って考えられている国際問題です。
今後は象牙を使用した印鑑も美術品も製作が難しくなるはず。
このMVの背景になっている様々な人智を超えた美術品の製作技術は「ロスト・テクノロジー」になります。
そんな「ロスト・テクノロジー」の真髄をまとめて見ることができるのがこの「象牙彫刻美術館」です。
チャム(.△)の渾身の想い
小さなアクションですが熱い
MVではチャム(.△)が渾身の想いで歌を紡いでいます。
メンバーもチャム(.△)の想いに応えるような激しい演奏。
貴重な美術品がそばにあるので大きなアクションはできません。
それでも熱さは十分に伝わってくる演奏シーンです。
千切れた社会を縫い合わせる線を
手の鳴る方へ 音を繋いで
点と点を線にして描くよ
踊る足の鎖外して
あの日の僕にサヨナラできるよ
もういいや
出典: パプリカはポストヒューマンの夢を見るか/作詞:チャム(.△) 作曲:渡辺壮亮
自分たちはここで音楽を紡ぐことに懸命でいるよ。
個々に分かれた社会の点を繋いでゆく仕事をする。
あなたの足には見えない鉄鎖がある。
その鉄鎖を解き放って私たちと一緒にゆけばポストヒューマンに近づけるはず。
チャム(.△)の切々たる想いに多くの人が気付いてくれたならもう少しマシな社会ができるでしょう。
フィリップ・K・ディックの「電気羊はアンドロイドの夢を見るか?」も自分に気づくことがテーマ。
「パプリカはポストヒューマンの夢を見るか」もまた自分は何者なのかに気付いて欲しいと歌います。
謎の巨像は「幸運の女神ルリエ」
幻想的な照明が効果的
MVではまた謎の女神像が出てきます。
この女神像は幸せの丘ありあんす内の「鳳凰殿」という部屋にある「幸運の女神ルリエ」です。
この施設は名前からして宗教的な施設と勘違いされがち。
とはいえ、実際はただの印鑑のテーマパークで「幸運の女神ルリエ」もアトラクションのようなもの。
しかしその大きさに圧倒されてパワー・スポットとして紹介されることが多々あるとか。
MVではこの女神像を効果的に用います。
照明監督は飯田紗希(マジック・ハンド)。
幻想的なイメージを沸き立たせます。
ただのテーマパークのモニュメントとは思えないほどの神々しさを演出するのです。
嘘とカメレオンですから嘘もあればカメレオン的変化をするもの。
撮影の内幕については知らないほうが神秘的な印象のままでしょう。
この記事を読み終えたらそのあたりの情報は記憶から消していただいて構いません。
ポストヒューマンの夢を見るために
人智を超えた美術品の前で誓う
“願うだけ無駄”だなんて
そんなことを思いたくはない
鎖の外れたその足で
この線を飛び越す時だ!
「楽しいことは楽じゃないから‥」
そう言ってほほ笑む
君に映る明日さえ
出典: パプリカはポストヒューマンの夢を見るか/作詞:チャム(.△) 作曲:渡辺壮亮
消極的な態度で物事を見ること。
それでは人間は人間の限界を超え出ることができません。
ポストヒューマンになる、あるいはポストヒューマンの夢を見る。
そのためには自分で引いてしまった限界の線を超え出てゆくことが大事です。
チャム(.△)はそのことを万感の想いで歌い切ります。
嘘とカメレオンの5人でならば難局を乗り越えてゆける。
人智を超えた様々な美術品の前でそのことを誓うのです。