40年に渡り歌い継がれる名曲「オリビアを聴きながら」
リリースと同時に大ヒットとはならなかったものの……
1978年11月5日、杏里のデビューシングルとしてリリースされたのが「オリビアを聴きながら」です。
17歳、高校2年生でのデビューでした。
上の画像は「オリビアを聴きながら」が収録されたファーストアルバム『杏里 -apricot jam-』のジャケット。
シングルから約2週間遅れの11月21日にリリースされました。
この「オリビアを聴きながら」の歌詞は、女子高生が歌うとは思えない大人っぽい内容になっています。
ジャケット写真は普通の17歳の女の子だし、歌声も若く瑞々しい。なのに歌詞は20代以上向けのイメージ。
しかし、リリース当時もそうでしたが、現在改めて聴いても違和感がほとんどありません。
その若さを凌駕するほどの歌唱力が、その頃から備わっていたということの証だと思います。
当時、この曲はそれほど大きいヒットにはなりませんでした。
17歳の女の子がこういう曲を歌うということに、時代が追いついていなかったのかもしれません。
今やポップス界のスタンダード曲!
その後の杏里はアイドル的な活動をしていましたが、4年程ヒット曲に恵まれませんでした。
しかしCMソングにもなった「思い切りアメリカン」のヒットをきっかけに、本格派アーティストへと方向転換。
ここから次第に杏里の人気は高まり、「オリビアを聴きながら」が再び見直されるようになりました。
80年代にカラオケが一気に進化・普及すると、彼女と同世代の女性の持ち歌として人気を博すようになります。
それとともに、多くのアーティストがカバーを発表しました。
こうして「オリビアを聴きながら」はスタンダード曲として完全に定着したのです。
作詞作曲はシンガーソングライター・尾崎亜美
「ポスト・ユーミン」とも呼ばれた実力派
杏里がデビューする2年前に、シンガーソングライターとしてデビューしたのが尾崎亜美です。
シングル「冥想」でデビューし、同年にファーストアルバム『SHADY』をリリース。
ニューミュージック界の実力派としていきなり注目され「ポスト・ユーミン」とも呼ばれました。
『SHADY』も超豪華な制作陣で、プロデューサーはユーミン=松任谷由実の夫、松任谷正隆です。
尾崎亜美本人もセルフカバー
「オリビアを聴きながら」は、1980年9月6日発売のアルバム『MERIDIAN MELON』でセルフカバーしています。
今回はご紹介しませんが、ネットに動画がいくつかアップされていますので、是非検索してみてくださいね。
カバーしたアーティストは10数人!
先にお話した通り「オリビアを聴きながら」をカバーしたアーティストは本当にたくさんいます。
岩崎良美、河村隆一、つるの剛士、中澤裕子・メロン記念日、マナカナ、稲垣潤一、グッチ裕三……。
その中でも特筆すべきは徳永英明でしょう。
彼が女性アーティストの作品のみをカバーした曲を集めたアルバム『VOCALIST』に収録されています。
このシリーズは大好評で、2015年までに6枚がリリースされ、累計300万枚を超える売り上げとなりました。
心を込めて歌い上げる動画
それでは、杏里が歌う「オリビアを聴きながら」の動画を見てみましょう!
透明感のある声で、切なく歌い上げていますね。
大人になってからの歌唱なので、より情感がこもっているように感じ取れます。