ときめく理由が
急に スピード上げて
心のカーブを
近づいて来たんだ

出典: 奇跡は間に合わない/作詞:秋元康 作曲:宮島律子

歌は二番で急展開を迎えます。

心を寄せていた彼女が、なんとバス停に現れたのです。

歌詞はそんな突然の出来事を、曲がりくねった道路を走るバスのスピード感に乗せて表しています。

主人公の願っていた奇跡がついに実現しました

どきどきと高鳴る胸の鼓動が聞こえるようです。

思うようにはいかない

緑の木々たちに
見つめられているようで
何だか落ち着かない
2人が恋する確率

出典: 奇跡は間に合わない/作詞:秋元康 作曲:宮島律子

バス停に並ぶ二人の姿。

待ち続けた努力が実り、彼女との運命の再会を果たした主人公。

近づいて、仲良くなるまたとないチャンスです。

ですが、主人公はどこかぎこちない様子。

緊張と恥ずかしさのあまり、うまく彼女に話しかけることができないようです。

あるはずもない周囲の視線を感じて、思うように勇気が出てきません。

言葉をかけることもままならず、静かに隣り合うだけの他人同士。

こんなことでは、恋の成就など難しいでしょう。

二人が恋人同士になれる可能性はまだ乏しいようです。

一方通行の恋

奇跡は間に合わないだろう
純愛は そんなうまく行かないものさ
最終バスに乗れなくても
いつまでも ここで待つ
僕だけ恋人

出典: 奇跡は間に合わない/作詞:秋元康 作曲:宮島律子

バス停で出会うという奇跡が叶い、二人は再会を果たしました。

ですが、主人公の望む奇跡はもっと先にあります。

二人の距離が近づき、恋人関係になることです。

それに反して、現実はなかなか思うようには進みません。

それでも主人公は前向きなようです。

物語に描かれるラブストーリー。

それはすれ違いや困難を乗り越えた末に結ばれる、感動的なものです。

主人公はそれに自分たちの恋愛を重ねます。

うまくいかないのは、この先に待つ感動のドラマのため。

進展しない現状をそんな風に解釈して、恋愛の成就を信じているのです。

希望を胸に秘めながら、主人公は次の出会いを待ち続けます。

彼女は自分の運命の恋人なんだ。

そう疑わない主人公の心の中では、彼女はもう恋人同然の存在です。

ですが、当然そう思っているのは彼だけ。

そんな現状を無視した一方的な恋心歌詞の最後のフレーズに表れています。

二人の運命

バス停で彼女を待ち続ける。そんな日々が続きます。

希望と願いを込めてずっと待ち続ければ、いつか奇跡が起こるに違いない。

主人公はそう頑なに信じているのです。

過ぎる時間の中で彼女を愛しく思う心はどんどん大きくなっていきます。

彼女と恋人同士になれる運命は、主人公の中で揺らぐことはありません。

ですが、現実は厳しいものです。どれだけ時間が過ぎても、さらなる奇跡は起こってはくれません。

最後のサビが終わっても、恋人は目の前には現れないのです。

待ち続ける主人公の現状が進展することがないまま、物語は終わりを迎えます。

恋の行方

運命への過信

運命の恋を信じ、バス停で出会いを待ち続ける主人公。

奥手な主人公の一途でまっすぐな恋心はとても美しく、応援したい気持ちを抱かせます。

ですが、日に日に強まる思いは現実を置いてけぼりに、どんどん暴走していってしまいました。

彼女との恋に、主人公は少々大きすぎる幻想を抱いてしまったのかもしれません。

運命的な出会いが導いたこの恋は当然成就する運命にある。

だから、神様は必ず二人を巡り合わせ、恋人同士にしてくれる。そう強く思いこんでいたのでしょう。

それゆえに彼はただひたすらに二人がまた出会い、親しくなる運命を待ち続けていたのです。

待つことに対して彼はいくらでも忍耐強くあれました。

ですが、彼は待つことだけしかできなかったのです。

彼女と恋人同士になる運命を信じるあまり、そこに至る過程の努力を怠ってしまいました。

再び出会ったあの時に少しでも勇気を出せたなら、自ら運命をたぐり寄せることとができたかもしれません。

そうすることができなかった主人公は、それでも前向きに、起こる可能性が低い奇跡を待ち続けるのです。

タイトルの表すもの

「奇跡は間に合わない」という楽曲のタイトル。

これは主人公の願いの大きさに対して実際に起きた奇跡が足りなかったことを意味しています。

主人公の身に起こった奇跡では、恋愛を実らせるには至らなかったのです。

バス停に彼女が現れたあの瞬間。待ち続けた主人公の前に、確かに一度奇跡は起きていました。

ですが主人公が願うのは彼女と恋人になる奇跡です。再び巡り会うことは、前提にすぎません。

それゆえに奇跡を奇跡と気づかず、彼はチャンスを見逃してしまいました。

奇跡はそう何度も起こらないからこそ奇跡なのです。

バス停で待ち続ける彼には、彼女ともう一度出会える機会が訪れることはないでしょう。

主人公の求める奇跡は、運命に頼り待ち続けるだけでは叶うことはないのです。

待つだけでなく、自ら一歩を踏み出す。

それに気づけたならば、奇跡はもう一度彼に微笑んでくれるのではないでしょうか。

AKB48の楽曲

AKB48【奇跡は間に合わない】歌詞の意味を徹底考察!いつまで待てばいいの?せっかちな恋の行方に迫るの画像