真実を知るまでは諦めたくない

このまま夜が明けたら

乾かないように想い出を
失くさないようにこの歌を
忘れないで もうちょっとだけでいい
一人ぼっちのパレードを

出典: パレード/作詞:n-buna 作曲:n-buna

もしも喉が枯れてしまったら、今のように歌うことはできなくなってしまいます。

「君」の声をメロディに乗せても、まるで細かな砂粒のように風にさらわれて消えてしまうでしょう。

「君」が持っている才能やそれが輝く瞬間が確認できるのは、今だけかもしれないのです。

主人公は才能ある「君」の歌を真似して歌うことで、何かを確かめようとします。

誰かの前を歌いながら歩く、それがこの歌詞の「パレード」です。

華々しく列をなしたパレードではありません。

そこに並ぶのはたったひとり。「並ぶ」という言葉が必要ない状況です。

しかしパレードという言葉には、大勢が列をなす以外の意味があるのをご存知でしょうか。

実は、誰かに見せびらかす意味として「パレード」が使われることがあるのです。

音楽を完全に捨ててしまう前に、自分の歌が誰かの心を動かすパワーを秘めているのか確認したいのでしょう。

つまり、才能があるかどうかを確かめたいのです。

才能があるなら音楽を捨てる気はない、ということですね。

paradeの意味や使い方 【名詞】【可算名詞】1a行列,パレード,行進.用例walk in [join] a parade 行列を作って練り歩く[行列に加わる].b(次から次へと現われる)人[もの]の行列 〔of〕.用例a p... - 約1138万語ある英和辞典・和英辞典。発音・イディオムも分かる英語辞書。

自分にはないものを持つ人たち

才能は選べません。

才能の種類も、才能を持つか持たないかについても選ぶ権利は与えられないのです。

それでいて、才能を持っているかどうか見極めるのは難しい

だからこそ悩むのです。

音楽は指先で作られる

ずっと前から思ってたけど
君の指先の中にはたぶん神様が住んでいる

出典: パレード/作詞:n-buna 作曲:n-buna

音楽と「指」は切っても切れない関係です。

多くの楽器は指先の器用さや指先の力、動きを必要とします。

トランペットもドラムも、トライアングルもそうです。

楽器だけではありません。作詞や作曲をして紙に書き込むのにも指先を使います。

音楽を創造する指先は、天から与えられた特別な贈り物なのだと歌っているのでしょう。

諦めた瞬間

今日、昨日よりずっと前から、ずっとその昔の昔から。

出典: パレード/作詞:n-buna 作曲:n-buna

音楽が持つ歴史は長く、主人公が生まれるよりも前、その先を追えないぐらいの歴史があるはずです。

その中で人々の心を揺さぶるような音楽を生み出してきた人が数多くいます。

そうした偉人たちの指先にも、神が選んで与えた才能が詰め込まれていたということでしょう。

わかるんだ

出典: パレード/作詞:n-buna 作曲:n-buna

このひと言に、強い意味を感じます。

恐らく主人公自身の指先には、骨とほんの少しの肉しか詰まっていないのです。

「持っている者」たちは指先を駆使して音楽を生み出すのが日常、息をするのと同じルーチンワーク。

きっと鼻歌でさえ名曲になり得るぐらいです。

しかし持たざる者である主人公は、どんなに努力をしても彼らと同じような音楽を生み出せません。

両者の間にある圧倒的な差を感じたことが、音楽を辞める切っ掛けになったのかもしれません。

この差異を神様のせいにでもしなければ納得がいかないのでしょう。

もう一度、次こそは、いつまでも手放せないまま

才能は目に見えません。ですから才能の有無の判断基準は曖昧なものです。

うまくいく人が才能を持ち、うまくいかない人は才能がない?

次はうまくいくかもしれないのに「才能がない」と断言しても良いのでしょうか