恋のはじまり
自転車で中学校に向かっている途中で、隣に住んでいる春菜が走って駅に向かっているのを見かけます。
抜かして先に行こうとした亮太を春菜が呼び止め、遅刻しそうという理由で2人乗りで駅に向かうことに。
このくらいの年頃だと、2人乗りというよりニケツという言葉の方が似合いますね。
春菜には何の恋愛感情も無かったのかもしれませんが、亮太の中に小さな恋心が生まれ始めます。
これまで近くにいても全く気にしていなかったはずなのに、少し浮ついてきます。
春菜が自転車を漕いでいることを亮太が指摘すると「青春映画みたいなの嫌だよ!」と返事が帰ってきます。
この”青春映画”という言葉を聞いた瞬間に、亮太に生まれた恋心の輪郭が濃くなりました。
次のカットで春菜の後ろ髪が映るシーンがあります。このシーンでおそらく、亮太は「髪綺麗だなぁ」「いい匂いがするなぁ」と考えているはずです。
女性からすれば馬鹿じゃないの?と思われてしまうかもしれませんが、思春期の男の子はそういう馬鹿な事しか考えられない時期があるのです。(笑)
心の浮き沈み
亮太はようやく自分の気持ちに気づき始めます。朝練習を遅刻した理由を問われ、冷やかされるのを嫌がりながらも本当はちょっと嬉しかったりするものです。
そんな気持ちを携えたまま1日が終わり家に帰ると、知らない年上の男性にニケツしてもらっている春菜の姿が。
目が合ったものの無言で家に入り、さっきまでの浮ついた気持ちから一気に転落します。無気力になり、抜け殻のようになってしまいました。
後日、春菜の様子が気になって、駅まで歩く春菜を追ってみる亮太。会ったものの、これまでよりも口数が少なく素直に話すことが出来ません。
一方先輩にニケツしてもらった春菜も、先輩に対する思いに気づき始めます。先輩のこと以外全て上の空といった感じでしょうか。
ですが帰り道で先輩に遭遇し、その先輩の彼女の存在を知ってしまいます。心は一気に沈んでしまい、急いで家に帰ります。
亮太と全く同じ状況に陥ってしまったのです。
大事なことは言葉にできない
2人とも失恋した形になってしまいました。
失恋し海で泣いている春菜を見つけた亮太。亮太が気になっていたこの前の先輩のことを聞くと「付き合っていない、彼女いるし」という返答が。
それに対して亮太はホッとしているかもしれません。春菜が好きだったことは薄々分かっていたかもしれませんが、それを気遣うことなんてまだ出来ません。
結局2人は以前と同じように港で楽しく遊んでいましたが、お互い好きな人に対して思いを告げることなくショートフィルムは終わりを迎えます。
夕日に照らされながら走る2人はとても眩しく、青春の甘酸っぱさが残ります。
終わりに
いかがだったでしょうか。家入レオさんの「春風」を紹介させて頂きました。
とても甘酸っぱい青春ストーリーで、続きが気になりますよね。その寸止め感も含めて素晴らしい作品だと思います。
中学、高校時代は単純だし、勇気も無いし、言いたいことが言えない。そういう経験をしたことがある方も多いでしょう。
自分の過去を思い返しながら観ると少し恥ずかしさもありますが、「春風」が物語を美しく彩っていますね。
このショートフィルムは「TIME」の初回限定版Bに収録されていますよ。
予約も受け付けているので、ぜひチェックしてみて下さい。
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