人称と形容詞による歳の感じ方
I say it's fun to be 20
You say it's great to be 30
And they say it's lovely to be 40
But I feel it's nice to be 50
出典: https://twitter.com/suguru441love/status/715078430564360192
人生って20歳では面白く、30歳では素晴らしく、40歳では愛おしく思える…でもそうね、50歳になるのもまたイイ感じよ、と呟いています。
この肩の力の抜けた感じが何ともいえないですよね。
ふわっと軽やかに唄われているんですが、色々な物事を経験してこの歳に到達した人だからこそ言える、そんな重みがあるような気がします。
英文法として見ていくと、ここではかなり面白い解釈が出来ます。
それは20代がIとfun、30代がYouとgreat、40代がtheyとlovely、そして50代がまたIとniceなのです。
20代が純粋な楽しさを自分で肯定し、30代が人生の絶頂期を隣に居る人が素晴らしいと肯定します。
そして40歳は周りの人達が愛おしいと肯定し、50代では再び1人称で良い感じだと振り返るのです。
1人称だけではなくyouやtheyなど他者の視点も織り交ぜることで人生の幅広さを表現しています。
人間とは常に他者との関わり合いの中で生きており、それがまた今の自分を形成する要因にもなるのです。
主観的な視点のみならず、客観的な視点も織り交ぜられた竹内まりや自身の人生の振り返りが上手く表現されています。
人生の後半への決意
四季折々を噛みしめて
満開の桜や 色づく山の紅葉を
この先いったい何度 見ることになるだろう
ひとつひとつ 人生の扉を開けては 感じるその重さ
ひとりひとり 愛する人たちのために 生きてゆきたいよ
出典: https://twitter.com/suguru441love/status/715078430564360192
春夏秋冬、季節の移ろいとともに姿を変える美しい景色を愛おしげに眺める様子が伝わってきますね。
残された時間を憂うのではなく、まだまだこの先へ続く日々に期待を感じているようです。
そして人生の節目節目でその先へと続く扉を開けながら、自分にとってかけがえのない人たちへの強い想いをあらたにしているのでしょう。
歌詞の中で特に素晴らしいのが「ひとつひとつ」「ひとりひとり」というグラデーションを表わす言葉です。
この言葉があることでこれからも決して焦ることなくゆっくり噛みしめるという味わい深さが感じられます。
勿論その中には決していいことや楽しいことだけではなく、辛いことや苦しいことなども沢山あるでしょう。
しかし、それを決して悲観的に捉えることなく前向きに、そして大事に握りしめるように生きていこうとするのです。
楽しいことも苦しいことも全部受け止めて前に進もうという芯の強さが感じられるのではないでしょうか。
いい歳の重ね方
I say it's fine to be 60
You say it's alright to be 70
And they say it's still good to be 80
But I'll maybe live over 90
出典: https://twitter.com/suguru441love/status/715078430564360192
60歳になるのも素敵だし、70歳になるのも大丈夫。
80歳だってまだまだ楽しみ、そし90歳を過ぎても生きてくわ。
意訳するとこんなニュアンスになるかと思いますが、限りなく前向きで元気になるような歌詞ですよね。
ここで特に大事なのは”I'll maybe live over 90”であり、willという助動詞を用いて前向きな未来を意志しています。
年老いていくと同時に人間は意識も勝手に衰えていく生き物であり、老いを普通は悪いことだと思うでしょう。
しかし竹内まりやにとっては寧ろ年老いていくことこそが人間の証であり素敵だといっているのです。
何歳まで生きるかは分からないけど、何歳になっても楽しく生き続けることを意志しています。
だからこそ彼女は何歳になっても若々しい見た目と心でいられるのではないでしょうか。
枯れていく人生の良さ
老境の円熟味
君のデニムの青が 褪せてゆくほど 味わい増すように
長い旅路の果てに 輝く何かが 誰にでもあるさ
出典: https://twitter.com/suguru441love/status/715078430564360192
この曲が収録されているアルバム「Denim」にもリンクしているかのような一節です。
人生という長い旅路を、色褪せることでさらに味わいが感じられるデニムと重ねているのでしょうか。
真に素晴らしい衣服は着れば着るほど深みが増していくものですが、これを「円熟味」といいます。
若さ故の輝きとはまた違った年数を重ねて磨きに磨き上げたからこその輝きもまた人生にはあるのです。
それがいつか自然に出てくるものだろうということを肯定的に受け止めている歌詞ではないでしょうか。
40周年記念の『souvenir the movie 〜MARIYA TAKEUCHI Theater Live〜』はその現れかも知れません。