夏の終わりと似た切なさ

Little Glee Monster【夏になって歌え】歌詞解釈!夏を感じよう♪今が春や秋や冬でも…の画像

季節を問わずいつでも聴きたくなるLittle Glee Monsterの『夏になって歌え』。

この曲は、Little Glee Monsterにとって初となるアナログレコードでのリリースとなりました。

しっとりと聴かせる伴奏に乗せて歌われる美しい言葉たち。

陽炎のような曖昧な日々の中には、夏の終わりとよく似た切なさがありました。

熱い季節に経験した恋や青春というものは、流れる汗と共に消えてしまうものなのでしょうか?

自分の人生に起こった、奇跡のような出来事。

美しく儚い思い出歌詞の中に刻まれています。

優しくて繊細な世界

『夏になって歌え』の作曲を担当したのは、いきものがかりの水野良樹さん。

作詞は、詩人・小説家の最果タヒさんが担当しました。

この曲の優しさと繊細さは、二人の感性が合わさって生まれたものだったんですね。

変わっていくものの尊さ

『夏になって歌え』のMVは、どこか切ない雰囲気を持っています。

曇り空の下、メンバーたちは何を想っているのでしょう?

インクが消えるように流れていくリリックの文字が、なんだか寂しいですね。

美しさとは、一瞬で消えてしまうもの。

永遠を信じていたいのに、季節も恋も立ち止まってはくれません。

そんな変わっていくものの尊さを、このMVで表現しているのではないでしょうか?

美しいものの形

それではさっそく、最果タヒさんの美しい歌詞を読み解いていきましょう。

この曲は、まるで一冊の小説みたい。

優しくて繊細な曲の世界に飛び込んでみませんか?

変わっていくものたち

花も雨も海も信号機も、
すべて歌の形をしている、
世界のなかに漂う風を、
慰めるように歌があるから、
私は息を吸う。

出典: 夏になって歌え/作詞:最果タヒ 作曲:水野良樹

「歌の形」とは、いったいどんな意味なのでしょう?

歌は届けるもの。

歌は受け取るもの。

そして、歌は流れるものです。

決して同じ場所にとどまってはくれない、いくつもの音。

「歌の形」とは、変わりゆくものの存在を意味しているのかもしれません。

「花も~」からで歌われている、ありふれたものたち。

それらは歌と同じように、つねに形や色を変えていきます。

あまりにも早く変わってしまうものの姿は、見ていて寂しくなる。

しかし、その寂しさを慰めてくれるのもまた歌です。

日常のあちこちに散らばっている「歌の形」。

それを味わうように「私は息を吸う」。

肺を満たした風は、「私」の心も満たしてくれるでしょうか?

永遠を感じるとき

いくらでも、明日が来る気がした。
そのときだけ、地平線に永遠が見えるの。

出典: 夏になって歌え/作詞:最果タヒ 作曲:水野良樹

一日の終わりに、明日の気配を感じる。

そんなふうにして人生は続いていきます。

しかし、それは決して永遠ではありません。

そんなことは分かっているはずなのに、明日の気配を感じるとき、そこに永遠も感じてしまう。

どうして人は永遠を信じてしまうのでしょうか?

遠い未来に夢が広がっているから?

地平線に見えた朝日が、あまりにも美しかったから?

きっと、永遠を信じてしまう理由は人の数だけあるのだと思います。

今日が終わって、明日がくる。

この繰り返しも、いつか終わりがくるから美しく感じるものなのかもしれません。

歌は救い