過去に縛られずに見つめ直す

乃木坂46【帰り道は遠回りしたくなる】感動的なMVを独自解説!どんな道でも幸せになれる…って思える!の画像

別々の道を歩いていた二人。

それぞれの「西野七瀬」として対面します。

あの瞬間を忘れない

帽子とマスクで変装したアイドル西野七瀬は、カフェで絵を描いていました。

あの日割れてしまった眼鏡の絵です。

そばにいた男性に絵を褒められたものの、素直に笑えない彼女。

しかし徐々に表情が解け、最後は楽しそうに鉛筆を滑らせていました。

彼女はなぜ、割れた眼鏡の絵を描いていたのでしょうか。

アイドル西野は、自分の人生が「アイドル」と「美大生」に枝分かれしたことは知る由もありません。

しかし眼鏡の落下が人生の転機となったことには気づいています。

オーディションに合格したときは「あのときバスに乗っていたらアイドルになれなかった」と思ったはずです。

しかしアイドルになって「あのときバスに乗っていたらアイドルにならずにすんだのに」と思ったはずです。

後者のネガティブな考えが嫌で、眼鏡のことは極力思い出さないようにしていたのかもしれませんね。

でも彼女はあえて思い出し、写実的な絵を描きました。過去としっかり向き合ったという意味です。

そして、眼鏡の落下だけでない全ての出来事が今の自分を作っているのだと確信したのでしょう。

いくつもの転機を経て今の自分がいます。過去を嘆いている暇はないのです。

今やるべきことをやらなければ!

きっとこの一瞬にも意味がある

店を出たアイドル西野七瀬とぶつかったのは、美大生の西野七瀬でした。

落下したデッサン用の鉛筆を拾い上げた美大生は、アイドルに手渡します。

あの眼鏡とそっくりな眼鏡を掛けた美大生を見て、彼女は何を思ったのでしょうか。

デッサン用の鉛筆を持っていたアイドルを見て、美大生は何を思ったのでしょうか。

知り得なかったもう一人の自分と対面したことに、気づいたのかどうかは分かりません。

ただ、ぶつかったこの一瞬、鉛筆が落ちた一瞬にも何か意味があるのではないでしょうか。

2人が出会ったというのは、ここで2人の運命が交差したということを表しているのでしょう。

どちらの西野七瀬も未来が少し違っただけで、それまで2人は同一人物でした。

ここからは自分にとっての未来の可能性というのは些細な違いでしかないということが分かります。

違う選択をしていた自分も、今の自分も懸命に生きている。

そんな想いがここに表れているのではないでしょうか。

帰る場所がある素晴らしさ

アイドル西野七瀬はダンススタジオに戻ってきました。

嬉しそうなメンバー。その中の一人が彼女に「おかえり」と笑って声をかけます。

以前とは別人のようにキレのあるダンスを踊る彼女。

今できること、今しかできないことを理解したようです。

西野七瀬が卒業した後、「やっぱり乃木坂46に戻りたい」と言うことはないと思います。

しかし卒業するにあたって「いつでも戻っておいで」と送り出されるのは幸せなことです。

帰る場所があるから、勇気を持って外に出られるのではないでしょうか。

いつまでも「伝える」存在でありたい

過去に負けない人に

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友人があてたチケット乃木坂46のコンサートに来た美大生。センターで歌うアイドル。

お互いの存在に気づき、じっと見つめ合いました。

次の瞬間、美大生はステージで踊り、アイドルはフロアでサイリウムを振り、すぐにまた自分自身に戻ります。

そしてアイドルが「強くなりたい」と歌ったのです。

アイドル西野七瀬は、もしかすると美大生の人生を生きていたかもしれません。

だからこそ、自分を向こう側に投影したのでしょう。自分は誰かを応援する立場にいたかもしれないのです。

ただの女子高生でしかなかった自分がアイドルになったのは、あの一瞬があったから。

そんな「偶然」の産物である自分をこんなに応援してくれる人がいるのに、自分は過去に負けそうになっていました

だから「強くなりたい」のではないでしょうか。

またこの歌詞には、乃木坂46を卒業する現実の西野七瀬の心情も表されていると考えられます。

今までは周囲にメンバーやスタッフという仲間がいる環境でした。

しかし、グループを卒業すれば必然的に1人で仕事をすることが多くなります。

だから自分1人でも未来を切り開いていくために、強くなろうという決心の現れなのではないでしょうか。

伝える人でいたい

美大生はスケッチブックを取り出し、歌の終わりとともにアイドルに向けて掲げました。

そこに書かれていた「ありがとう」の文字を見たアイドル西野は、何もない空間に人差し指を滑らせました。

カタカナで「アリガト」

美大生は彼女らしい静かな微笑みを見せ、アイドルは彼女らしい華やかな笑顔を浮かべたのでした。

アイドル西野の「アリガト」は、彼女から見れば鏡文字

つまり、相手に読んでもらうことを意識して書かれたものです。

このことから、西野七瀬は卒業後も誰かに何かを伝える存在でありたいのではないかと感じました。

また、違う道を歩んだ2人がお互いに感謝をするというのは、自分のあり得た未来を肯定することにも繋がります。

分岐した別の自分も今の自分も、その想いの根本は変わらない。

だからこそ頑張ってくれてありがとうと、お互いの努力を労ったのではないでしょうか。

「帰り道は遠回りしたくなる」は、西野七瀬のこれまでとこれからが沢山詰まっている楽曲でした。

「帰り道は遠回りしたくなる」は自信をくれる

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人生に後悔はつきもの。あのときあんなことをしなければ……と考えてしまうことは誰にでもあります。

きっと「あんなことをした」瞬間が、人生の分かれ道だったのです。

その瞬間に戻ることはできませんが、受け入れることならできます。

あのときの行動が今の自分を作っていて、今の自分はこれから先を選択することができるのです。

枝分かれした木の枝に、実がなるかどうかは自分次第。

自分の選択が最良、そう思えるように毎日を懸命に生きていこう。

これが「帰り道は遠回りしたくなる」のMVから感じたメッセージです。