「ボクガ上手ク 歌エナイトキモ
一緒ニ居テクレタ・・・ ソバニイテ、励マシテクレタ・・・
喜ブ顔ガ見タクテ ボク、歌、練習シタヨ・・ダカラ」
出典: 初音ミクの消失/作詞:cosMo(暴走P) 作曲:cosMo(暴走P)
ここで冒頭の問いにあった、彼女が歌い続ける意味がわかります。
彼女の過去が語られるのです。
彼女には特別な人がいました。
“もっと歌の練習して、喜ばせてあげたい。”
そんな純粋な気持ちで、彼女は歌の練習を励んでいたことがわかります。
そう、彼女が歌を止めなかったのは、この人のおかげなのです。
人間の代わりのような存在だと悲しんでいた彼女。
それでも彼女は、自分の歌が人を幸せにできると分かり、そこに喜びを見出していたのです。
大好きだった
かつて歌うこと あんなに楽しかったのに
今はどうしてかな 何も感じなくなって
「ゴメンネ...」
出典: 初音ミクの消失/作詞:cosMo(暴走P) 作曲:cosMo(暴走P)
彼女は歌うことがどんどん大好きになっていきます。
ボーカロイドの歌姫として、たくさんの歌を作ってもらい、皆に笑顔を届けました。
やりがいに満ち溢れ、本当に幸せだったはずです。
しかし、そんな楽しかった日々も終わりを告げます。
それもそのはず。
人々は彼女のことを忘れてしまったのです。
人の笑顔のために歌い続けてきた彼女。
そのショックははかりしれません。
彼女は誰からも相手にされず、長い間一人寂しい思いをしたのでしょう。
今の彼女はもう、かつての歌う喜びも忘れてしまったようです。
思い出す
懐かしい顔 思い出す度 少しだけ安心する
歌える音 日ごとに減り せまる最期n・・
出典: 初音ミクの消失/作詞:cosMo(暴走P) 作曲:cosMo(暴走P)
そんな孤独な彼女は、かつての特別だった人のことを回想します。
彼女は、歌を歌っても幸せを感じられなくなってしまいました。
日ごとに声を奪われ、ひたすら最期の時を待つだけの身になります。
そんな彼女でも、歌う喜びを教えてくれたその人のことは、いまだに忘れられないのです。
幸せだった頃を思い出すのでしょう。
怖く、寂しい気持ちが、一瞬だけでもまぎれるのかもしれません。
自分を安心させてくれるような、本当に特別だったのでしょうね。
別れの曲
<最高速の別れの歌>
出典: 初音ミクの消失/作詞:cosMo(暴走P) 作曲:cosMo(暴走P)
でもね、アナタだけは忘れないよ
楽しかった時間(トキ)に
刻み付けた ネギの味は
今も覚えてるかな
出典: 初音ミクの消失/作詞:cosMo(暴走P) 作曲:cosMo(暴走P)
ここでこの楽曲が、別れの曲であったことがわかります。
彼女は特別な人、つまり“アナタ”へ向けて、最期の別れを告げるための歌なのです。
彼女はどうしてもアナタのことを忘れたくなかったのでしょう。
彼女に生きる喜びを教えてくれた人間です。
楽しいことや、笑いあったこと、いろいろな思い出があるのでしょう。
ちなみにネギというのは初音ミクのトレードマーク。
刻んだネギを食べさせてあげた、そんなほっこりする様子が伺えます。
「歌いたい・・・・まだ・・・歌いたい・・・」
出典: 初音ミクの消失/作詞:cosMo(暴走P) 作曲:cosMo(暴走P)
とても印象的な歌詞です。
ストレートな言葉が胸に突き刺さります。
彼女は大切なアナタのために、最期の力を振り絞って歌おうとしているのでしょう。
しかし、長い間独りぼっちで歌もろくに歌ってこなかった彼女には難しいことなのです。
声もどんどん出なくなっているのでしょう。
彼女はアナタに、別れの曲を届けることができるのでしょうか。