僕はわざと〇〇をした
忘れ物をした
想い合ってりゃ上手くいく
ような歳でもなくなったけど
想い合うからこそ僕は
彼女の部屋に
わざと忘れ物をしたんだよ
せずにはいられなかったんだよ
出典: 相思相愛/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡
冒頭で僕が頭を抱えていた理由が判明しました。
別れを切り出した彼女の部屋に意図的に忘れ物をすれば、たしかにもう一回会わなければならなくなります。
僕にしてみると、もう一回会えるというラッキーチャンス。
もしかしたらよりを戻せるかもしれないという下心もあるかもしれません。
あるいは、本当に愛がなくなったのならやっぱり面と向かってそう言ってほしかったという解釈も考えられます。
しかし僕の願いは叶うでしょうか?
むしろ僕自身がわかっているとおり、わざとらしい行為はあまり褒められたものではありませんね。
そのせいで彼女にはっきり嫌いになったと言われる可能性はありそうです。
ただ、せっかくきれいに別れようとしていた彼女の心は踏みにじられてしまうかもしれません。
さて、この部分の失恋物語にも裏テーマを重ねられるでしょう。
やっぱり「相思相愛」という曲は、ヒゲダン流のインディーズレーベルへの忘れ物だったのではないでしょうか。
それでもやり直したかった
「さよなら」
それだけのシンプルな
たった四文字で終わっておけば
「ごめんな」そう言えば
いつでも全てを
やり直せる気がした
出典: 相思相愛/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡
僕自身も故意の忘れ物については後悔しているようです。
あんなわざとらしいことをしなければ良かったという感じでしょう。
ただ、僕がそう思う理由はサスペンスを越えてホラーに近い様相を呈しています。
きれいに別れたままなら、いつか彼女とまた会って謝ることができる。
僕が謝りさえすれば、よりを戻せる可能性がある、というのです。
その可能性はないという冷静な判断は僕にはできません。
2人にはまだ愛があるはず。別れるなんてあり得ない。そう思い込もうとしているのでしょうか。
未練が感じられます。
やっと言えた言葉は?
本当はわかっている
「相思相愛じゃない」
「疑う余地もなく愛はない」
そこまで言い切る
覚悟は出来てない
最後の最後で中途半端なんてもう
情けない
痛いほど分かってたって辛い
出典: 相思相愛/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡
サビで繰り返されるフレーズは、僕自身わかっているけれども受け入れられない現実です。
そして傷つくとは知りつつ、どうせなら彼女にはっきり言ってもらいたかった言葉でもあります。
グチや言い訳をわざわざ歌にして繰り返すことで、ごちゃごちゃした心の中が整理されてくるでしょう。
これが泣きのブルースの役割です。
ありがとう、涙
「相思相愛じゃない」
「疑う余地もなく愛はない」
「今後一切いない」
「彼女はもう僕のもんじゃない」
恋しくて寂しくってたまらない
傷つけすぎたな
堪えられなかったな
もうおしまい
どうかもっともっと
幸せになってください
相思相愛 サンキューグッバイ
サンキューグッバイ…
出典: 相思相愛/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡
最後の最後に、ようやく彼女に対して「ありがとう、さようなら」と感謝を込めて別れを告げました。
故意の忘れ物をするほど最低だった僕が、彼女の幸せすら願っています。
この大団円で誰が涙を流さずにいられましょうか。
ヒゲダン、ずるい!
そう、わかっていても号泣です。
このヒゲダン流ブルース「相思相愛」こそ、彼らがインディーズにわざと残した置き土産でした。