綺麗事では語れない女の恋愛
複雑で難解な女心を絶妙に表現した吉澤嘉代子の『女優』。
4thアルバム『女優姉妹』に収録されています。
この曲で描かれている女性は一見すると純粋で素朴な印象。
しかし、奥深くに隠された本性は艶っぽく、同時に危うさも含んでいます。
一言ではとても言い表せられない女性の心。
特に恋をしている女性の心は様々な形と色を持ち、外見にまで変化をもたらします。
綺麗事だけでは語れない女の恋愛事情。
この曲では、それを包み隠さずに歌っています。
叶わなかった過去の恋も、吉澤嘉代子の歌声が優しく掬い上げてくれることでしょう。
女性ならではの繊細さと柔らかさ
哀愁と艶やかさを持った吉澤嘉代子の歌声。
その歌声に乗せて歌われる女性の心情は、より一層切なく聴こえます。
女性ならではの繊細さと柔らかさに心が奪われる。
それはこのPVについても言えることです。
ここからは、吉澤嘉代子の魅力をさらに引き立てている『女優』のPVについて詳しく解説していきます。
笑顔の裏にある切実な想い
PVには2人の女性が登場します。
曲で歌われているのは、小川紗良演じるマフラーをした女性の心情です。
無邪気な笑顔の裏に隠された切実な想い。
それが曲からも映像からも痛いほど伝わってきます。
まるで映画のようなPVには、見どころが満載。
主人公が見せる表情の1つ1つに胸が締め付けられます。
一瞬でも見逃すのが惜しい。
そう思えるほどのPVは、この『女優』をおいて他にはないでしょう。
最初から最後まで夢中になって見てしまう魅惑的なPVです。
友達への特別な想い
このPVに登場する2人の女性は恐らく友達同士なのでしょう。
2人並んで夜道を帰っていく姿から、その仲の良さがうかがえます。
しかし、このPVの主人公はそんな友達に対して何か特別な想いを抱いている様子。
それは友達に対して抱くには、少し大きすぎる想いだったのかもしれません。
綺麗な自分で会いたい
PVは主人公が鏡で自分の姿をチェックしているシーンから始まります。
このとき「鏡に映るのは女優」という歌詞が歌われているのが印象的ですね。
主人公が待っているのは、1番綺麗な自分を見てもらいたい相手。
髪型や化粧が崩れていないかチェックしながら、胸を高鳴らせている様子が伝わってきます。
いつでも完璧な姿で会いたい相手。
そう言われて思い浮かべるのは、きっと好きな人の顔でしょう。
それが自分の片想いであれば尚更、格好つけたくなるものです。
PVの主人公も前髪を撫でつけながら、ソワソワとしています。
そんな主人公の前に現れた人物。
それは主人公と同じ年くらいの女性でした。
至福が絶望に変わる
友達と思われる女性に、主人公ははにかみながら手を振ります。
缶飲料を手渡されて嬉しそうに笑う顔は、恋をしている表情ですね。
他愛もない話をしながら2人で歩く。
そんなありふれた時間に主人公は至福を感じている様子です。
しかし、友達は急に立ち止まり、満面の笑みで主人公に左手を見せました。
その薬指には指輪がはめられていて……。
「結婚しました」友達はそう告げたのでしょう。
主人公は一瞬絶望したような表情を見せます。
このときの主人公の心は痛みに悲鳴を上げていたはず。
固まってしまった主人公を置いていくように、友達は背を向けて走り出してしまいました。
綺麗な笑顔が悲しい
絶望に胸が引き裂かれそうになりながら、それでも主人公は気持ちを隠し通します。
みっともない姿なんて見せたくない。
痛みをこらえて笑ってみせる主人公の顔は、綺麗なだけに悲しくなります。