見上げたら ヒコーキ雲 明日へと消えた
僕は それでもずっと 自転車を漕ぎ続けた

上り坂 駆けあがる あの空の向こう
いつか 追い越せるような そんな気がしているから

出典: Laugh away/作詞:YUI 作曲:YUI

空高くを走る飛行機雲を追い掛けて自転車を漕ぐという描写が、純粋な少年のようでなんとも爽やか。

しかしこれは単に例え話で、飛行機雲は主人公が追いかける理想のことを表しているのでしょう。

何か事を成そうと思えば、そりゃあ辛いことの一つや二つも乗り越えないといけません。

しかしその辛さを乗り越えればきっと理想を叶えた自分の姿がそこにはあるはず。

そう思い描きながら、主人公は奮闘する日々を送っていたのでしょう。

逃げるのはチャンスではなく自分自身

逸れそうな Get away Get away
情熱を Get away Get away
逃がさないように 手を伸ばして…

出典: Laugh away/作詞:YUI 作曲:YUI

「Get away」は「逃げる」という意味。

「チャンスを逃す」なんて言葉がよく使われますが、ここで逃げると言われているのは「情熱」。

そう、チャンスではなくて自分自身です。

考えてみればわかるのですが、自分自身の情熱というのは巡ってくるチャンスなんかよりずっと移ろいやすいもの。

やる気になったとしても、次の日には気が変わってしまったなんてことも日常茶飯事です。

逆に言えばチャンスなんて、情熱があれば自分から作りに行くことができます。

そのぐらい情熱を絶やさないということは重要。そして難しいことなのです。

だからここで敢えて「情熱が逃げる」という表現がされているのですね。

短いながらに真理をついた歌詞だと感心させられます。

桜の花を見て君に会いたくなるのは…

ちっぽけな事に悩んじゃって
とにかく君に会いたくなった yeah

生まれたての春の匂いに
咲き誇るサクラのはなびら
いつだって負けないように ねぇ

そう 笑って そっと 笑って Laugh away
そう 笑って いつも 笑って

出典: Laugh away/作詞:YUI 作曲:YUI

自分の理想を叶えるために力強く奮闘する主人公の姿がここまで描かれていましたが、ここに来て見せるのはちょっと弱気な一面。

桜の花の描写があるのは、桜が3月などの別れの季節に咲く花だからではないでしょうか。

そう、友達なのか恋人なのかは定かではありませんが、桜が咲くたびに主人公はその季節に離れてしまったその人の顔を思い出すのでしょう。

社会人として地元を離れて頑張っている人などは、急に友達のことを思い出して寂しくなったりするものですよね。

そして桜に込められたイメージがもう一つ。

それは厳しい冬を越えて芽吹くということです。

これには理想を叶えようと、辛いことにも耐えて奮闘する主人公そのままの印象を受けませんか?

続く歌詞に、辛くても寂しくても笑って乗り越えていこうという主人公の姿が思い浮かびます。

丘の上から見下ろした君の家…その描写が物語るのは

実際には見えるはずがない?

丘の上 息を切らし 街を見下ろした
たぶん 君の家の 屋根くらいは見えるはず

窓のそと 海がすぐだよなんて 話してた
だから あの場所あたり? 同じ“今”感じている

出典: Laugh away/作詞:YUI 作曲:YUI

1番で「会いたくなった」と言っていた「君」の家が見えるかな?と丘の上から見下ろす描写を描いたこの部分。

丘の上から眺めて見えるぐらいの距離なら会うことだってできるように思えます。

なので、ここで描かれているのは主人公の「見えればいいな」という単なる願望。

確認のしようはないのだから、思い込むのは勝手です。

実際には見えなくても、「見える気がする」と思うだけでも勇気づけられたりするもの。

それでまた頑張ろうと思えるのなら、これはある種のおまじないのような感じですね。

見えた景色はその人への想いの表れ

ちっぽけな事に悩んじゃって
とにかく君に会いたくなった yeah

目の前に広がる景色を
忘れてはいけない気がした
いつだって 負けないように

Never mind. Never mind. 落ち込んだら
yeah yeah ここに来て 風に吹かれたい

ちいさな笑顔がみたいから
僕だって強くなれるのさ yeah

出典: Laugh away/作詞:YUI 作曲:YUI

主人公が「その人の家が見えるのでは?」という願望を描いたのは、その人を大切に想っていることの証です。

例えただのおまじないのようなものだとしてもその景色を忘れてはいけないというのは、その景色がその人への想いと同義だからでしょう。

奮闘する主人公を支えていたのはその人への想い。

忘れてしまっては前に進む原動力を失ってしまうことになってしまいますね。

人は自分のためだけに頑張り続けることは難しく、喜んでくれる人が居るから頑張れるもの。

YUIのようなアーティストだって、自分の歌を心待ちにしているファンがいるから楽曲を生み出し続けられるのです。

同じように主人公が頑張り続けているのも、その人に良い報告をしたいということもあるのでしょうね。

「ちいさな笑顔がみたいから 僕だって強くなれるのさ」というフレーズがそのことを強く物語っています。

辛いことに直面したとき、笑い飛ばすぐらいの心持ちで居られたら