ラストシングル「fight」はYUIさんのソロキャリアの集大成
2012年のNHK紅白歌合戦&CDTVスペシャルの出演を持ってソロ活動に終止符を打ったYUIさん。
YUIさんはギター弾き語り女性歌手という現行のポップスターの主流スタイルを確立した人物。
その不在は業界に波紋を広げました。
「YUI」という存在が大きくなるに従い自身のスタイルを維持することが困難になったのでしょう。
もともと「again」のジャケットに見られるような等身大の姿がYUIさんのトレードマーク。
一度大きくなり過ぎた「YUI」というポジションから離れてみようと思ったのでしょう。
現在はロックバンド「FLOWER FLOWER」のフロントマンとして活躍!
現在はFLOWER FLOWERという新バンドでキャリアの再構築を行っているYUIさん。
今回はYUIさんのソロとしてのラストシングル「fight」の歌詞を紐解いてみようと思います。
そこには後のバンド活動への布石が残されていたのです...。
「fight」は本音から生まれた応援歌
YUIさんが「fight」をリリースしたのは2012年9月5日。
前作に当たるシングル「Green a.live」から約1年ぶりの新曲ということもあり人気を呼びました。
またある世代の若者にとっての「fight」はかけがえのない記憶が詰まった思い出の楽曲です。
その理由は「fight」が2012年のNHK全国学校音楽コンクール(通称Nコン)中学生の部の課題曲であること。
たった3年間という中学生活は人生にとってとても大きな意味を持つ時期です。
友人との思い出、淡い初恋、そして受験勉強...。
今思い返しても中学生活ほど濃密な時間はなかったのではないかと思います。
中学生活の思い出
家庭の事情でYUIさんの最終学歴が中学で終わっていることは有名なエピソードです。
だからこそYUIさんにとって中学生活は地元福岡での大切な思い出とイコールになっているのでしょう。
様々な葛藤を経て大人になってゆく。
そんな思いを込めて制作されたのが「fight」なのです。
徹底解釈「fight」の世界観
夢がすべて叶えばいいけれど...
描く夢がすべて
叶うわけなどないけど
あなただってわかっているはずよ
壊れそうな空だって
あたしは受け入れるから
大丈夫よ
優しい嘘
大人になりたい
出典: fight/作詞:YUI 作曲:YUI
YUIさんが約8年間のソロキャリアで発表したシングルは22作。
その間に様々なメッセージを発信してきました。
しかし初期からYUIさんを追いかけてきたファンにとって「fight」の歌いだしは刺激的です。
歌いだしのフレーズだけを取り上げると少しネガティブな意味にもとられかねません。
しかも「fight」は紛れもないエールソングです。
叶わない夢に向けて頑張るの?と混乱するかもしれませんね。
しかし「fight」はとてもポジティブな歌だと断言しておきます。
なぜならYUIさんの歌詞は1曲を通して聴かないと理解するのが難しいいからです。
そのことをじっくりと語ってみたいと思います。
どんな現実も受け入れる
冒頭に続く4行目と5行目の歌詞を見てみましょう。
比喩的な表現ですが「空」は冒頭で歌われた現実を指していると思われます。
つまりこれから待ち受けるであろう厳しい現実を直視しているのです。
Aメロの最後のフレーズを聴くと歌い手の「あたし」はまだ未成熟な子どもだと考えられます。
また「fight」がNコンの課題曲であることから「あたし」は中学生の視点で歌われているのでしょう。