恋の終わりがすべておとぎ話のように、めでたしめでたしで終わるなんて思っていません。
現実の中で生きていれば、すべてハッピーエンドに終わるなんてことはあり得ないことも分かっています。
それでもどこかで結果を求めている、二人の幸せな結末を祈っている。
願いをかなえる「ながれ星」が見えているからきっと願いは叶うと信じたい。
子供っぽいとか、めんどくさいロマンチストなんて思って欲しくは無いけれど、どこかで願っています。
迎えに来てくれるのは目の前にいるあなた、ひざまずいて私に手を差し伸べてくれるのはあなたであることを。
必要なのはあきらめなの?
愛はお酒でごまかせない
初めての恋じゃあるまいし
初めてのキスじゃあるまいし
ただ泣きそうになる
少し酔ったみたい
帰ろうかなまだ呑もうかな
出典: ながれ星/作詞:福山雅治 作曲:福山雅治
何度人を好きになっても、出会いは新鮮で大切にしたいこと。
何度目なのか数えたことは無いけれど、恋には鮮度が必要と思っている。
抱き寄せられて受ける手慣れたキス。熱々でラブラブな証拠なんて言われても、冷めた自分を感じてしまう。
帰りたいなんて言えば、じゃあ帰ろうって秒で答が返ってくるのは分かり切っています。
二人一緒にいるのに、今夜はあなたから誘ってくれたのに、私を俯瞰するように見ているのはなぜ?
恋に乗り込めないのはまだ呑み足りないから、それなれば今夜はお酒に癒してもらおうかな。
もう一杯注文すれば、あなたといる時間だけでも延長可能。
あなたの隣に座っていいのは私だから、私だけだから、そんな思いを心の中で一人繰り返すだけです。
今はそんな気持ちになれないから
大人だからしない、作り笑顔は
愛想笑いも上手に出来ない
まるでタイプじゃないはずでしょう
ふざけて頭を撫でたりしないで
もっと無口になってしまうから
出典: ながれ星/作詞:福山雅治 作曲:福山雅治
作り笑いって必要なの?、それよりも心から笑いたい。本当はあなたの前で思い切り笑いたい。
笑って年齢忘れてはしゃいだら今夜がもっと楽しくなるんでしょ、言われなくても分かっています。
見透かしたような急な頭ポンポンにも戸惑うだけです。女子なら誰でも喜ぶなんて思って欲しくありません。
触れて欲しくない、心にも身体にも。ぬくもりをもらっても、今は弱くなってしまうだけ。
沈黙でこの場をつなぐのはもう限界。
話して欲しいことは沢山あるのに、私が求める返事は返ってきません。
積もってしまった切なさと悲しさで、ここでは立ち上がる気力が失速していきます。
もう一度夜空に目を移せば
決してあきらめじゃなくて
これ以上の答えを
望んだりはしないわ
詠み人知らず口ずさむ
歌のように終わらせるから
ながれ星に出逢ったみたい
願い事三回数えてる
また夢を見てる
出典: ながれ星/作詞:福山雅治 作曲:福山雅治
一晩の、時間にすれば2~3時間の一場面が歌詞になっている「ながれ星」。
迷う女子のメンタルをえぐるような場面を描いた後は、今夜と恋の終わらせ方を自問自答です。
二人でいる時間を無駄とは思わないけれど、今日はもう帰ることに気持ちが傾き始めました。
立ち上がるきっかけにも、大人女子ならではの気遣いが読み取れます。
もしかしてその気遣いが要らない?と言われてもマナーとして心得る余裕も見せたいところ。
耳にしたようなしてないような、自分だけが知っている歌を思い出して心をフェイドアウト。
『迷惑はかけないから』を、合言葉のようにつぶやいて夜空に視線を移します。
次はいつ会えるって聞いてみたい、今夜は楽しかったと素直に言ってみたい。
本当の気持ちが話せるのは「ながれ星」だけ、あなたには言えない本音を星に聞いてもらいます。
あなたを振り向かせて目を合わせて言って欲しいことは、星だけが知っていること。
カウンターのバーテンダーとは楽し気に話すのに、どうして私との会話は弾まないの…。
星に話しかける自分を知ろうともしないで、見えるのは機嫌よく呑み続ける男子の表情。
見放す訳では無く、どこかで自由を楽しむ男子。そこを許せない女子が男子を無言で責めます。
冗談と解釈して明るく振舞って心の底から楽しめば良かったのにと、心の中ではすでに反省会が進行中。
でも違う、何かが違うのだけれどそれを口に出せない、迷路から抜け出せません。
自分から言うのはやっぱり違うと思っているから、今日はもうここまで。
本音を受け止めてくれた星はもう空から姿を消したようです。
立ち上がるタイミングは合っているはず。
帰り際も印象良くなどと計算をしつつ、ハンドバッグを引き寄せます。
すべてが泣くところです
大人の恋は現実だから
初めての恋じゃあるまいし
初めてのキスじゃあるまいし
ただ泣きそうになる
夜が終わるみたい
ひとりでも帰れるわ
出典: ながれ星/作詞:福山雅治 作曲:福山雅治
恋に慣れることは無いけれど、胸が痛む恋があるのを知っているのは確かなこと。
痛みばかりではなく、キュンキュンときめく恋だって知っています。
楽しい恋も知っているけれど、目の前の現実の恋を大切にしたい。
恋をすることが楽しい時期は期間限定、すでに自分は終わっています。
また失敗かも…なんて不安が胸をよぎるのに、何気に頬を寄せてくる相手を受け止めました。
これは愛じゃないの、愛されていると思ってはいけないの、否定の言葉で交わすキスは塩分が多めかも。
でも泣かないのは、荷物にならない・迷惑をかけないを優先しているから。
ハンドバッグを手にして立ち上がって、『楽しかったわ』と笑顔で返して今夜はこれで終わり。
強制終了ではありません。終電1本前の、ひとりでも帰れる時間だから終わりにします。
お酒を残して立ち上がるあなたから目をそらします。潤んだ瞳は見られたくないから。
心配しないで駅まで歩けるから、ひとりで帰れるから大丈夫。
刹那の夜が終われば、ひとりとひとりになるのはもう慣れっこです。