THE BLUE HEARTS
1985年に結成し1987年に「リンダリンダ」でデビューします。
3rdアルバムの同名シングル「TRAIN-TRAIN」や4thアルバムからのシングル曲「情熱の薔薇」など名曲を数々残し1995年に解散しました。
ボーカルの甲本ヒロトとギター・ボーカルの真島昌利は、その後もTHE HIGH-LOWSやザ・クロマニヨンズでともに活動しています。
1stアルバム『THE BLUE HEARTS』に収録された「終わらない歌」には、ライブなどでは歌われていますが、歌詞カードから削除されている部分があります。
甲本が歌にこめたメッセージを紐解きます。
「終わらない歌」
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終わらない歌を歌おう クソッタレの世界のため
終わらない歌を歌おう 全てのクズ共のために
終わらない歌を歌おう 僕や君や彼等のため
終わらない歌を歌おう 明日には笑えるように
出典: http://lyrics.wikia.com/wiki/The_Blue_Hearts:終わらない歌
終わらない歌を歌おうと歌うこの歌。その相手は誰でしょうか? "クソッタレの世界のため"という部分と"全てのクズ共のために"という部分が今、聴くと強烈なインパクトを残しています。
しかしその後の"僕や君や彼等のため"という部分はストレートな肯定が響きます。 そして終わらない歌を明日には笑えるように歌うのです。
世の中に冷たくされて 一人ボッチで泣いた夜
もうだめだと思うことは 今まで何度でもあった
出典: http://lyrics.wikia.com/wiki/The_Blue_Hearts:終わらない歌
ストレートな告白が響いている部分です。 世の中に冷たくされてひとり泣くこと。これは誰でも体験することかもしれません。 そしてもうだめだと思うことも、誰もが思うことでしょう。 そういうネガティブな体験が歌われています。
真実(ホント)の瞬間はいつも 死ぬ程こわいものだから
逃げだしたくなったことは 今まで何度でもあった
出典: http://lyrics.wikia.com/wiki/The_Blue_Hearts:終わらない歌
真実から目をそむけてしまうことについて歌われているのでしょうか? 真実の瞬間という部分はかなり難しい部分ですね。 この部分は人からどう思われてきたかという真実を知ることや、死というものと直面した時の気持ちなど、ネガティブな真実と向き合った瞬間について歌われているのだと思います。
なれあいは好きじゃないから 誤解されてもしょうがない
それでも僕は君のことを いつだって思い出すだろう
出典: http://lyrics.wikia.com/wiki/The_Blue_Hearts:終わらない歌
社会から否定され続けたことは、なれが好きじゃなく社会にあわせることができないから起きたことなのかもしれません。
でもそういうふうに誤解されてもしょうがないと甲本は歌っています。 そして出会った人のことを甲本はいつでも思い出すのです。
終わらない歌を歌う甲本。
くそったれな世界や全てのクズ共のためにというネガティブな感情を抱く相手に対しても歌を歌うし、自分自身や君や彼のためにも歌います。これは様々なネガティブな感情を超越して歌うということでしょう。
そして終わらない歌を歌うとは、歌を歌い続けて終わらせないという決意表明でもあると思います。
歌詞カードに載っていない歌詞
ライブの最後では音楽が盛り上がる部分で、はっきりと"キ○ガイ扱いされた日々"と歌われています。 いったい甲本がどれだけひどい青春時代をおくってきたか想像もできない部分です。 しかし甲本は歌を歌い続けることで、自分の少年時代の呪詛を晴らしているのだと思います。 そしてそういう呪いのような気持ちをストレートでロックな歌として歌うことで、多くの人々の共感を集めることができる人間になっていったのでしょう。
音楽は人を救えるか?
海外の事例で申し訳ないのですが、筆者が好きなバンドにTHE ALBUM LEAFというバンドがあります。 このバンドのジミー・ラヴェルという人は、元々、THE BLUE HEARTSも影響を受けたパンクロックをよりハードにしたハードコアという音楽を演奏していました。 しかし彼はそののちに、ハードコアを経由して美しいエレクトロニカ、ポストロックサウンドへサウンドを転身させ、絶大な支持を得ました。