ギターロックの旋風を巻き起こしたバンド
00年代の邦楽ギターロック界を台頭した「ASIAN KUNG-FU GENERATION」。
哲学的な歌詞に、つくり込まれた気持ちの良いサウンドで現在でも人気を博しています。
そんな彼らが世に出始めた初期の作品「ループ&ループ」。
当時は、軽自動車のCMやテレビドラマともタイアップしました。
「ループ&ループ」は、世間に名を知らしめた代表曲のひとつ。
若者たちに支持された秘密を、歌詞面から紐解いていきます。
まるで自分たちの過去のようなMV
歌詞のヒントが隠されている?
登場するのは、メンバーの4人。
それに加え、本人たちに似た?ような学生4人が出てきます。
どういった意図なのかは不明確ですが、おそらく過去の自分たちを重ねている模様。
この学生たちが箒と机でエアバンドを組んでいる姿も出てきます。
やはりこのMVは、過去の自分たちを表しているのでしょうか。
絡まる過去と未来
先述を前提とすると、MVで表現しているのは過去と現状の自分たちの繋がり?
今のメンバーひとりひとりの特徴を上手く捉えた、この学生たち。
見たところ、みんなの中心になって目立っているという雰囲気ではありません。
どちらかといえば、教室の片隅で自分たちなりの青春を温めていそうなタイプ。
ここから今の自分たちに、どうつながっていくのでしょうか。
描きたい未来を現実の自分に邪魔される
目指したい“その光る明日”とは?
右手に白い紙
理由なき僕の絵を描いた途中で投げ出す
その光る明日を
左手汚して
名も無き君の絵を描いた宇宙で出会った
その光る明日を
とめどない青 消える景色 終わる冬を
出典: ループ&ループ/作詞:後藤正文 作曲:後藤正文
特別な根拠があるわけではないけれど、頭の中にぼんやりと描き出される未来。
しかし、その輝かしい明日を想像するのさえ途中でやめてしまいます。
さらに、まだ確固たる将来を想像できない、過去の幼い自分。
自分に見合わないと思いつつも、輝かしい大きな夢を思い描きます。
そんな根拠のない想像の未来に、何かを縋る自分。
現状の自分はどうしようもない感じだけど、やっぱり希望はあるんじゃないか。
長かった冬を抜け出し、自分の思う夢に向って前へ進もうとしているようにも見えます。
自信の無さと希望が繰り返される
抜け出す扉を沈めるひどい雨
染み込む心の奥底に響いて
頼りない明日の儚い想いも
僅かな光で切り取る白い影
出典: ループ&ループ/作詞:後藤正文 作曲:後藤正文
それでもやっぱり気がつくと、自分を凹ますものが世間には溢れている。
自分の心の奥底に、じっとりと鬱屈とした気持ちが日々積もっていきます。
そんな中にも、未来への信念は僅かばかりではあるが、なくもない。
凹まされたり、また元に戻ったりを繰り返しながら、毎日は進んでゆくのです。