D.A.N.もサカナクションもDJやトラックメイカーではないバンド形態のダンスミュージックにこだわりアリ。
歌とダンスミュージックとロックをどの分量で混ぜるか?
というさじ加減は非常に繊細ですが、この2バンドは相性がいいでしょう。
実際サカナクション主催のイベントにD.A.N.が呼ばれてから交流があり、お互いをリスペクトし合う仲。
むしろサカナクションの山口一郎さんがD.A.N.を絶賛しています。
サカナクションの「ネイティブダンサー」についてはこちらの記事で詳しく解説されていますので要チェック!
サカナクション「ネイティブダンサー」のPVがカッコよすぎる!!歌詞情報はこちら♪ - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
実験的な音楽が人気のオルタナティブ・ロック・バンド、サカナクション。 そんな彼らの名曲のひとつ、「ネイティブダンサー」に迫っていきたいと思います!
ウェイン・ショーター『Native Dancer』にインスパイア
ただネイティブにはさらにネイティブが存在しまして……。
アメリカのジャズサックス奏者ウェイン・ショーターは、1975年にソロアルバム『Native Dancer』をリリース。
ウェザー・リポート在籍中のことでした。
D.A.N.もサカナクションもインスパイアされたのはこのアルバムタイトルなんですね。
「Native Dancer」という楽曲はないので、1曲目に収録されている「ポンタ・ジ・アレイア」を聴いてみましょう。
ボーカルはミナス系ブラジル音楽の代表的シンガーソングライターのミルトン・ナシメント。
ウェイン・ショーターはソプラノサックスを奏でており、ピアノ・キーボードはハービー・ハンコックです。
「Ponta de Areia(ポンタ・ジ・アレイア)」の邦題は「砂浜の岬」。
ブラジルの湾岸都市サルバドール(バイーア)近くのイタパリカ島北端にある海岸および鉄道の駅の名前です。
ミルトンの故郷ミナスから砂浜の岬へ続く鉄道はすたれてしまって今は誰もいない……と歌われています。
ある土地に根ざせば根ざすほどその空間が無限に広がるような禅問答。
誰しも生まれながらにして旅するダンサーなんだよ、と言いたげな浮遊感。
こうした雰囲気がD.A.N.の「Native Dancer」にも受け継がれているのではないでしょうか。
【歌詞】光と闇の間で踊ると目覚める何か
さていよいよ歌詞についてです。
MVとタイトルの解釈だけでも「どこまで広げるの?」といった調子でしたが、これでもほんの序の口。
実際の歌詞のほうがはるかにぶっ飛んでいます。
ちなみにD.A.N.は櫻木大悟さんのワンマンバンドではなく、作曲はすべてD.A.N.の3人で行われています。
ただ作詞についてはボーカル・ギター・シンセの櫻木大悟さんがすべて担当。
その櫻木大悟さんがバンドのボーカル&作詞家として最もリスペクトしているのが坂本慎太郎さん。
元ゆらゆら帝国です。
ここで1番に名前があがるのがサニーデイ・サービスの曽我部恵一さんではないところがポイント!
このニュアンスがいまいちピンとこない人はゆらゆら帝国とサニーデイ・サービスの記事を確認してみましょう。
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無我の境地で逢えたら
ゆらゆら帝国ほどの破壊力を受け止める準備はできましたか?それではいきますよ。
身体は半導体
幽霊のような状態
来世で逢えたら
最愛なモメント
出典: Native Dancer/作詞:櫻木大悟 作曲:D.A.N.
いきなりきましたね。
最初の一言で「半導体のように電気を通したり通さなかったりする身体」になります。
ん?と考えているあいだに肉体を離れ、サクッと来世へ導かれます。輪廻転生ですね。
半径何メートルかの日常の出来事やもやもやした感情なんかはどこへやら。
無我の境地で逢えたらいいねとささやかれます。展開は早いです。
無心になろう
無邪気な緊張感
誰にもバレないように
ハダカで踊ろうか?
単純に妙な気分
出典: Native Dancer/作詞:櫻木大悟 作曲:D.A.N.
具体的な現実から抽象的な空想世界へ一気に飛ばされたので、少しブレイク。
ちょっぴり緊張しちゃったね。不思議な感じがするね。共感しながら寄り添ってくれています。
もう下世話な日常から離れているので「ハダカで踊る」とは「実際に服を脱ぐ」ことではないとわかりますね。
この抽象的な空想世界にすんなりハマった人には歌詞以上の言葉は不要でしょう。
ただ置いてけぼりを食らったような気分の人もいるかもしれません。
あえて加えるなら「自己中でワガママな私を脱ぎ捨てる」「無邪気=無心になる」といったところでしょうか。