英語歌詞は感覚的な言葉なので色々な訳が可能です。
「いい線いっているわ」「満足よ」
こうしたニュアンスの言葉なので好きな訳を当てはめてみてください。
私は一晩中、踊り明かすことでトランス状態に陥っています。
大音量の音楽で踊ることができると多幸感に浸ってしまうものです。
私の気持ちがよく分かるというリスナーも多いでしょう。
このどうなろうともいいのだという気持ちは、自分をあなたに預けたいという思いなのかも。
クラブではDJの選曲にすでに身体を預けています。
私たちは自律的に踊っているつもりですが、それでも多くの部分が音楽家やDJの思惑によるものでしょう。
踊るということはうまく踊らされることでもあります。
誰かが紡いだビートに乗っているうちに、もうどんな状態になってもいいと思えてくるのが不思議です。
音楽に身体を預けるように、あなたに心を預けたい。
私の気持ちは誰よりも高みに向かって上昇するのです。
これだけ楽しめるのですからクラブ遊びはやめられません。
この出会いは本物だから
誰にも弁解しないわ
Feeling what I'm feeling no apology
Cause boy I know what I believe in and it's you and me
出典: YEAH-OH/作詞:DOUBLE Liv NERVO Mim NERVO 作曲:T-SK TESUNG Kim Liv NERVO Mim NERVO
「私は感じているように感じるの 弁解はしないわ
なぜなら私は信じているものが何か分かっているからよ つまりあなたと私のこと」
ダンス・ポップは言葉というものの響き合いとビートの絡み方を第一に考えます。
そのために原詩は回りくどい表現になっているのです。
ダンスから今夜の恋へと焦点が少し動きました。
出会ったばかりの男女がすぐに仲良くなれるのがクラブのいいところです。
踊っている姿に惹かれ合ったならばなおさらに関係は近付きます。
普通に挨拶するだけでナンパが成立することもあるくらい男女の間の垣根が低い空間です。
語り手の私とあなたの関係はいつの間にか男女のものになっていました。
クラブではよく見かける風景ではあるのですが。
人の恋路は多々自由であり、誰に責められるものでもありません。
惹かれ合ったふたりは急速に距離を縮めてゆきます。
本能に忠実にいること
Don't you hold back this feeling cause this time I'm sure
We're singing yeah-o. singing yeah-h-h-o
出典: YEAH-OH/作詞:DOUBLE Liv NERVO Mim NERVO 作曲:T-SK TESUNG Kim Liv NERVO Mim NERVO
「この感覚を押し止めちゃだめよ なぜって今回は確かなのだもの
『yeah-o yeah-h-h-o』と私たちは歌っているの」
タイトルは躍りながら歌っているときの嬌声でした。
意味がある言葉ではなく感覚的なものです。
その感覚を大事にしてと私はあなたに注文します。
躍り続けてトランス状態になっているふたりに降りてきた多幸感。
クラブの楽しみ方の醍醐味であり真骨頂でしょう。
日常生活ではクラブのような爆音でダンス・ミュージックを浴びられる住空間がありません。
また暗がりの中に光る照明装置なども自宅に設置するのは大変ですから誰もやれないでしょう。
クラブという空間は相応の設備があるからこそ異空間として重宝するのです。
日常生活では味わえないことばかりですし、大声で叫んでも許される空間は他にありません。
この夜を楽しみ尽くしている私の姿がまぶしいです。
本能や欲望に忠実に生きる夜の大人たち。
「YEAH-OH」が描きたかったものは魂の自由を謳歌する人々たちの姿であるのでしょう。
愛は誰にも邪魔されない
身体も心もヒートしてゆく
どんなにストップかけられても can't take anymore
(mo-o-ore)
ヤバいリズムに体熱くなっていくの(no-o no-o)
出典: YEAH-OH/作詞:DOUBLE Liv NERVO Mim NERVO 作曲:T-SK TESUNG Kim Liv NERVO Mim NERVO
英詩は「もう止められない(これ以上は)」といった意味になります。
誰に恋路を邪魔されようが私は信じた愛を突き詰めてゆくわと宣言するのです。
ダンスと恋に夢中になってヒートしてゆく身体。
クラブ・ミュージックのビートは人を音楽だけでトランス状態に引き上げてゆきます。
そこに愛という人間の本能の奥深い場所から湧き出る感情が相乗効果を生むのです。
私たちがクラブに夢中になるのはこうしたカタルシスを得るためでしょう。
クラブでは普段の暮らしならば味わえないような快楽に身を任せることができます。
この快感は音楽に合わせて身体を動かすという単純なことだけで得られるものです。
汗ばむ身体とともに脳みその方も沸騰してきます。
こんな気持ちよさが一晩中、夜が明けるまで続いて欲しいと刹那に願うのです。
さらに恋愛の悦びが興奮に輪をかけて語り手の私には全能感さえ芽生えてきます。
今夜のダンシング・クイーン。
私は夜を思うがままに統べる女王です。
週末には多くの女性がダンシング・クイーンになるためにクラブへと足を運びます。
風営法とクラブ暗黒時代
風営法の縛りで私たちが夜通し踊り続ける権利を奪われてしまった時代の歌。
それが「YEAH-OH」でもあります。
この風営法は後に改正されて、また夜通し踊れるようになりました。
しかしこの歌が発表された2012年から風営法でクラブの深夜営業が摘発されていったのです。
この歌「YEAH-OH」は明らかに一晩中踊ることを美しく描いています。
「YEAH-OH」には踊ることを縛る法律に対する挑発を含んでいたのです。
人は生まれながらにして自由に踊り、恋をする権利があり誰にも邪魔されるものではありません。
こうした信念が貫徹している歌が安室奈美恵の「YEAH-OH」です。
実は挑戦的で挑発的な側面を抱えたダンスのアンセムといえましょう。