aiko【おやすみなさい】
4枚目のアルバム「秋 そばにいるよ」収録曲
2018年にデビュー20周年を迎え、ベストアルバム「aikoの詩。」をリリースした歌手のaiko。
彼女は可愛らしいルックスとカリスマ性、そして女心を掴む歌詞に定評があります。
今回は数々の名曲の中から、9枚目のシングル【おやすみなさい】の歌詞を解説しましょう。
aiko初のドラマタイアップ曲
職、名声、家族、財産を失った元エリート銀行マン・小津が再就職までの仕事として私立高校の臨時教師となる。こうして先生となった小津と若者たちの交流を描く学園ドラマ。また大人が子供に教えられ、成長していく姿を描いた作品。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/さよなら、小津先生
今回ご紹介する【おやすみなさい】は、aiko初のドラマタイアップ曲。
当時フジテレビで放送されていたドラマ『さよなら、小津先生』のエンディング曲として使用されました。
このドラマは俳優の田村正和主演。
あらすじに関しては上記の通りで、コメディ要素の強い学園ドラマでした。
しかし、脚本家の君塚良一はドラマ放送中の2001年に起きた「アメリカ同時多発テロ事件」に衝撃を受けます。
そのせいか途中からドラマはシリアスな雰囲気に変わり、視聴者に感動を与えた作品の1つとなったのです。
【おやすみなさい】はラブソングなので、ドラマの内容に沿っているものではありません。
しかし、優しいaikoの歌声がドラマを観ていた人の涙を誘いました。
遠距離恋愛の終わり
【おやすみなさい】で描かれる楽曲のテーマは「遠距離恋愛の終わり」。
主人公は遠く離れた場所で暮らす男性と交際している、女性です。
しかし、遠距離恋愛にはすれ違いがつきもの。
この楽曲の歌詞ではついに主人公と彼に別れがきてしまった瞬間が描かれています。
一度も歌詞の中で二人が直接顔を合わした様な描写はなく、電話だけで恋愛が終わってしまうのです。
そんな切なく苦しい歌詞に注目してみましょう。
突然の別れ
それでは、1番の歌詞から解説していきます。
主人公と遠距離恋愛の彼はどんな風に普段過ごしていたのか。
そして、その別れはいつ訪れたのか…注目してみていきましょう。
二人を繋ぐもの
出逢った頃の二人は昨日の事の様 あれから幾年も経って
今ある二人の現状は嘘の様 さよならなんてね
二人を繋ぐ一本の波は暖かくもあったり
止まらないあたしの言葉に優しく耳を傾けてくれた
出典: おやすみなさい/作詞:AIKO 作曲:AIKO
2行目に描かれている「二人の現状」とは、今別れが目の前に訪れている現状のこと。
きっと主人公と彼はこれまで仲良くやっていたのでしょう。
遠距離恋愛だからこそ、二人を繋ぐものは電話しかなかったのです。
最後の行からも分かるように主人公は日常のことを彼にたくさん話していました。
そして、それを自分のことのように時には喜び、悲しんでくれた彼。
そんな風に上手くやっていける…と信じてたのに、本当に別れは突然だったのです。
想像すると、主人公の絶望が伝わってくるのではないでしょうか。
切ないaikoの声で余計に胸が締め付けられます。
いつもの「おやすみ」
絶対忘れたりしないよ あなたの事 めーいっぱいの楽しさ
過去を愛しく思える様に 心込めて 最後のおやすみ
じゃあね おやすみ
出典: おやすみなさい/作詞:AIKO 作曲:AIKO
まだ別れを受け入れられない主人公。
けれど、彼のことを責めたりしません。
それは自分のことを本当に彼が愛してくれていたと分かっているからでしょう。
幸せだった時間、喧嘩したこと、彼の優しさ。
そのすべてが胸を締め付けるものではなく、尊い思い出に変わるまで頑張ろう。
そんな気持ちを込めて、主人公は電話越しに彼に対して「おやすみ」という言葉をかけるのです。
さよならではなく「おやすみ」。
これはいつも電話を切る時に伝えていた言葉なのでしょう。
別れの言葉は悲しくなるから、あえていつもと同じ言葉をかけた主人公。
そんな主人公の気持ちに涙が溢れそうです。