丘の上にある時計台とは?
あの丘は いつか見た丘ああ そうだよ
ほら白い 時計台だよ
出典: この道/作詞:北原白秋 作曲:山田耕筰
北海道で白い時計台と言うと、札幌の時計台を連想するでしょう。
観光スポットとしても有名な場所ですが、『この道』の歌詞に登場しているのを初めて知ったという方もいるのではないでしょうか。
丘の上にある時計台は当時も目立つ存在でした。
白秋先生の北海道旅行で印象に残ったものの一つなのでしょう。
丘の上に時計台があるという景色は、なんとも牧歌的で想像すると穏やかな気持ちになりませんか?
空が快晴ならなおさら良いですよね。
ただ、残念なことに現在は当時と同じような景色ではないようです。
100年経ってもこうして歌の中で自分の観た景色を伝えられる…
なんだか感慨深い気持ちになります。
遠い昔の思い出
母の思い出とセットになっている
この道は いつかきた道ああ そうだよ
お母様と馬車で行ったよ
出典: この道/作詞:北原白秋 作曲:山田耕筰
2番から3番まで白秋先生がお母さんの実家から帰ってくる光景を歌詞にしています。
彼のお母さんの実家は熊本県南関町。
白秋先生はここから自宅である福岡県柳川市に帰る道を気に入っていたんだだそうです。
幼い頃、お母さんと一緒に自宅へ帰る記憶…
たった二行ですが、優しい母の言葉や暖かさ、馬車が揺れる振動やコトコトと進む時の音などが感じられるようです。
曲調も相まってノスタルジックな気分になる部分ですね。
大切な人との思い出がこもっているのであればなおさらです。
なんとなく、「お母様」はすでに亡くなっているのかなと言う悲しい想像してしまいました。
ここでは眠っていた記憶が呼び覚まされるような「ああ」が歌われていると思います。
サンザシの花言葉は…
あの雲も いつか見た雲ああ そうだよ
山査子(さんざし)の 枝も垂れてる
出典: この道/作詞:北原白秋 作曲:山田耕筰
懐かしいものばかり見たこの歌詞の主人公は、空を眺めるだけでも回想モードに…
この歌詞の主人公は幼い子供のようでもあり、老いた男女のようでもあり。
幼い時に聴くのと、年を取ってから聴くと違う印象を与えるなと今回気づきました。
山査子(さんざし)はあまり聞き覚えのないものではないでしょうか。
実の方はお酒や漢方、ドライフルーツとして利用されることが多いです。
花言葉は「希望」、「ただ一つの恋」、「成功を待つ」、「厳格」 。
歌詞にマッチするものはなさそうですね。
ただ単に白秋先生の記憶には山査子の花が強く残っているのかもしれません。
歌詞の流れからすると、頭を上げて「雲」を眺めていた延長線上に山査子の花を見つけたのだな、と分かります。
歌っている内に、歌詞の世界へ入り込んでしまうような、臨場感のある歌詞です。
だからこそ、こんなにも長く愛されているでしょう。
最後に
ノスタルジックな名曲
長く親しまれてきた『この道』をATSUSHIさんが歌う事で、また次世代に繋いでいく…
「この道」とはこうして人間同士が形のないものを受け継いでいく道でもあるのかもしれません。
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