シングルカットされていない興味深い曲
どっぺるゲンガーは、2008年11月に発売された3枚目のアルバム「感情エフェクト」の収録曲です。
その半年前のアルバム「BEAM OF LIGHT」は収録曲すべてがシングルカットされていないのですが、このアルバムも同様です。
収録されている12曲すべてこのアルバムでしか聴けません。
12曲のうちバラードが2曲、ONE OK ROCKらしいハードな10曲が収録されています。
「皆無」「存在証明」を初めライブで盛り上がる曲が多数あります。
このアルバムが出た当時ONE OK ROCKはライブハウスで歌っていました。
そのためオーディエンスと一緒に体全体でリズムを刻む元気な曲が多いです。
ライブハウス時代からのファンにとっては、懐かしいアルバムなのでしょう。
「どっぺるゲンガー」もこの12曲のうちの1曲です。
ファンの間では懐かしい曲かも知れませんが、一般的にはあまり知られていません。
私も知りませんでしたが、タイトルに興味を持ち調べてみようと思いました。
では、これからこのタイトルと歌詞の意味を探っていきたいと思います。
タイトル「どっぺるゲンガー」は、何故「ドッペルゲンガー」じゃないのでしょうか?
「黒い僕」とは誰のことなのでしょうか?
タイトル
ドッペルゲンガーって何?
まずは、一般的に言われている「ドッペルゲンガー」が何かについて紹介します。
よく聞くのは、次の2つじゃないでしょうか。
・自分にそっくりの人間が世の中に3人いる。
・自分そっくりな人間を見ると死ぬ。
ドイツ語のドッペル(Doppel)は英語のDoubleと同じ意味があり、ドッペルゲンガーは全く同じ2人という意味です。
それは、自分と全く同じ肉体と精神を持った他人がもう一人存在するということです。
自分の分身のようなイメージですが、小説では別の意思を持った存在として取り上げられていることがあります。
この歌詞の中ではどう展開していくのか楽しみですね。
「ドッペルゲンガー」と「どっぺるゲンガー」の違いは?
「ドッペルゲンガー」は一般的に用いられている表記です。
それをわざわざ「どっぺるゲンガー」と表記したのはなぜでしょう?
正解は作詞者のみぞ知るところですが、自分なりに考えたことをお伝えしますね。
それは、2人の異なる存在を表現しているのだと思います。
ひらがな表記とカタカナ表記に分けることで、異質な存在であることを視覚的に表現していると解釈しています。
冒頭で出て行った存在が「どっぺる」か「ゲンガー」か分かりませんが…。
では、これから歌詞について考えます。
出て行ったのは誰?
僕の中から出て行った影
何かに導かれるかのように 出て行く僕の影
つながれてた鎖も今じゃ何の意味も成されない
冷たくあしらったせいか…それともただ単純に
僕という人間に飽きたのか?
分かりはしないけど…
もし光がさしても 抜け殻の僕がただただいるだけ
出典: どっぺるゲンガー/作詞:Taka 作曲:Taka
自分の中から出ていく自分にそっくりな人を客観的に見ている僕がいます。
それを「僕の影」と呼んでいますが、僕はその影に鎖で繋がれ支配されていたようです。
その支配者が出て行って自由の身になったというのに、あまり嬉しそうではありません。
むしろ、影に捨てられたような寂しささえ感じさせます。
支配者の影が居なくなった僕には何も残っていない。
「抜け殻」だとまで言っています。
どんなシチュエーションなのでしょう?
「黒い影」が指すものとは?
影が出ていくとどうなる?
黒い影は、自分が貫きたい生き方。
その生き方に従えない弱い自分が僕。
これまで弱い自分を律してきた黒い影ですが、今回ばかりは僕に愛想をつかし見捨ててしまいます。
自分の生き方を失った僕は、抜け殻・空っぽになってしまったのです。
そして、これから進むべき道も見失ってしまいました。