所詮 突き刺して彷徨って塗りつぶす君の今日も
つまりエンド&スタート
積み上げる弱い魔法
出典: ループ&ループ/作詞:後藤正文 作曲:後藤正文
右往左往して結局は前に進めた気がしないまま、また今日も終わってしまう。
だからといって日々が終わるわけじゃない、また明日からは始まりになる。
そんな風に、日常は繰り返しで出来上がっていくものです。
そして何も残らなかったように見えた今日も、きっと少しは変化があったはず。
どんなに些細なことであっても、その積み重ねが未来に繋がることだってあるでしょう。
思い込みに縛られずに
由縁 失って彷徨って垂れ流す 僕の今日を
走り出したエンドロール
つまらないイメージを壊せ
そうさ
出典: ループ&ループ/作詞:後藤正文 作曲:後藤正文
何が発端で、今がこんなことになっているか分からない。
自分の中で、“自分はこの程度だ”と決めつけてしまうこともあるでしょう。
これまでの結果が今。
そうだとしても、大切なのは“これまで”などではありません。
勝手に限界を決めて、これ以上にはなれないと思う現状。
でも、そんな思い込みは捨ててしまえ、といったところでしょうか。
次世代を背負う自分の遺伝子
こうなったのは一体誰のせい?
君と僕で絡まって繋ぐ未来
最終形のその先を担う世代
僕が描いたその影に君の未来は霞んでしまった?
出典: ループ&ループ/作詞:後藤正文 作曲:後藤正文
さて、ここまでで出てくる“君”と“僕”とは誰を示しているのでしょう。
MVや今までの歌詞の内容を鑑みると、おそらく過去と現状の自分のことです。
“君”が、MVに出てきたような未来の分量がより多い過去の自分。
“僕”が、気づくとどうしようもない感じになってしまっていた現在の自分。
そして“最終形のその先を担う”のは、未来の自分ということでしょう。
“僕(現在の自分)”が勝手につくりあげてしまった限界や失望。
そのせいで、過去の自分が本当に描きたかった未来ではなくなってしまったのか?
過去、そして未来の自分を、現在の自分が苦しめていることになります。
人生はループするもの
結局ループしているのは、浮いたり沈んだりする日常。
そして、過去や現在の自分のことでしょう。
確かな夢があったけど、自信のなさから胸を張って前へ進めなかった過去の自分。
まだ心のどこかに夢はあるのに、限界を決めてしまっている自分。
かつてから自分は変わることができていない。
同じようなところをぐるぐるとループしており、成長していないことに気がつきます。
今までのイメージを壊し、殻を破らない限りは変われない。
このループからは抜け出さないといけない。
実は、そんな強いメッセージが隠されているような気がします。
どこか諦観的な現代人には、かなり通ずるものがあるのではないでしょうか。
もちろん若者たちだけでなく、中堅の社会人や中高年など・・・
よくよく聞いてみると、かなり刺さるものがあります。
決して熱烈な応援の言葉があるわけではないのに、不思議と活力になる曲。
曲中に込められた強い信念が、しっかりとリスナーの心に残ります。
心を揺さぶる表現はなくても、さりげなく伝わってくる想い。
このサラリとした格好良さは、いつまで経っても色褪せません。
本人たちの本意は分かりませんし、もっと違った解釈もできると思います。
ですが、こういった見方もできる、ということをぜひ参考にしてみてください。
ループ&ループが収録されている「ソルファ」
オリコン初登場かつグループ初の1位を獲得した作品です。
Oasisへのオマージュになっている“振動覚”。
バンド史上最大のヒット曲となった“リライト”。
ビッグサイズのザリガニが登場する個性的なMVの“君の街まで”。
音楽番組のタイアップ曲となった“サイレン”。
・・・などなど、その他名曲が多数収録されているアルバムです。
前作の「君繋ファイブエム」に続き、2枚目のフルアルバムとなった作品。
しかし本人たちは、「何故あそこまで売れたのか分からない」と見解しています。
そんなこともあってか、2016年には再レコーディングバージョンを発売。
当初から10年以上経った後での制作作品。
どんな風にサウンドが変化しているのかも見ものです。
ブリットポップ色の強い初期アジカン
“いかにも”なスタイリッシュさはないものの、確かな演奏力や曲の構成が魅力の「アジカン」。
特に初期時代は、本人たちが様々な楽曲を聴いてきた豊かさもうかがえます。
切なさもあるような感情のこもったメロディー。
日本語が生み出す独特の世界観を上手く表現する歌詞。
本人たちもファンだと公言している「NUMBER GIRL」や「eastern youth」など・・・。
90年代の邦楽シーンを牽引した音楽性も、しっかりと受け継いでいます。
加えて、OasisやWeezerのような正統派ポップなサウンドもあるような。
初期の頃から、ブレないバンドの基礎が出来上がっていることがよく分かります。
後藤正文が生み出す楽曲が非常に秀逸なのが大きな特徴。
ですが、それに加わるリズム隊やギターアレンジがとても上手いのも印象的です。
どの曲を聴いても良い意味で“アジカン感”が強い、この安定感が最大の魅力。
そしてそんな「アジカン」にも強く影響している、90年代~00年代の音楽シーンをご紹介。
ロックをはじめ、音楽CD自体が非常に売れ筋だった世代です。
今聴いても鮮烈な、カッコいいバンドたちが活躍した時代。
若い現代の邦楽バンドファンたちにも、ぜひ聴いてほしいものばかりです。