any man's death diminishes me,
because I am involved in mankind,
and therefore never send to know for whom the bell tolls;
it tolls for thee.
出典: MEDITATION XVll - For Whom the Bell Tolls -/John Donne
こちらは特に有名な一節です。
ここでいう「鐘」は誰かの死を告げるものです。
その鐘は一体誰のために鳴らされているのかを問うているわけですが、ジョン・ダンはこう述べています。
私たち人間は、海に浮かぶ孤島ではなくいわばひとつの大陸である。
もし友を喪くせば、まるで自分自身の一部を失ったように悲しいことだ。
それが見ず知らずの人の死であっても、友を喪くしたときと同様に何かを失っているはずだ。
だから「誰がために鐘は鳴る?」と問う必要などない。
なぜならその鐘はあなたのために鳴っているのだから。
自分のための戦いである
大義名分があるのか分からない戦争は、一体誰のためなのか自問自答したくなります。
しかしそれは鐘の音の意味を探るのと同じことなのかもしれません。
「真実(こたえ)はここには無いから」とはつまりそういうことなのではないでしょうか?
しいて言うならば自分のための戦いですが、戦争を止めるために戦うという矛盾がいつでもつきまといます。
ガンダムの武装組織であるソレスタルビーイングもまた、戦争根絶を掲げながら戦う矛盾した存在です。
「何のため?」と問うこと自体が無意味なのでしょう。
考える必要がないとは?
もう一度 信じるだけの勇気をもって
もう一度 疑うだけの知性をもって
最後まで世界を見つめ続けてゆく
最後まで世界を見つめ続けてゆく
出典: 閉ざされた世界/作詞:菅浪栄純 作曲:THE BACK HORN
最後にラストのサビ部分を紹介します。
何のためかなんて考える必要などない、と言いっ放しにしない点がTHE BACK HORNらしいですね。
考えない=思考停止ではありません。
ひたすら考え悩み抜いた上で「考える必要はない」と結論しただけなのです。
私たちは自分の目で見たものだけが本当のことだと思ってしまいがちです。
もしかしたら欺瞞(ぎまん)や嘘に溢れているかもしれません。
嘘かもしれないと思いながら信じてみるのと、端から疑いもしないのとでは大違いです。
絶対と呼べる正義がない世界だからこそ、単純な善悪に囚われない目を持ち続けていたいですね。
カップリングにも注目
表題曲だけでなく、カップリングである『警鐘』と『真夜中のライオン』もオススメの名曲です。
どちらもカップリングとは思えないほど素晴らしい作品ですので、ぜひ聴いてみてください。
劇場版のキャンペーンソング
『警鐘』は「劇場版ガンダム00 Supporter's meeting 2010」のキャンペーンソングに選ばれました。
インディーズ時代の隠れた名曲『新世界』以来のラップパートがある作品です。
たたみかけるような言葉の多さに圧倒されてしまいます!
文明が膨張したのは安心という発明の対価
存在さえしなかった不安 漆黒の闇が生まれてく
森羅万象をリスクヘッジしてコントロールする人類は
第六感さえ失って崩壊の軌道に乗る
出典: 警鐘/作詞:菅波栄純 作曲:THE BACK HORN
『閉ざされた世界』とはまた違ったアプローチで、退廃的なガンダムの世界観を描き出しているようです。
ガンダムに登場するモビルスーツは、技術発展の極致といえるものでしょう。
なのにどうして安心して生きていけないのだろうか?
どうして争い事はなくならないのだろうか?
シリーズ全体を通して投げかける根幹を訴えているような歌詞ですね。
『閉ざされた世界』が内面的な描写なら、『警鐘』はアウトサイドから見たような視点になっています。
混沌としているのに、なぜか力が湧いてくるような不思議な歌です。
ライブで盛り上がるアッパーチューン
もうひとつの『真夜中のライオン』は数あるカップリング曲の中でも特に昂揚感のあるアッパーチューンです。
前奏部分のまるで歌っているかのようなギターリフは、全楽曲の中でも屈指のカッコよさです。
そして終始吼えまくっているようなボーカルに注目しながら聴いてみてください。
ハードロックなTHE BACK HORNに触れたい方にオススメの一曲です。