美しい風景のような世界
まるで映画のサウンドトラック?
この広い海いっぱい 咲く舟を
ひとつ残らず あなたにあげる
青い帆に イニシャルつけて
出典: この広い野原いっぱい/作詞:小薗江圭子 作曲:森山良子
野原・夜空、そして海。
彼女の心に広がる世界はまるで美しい風景を描いたキャンバスのようです。
そこにある花や星や舟はすべて”あなた”への贈り物になるのです。
青い海に浮かぶ舟たちを花のように咲くと表現した作詞者のセンスはやはり素敵だなと思います。
白ではなくて青の帆につけるイニシャルは聴く人それぞれ違うでしょう。
キャンバスに描かれた絵画を思い浮かべるように、好きな人の名前が心に浮かびます。
名前ではなくてイニシャルにしたことで思い浮かべた好きな人の姿が美しい風景に溶け込むのです。
森山良子の爽やかな歌声は映画のサウンドトラックのようにロマンチックな世界を彩ります。
柔らかく優しい愛の世界とギターを弾きながら歌う彼女の姿がシンクロするようです。
求めるのではなくて全部あげるというおおらかな気持ちも”広い”という言葉とシンクロしています。
彼女が欲しいものとは?
実は寂しく切ない愛だった
この広い世界中の なにもかも
ひとつ残らず あなたにあげる
だから私に 手紙を書いて
手紙を書いて
手紙を書いて
出典: この広い野原いっぱい/作詞:小薗江圭子 作曲:森山良子
3番の歌詞までは相手になにも求めない無償の愛のような広い心を持つ愛が描かれています。
しかし愛する人は彼女の傍にはいなかったのです。
美しい世界にあるものすべてを贈りたいと歌っていた少女のように純真な姿。
そこには遠く離れた彼に会いたいという焦がれるような想いがあったというわけです。
離れているうちに彼に会いたい気持ちは募り、素敵なものを贈るから手紙を書いてと祈っていたのです。
スマホでいつでも繋がっていられる今と違い、ふたりを結ぶものは想いを乗せた手紙しかありません。
情報に溢れすぐに何らかの答えが出る今とあの頃とでは考える時間の長さがまったく違っていました。
スマホの中の短い言葉が気持ちを揺さぶることもあるでしょう。
レスポンスの速さはふたりの距離を縮めることもありますが、ぷつっと切れてしまうこともありそうです。
簡単に繋がることができるかわりにスマホの中だけで物語が終わってしまうこともあるのではないでしょうか。
手書きの文字には性格も表れていて、字の上手い下手にかかわらず読む人の心に入ってくるものがあります。
手紙を待つ間にもいろいろなことが心に浮かんで、ますます相手を想う気持ちは強くなっていくでしょう。
最後に繰り返す歌詞には愛と背中合わせの切ない気持ちが溢れています。
最初は優しくロマンチックな愛を歌っているように思えたこの曲は、実は寂しく切ない愛を歌っていたのです。
そう思うとアコースティックギターの音色と済んだ歌声が、なおさら心に染みてきます。
昔と今とでは連絡を取る手段が違うというだけで人を愛する気持ちが変わることはありません。
好きな人からLINEで連絡が入るのも手紙が届くのも嬉しさに違いはないでしょう。
ただいつでもどこにいてもすぐに、というところに違いがあるのです。
離れていてもスマホでふたりが好きな曲を聴いていれば繋がっているように思えるかもしれません。
だけどイヤホンを外せば音楽も心もぷっつり切れてしまうような気もします。
遠距離恋愛をしている人はサプライズで手紙を書いてみると喜ばれるかもしれませんね。
母から子へ受け継がれたDNA~森山直太朗
「さくら」~桜ソングの大定番
音楽一家に育った森山良子のDNAはしっかりと子供にも受け継がれています。
彼女の長男、森山直太朗の名前はこの曲で知られるようになりました。
若い世代にとってはむしろお母さんより彼のほうが有名で馴染みもあるでしょう。
大ヒットした名曲「さくら」の記事をご紹介しますので、是非読んでみてくださいね。
【さくら/森山直太朗】春ソングの定番!合唱などで歌う前に知りたい歌詞の意味全部教えます!コード譜あり - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
春ソングの超定番曲で世代を超えてずっと歌い継がれる森山直太朗の「さくら」!歌詞の意味とコード譜を紹介しています!
「若者たち」~ドラマの主題歌をカバー
「この広い野原いっぱい」がリリースされる前の年に放送された「若者たち」。
胸に沁みる主題歌が、まだモノクロで放送されていたドラマとともにヒットしました。
2014年にリメイクされた作品では主題歌を森山直太朗がいい感じでカバーしています。
この曲の歌詞について解説された記事がありますので、こちらも是非読んでみてくださいね。
「若者たち」森山直太朗の歌詞は若者へ送る応援歌!ドラマ現代版『若者たち』主題歌♪【PVあり】 - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
2014年にリリースされた森山直太朗の20枚目のシングルである「若者たち」は、元々はザ・ブロードサイド・フォーが1966年リリースしたシングルのカヴァーです。同名のドラマ「若者たち」の主題歌として制作され、2014年に現代版として蘇りました。若者たちに送る応援歌である「若者たち」の歌詞に迫ります。
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