ギターリフィニッシュとは?

塗装で音まで変わる ~ギターリフィニッシュ~の画像

ギターリフィニッシュを日本語訳すると、ギターの再塗装のことです。

市販されているギターは様々なカラーに塗装されていますよね。

実は、見た目を華やかにするためだけに塗装されているわけではありません。

楽器だけでなく家具や家電のように人工的にデザインされたものの多くに塗装が施されています。

なぜなら、デザイン性の問題だけでなく、塗装をすることによってカビや菌などの発生を防いだり衝撃から保護する役割があるためです。

ギターリフィニッシュを行なう目的

ギターの塗装が剥げてくると、見た目が汚いだけでなく耐久性の面で好ましくありません。

また、場合によっては音にも影響を及ぼすと考えられています。

そのため、時間の経過とともに再塗装の必要性が出てくるのです。

例えば、雨風にさらされた廃屋を思い浮かべてください。

塗装が剥げてあちこちヒビが入っていたり、虫食いが起きたりしますよね。

建物と使用する状況や目的は違えど、ギターの材料は多くの建物と同じく木材です。

塗料の種類にもよりますが、塗装は永続的なものではなく摩擦や経年劣化により色あせたり剥がれ落ちたりします。

ギターの塗装の種類にはどんなものがある?

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ラッカー

綿や木材の繊維が原料となっているため、同じ天然素材である木材との相性が良いことで知られています。

自然なツヤ感が出やすいことから、ギター以外にもインテリアや自動車の塗装に用いられることが多い塗料です。

ギターの塗装として使用されるラッカー塗装は、ニトロセルラッカーといいます。

ラッカーに溶剤を加えて薄めてスプレーガンなどで塗っていきます。溶剤が揮発する過程で膜が形成され、表面が硬化する仕組みです。

一度に分厚く塗ることができないため、塗装が完成するまでに時間がかかります。

そのため、塗装としては高価になりがちです。

しかし、こうした手間がかかる一方でポリ系の塗料よりも塗装を薄く仕上げるができるため、ギターの材質である木材の音の鳴りをよくする効果が期待できます。

実は、塗装が完成した段階でもまだ完全には硬化が終わっておらず、塗りたての頃のやわらかさが年月の経過とともに硬質さを増していきます。

ラッカー塗装は、ギターを弾きこむと増していく味わい深さに、かなり貢献していると考えていいでしょう。

オイルフィニッシュ

ギターの木材に直接オイルをしみこませて保護する方法で、他の塗装方法とは毛色が異なります。

湿気がある場所では木材が湿気を吸い、乾燥した場所では乾きすぎを防いでくれます。

木肌を感じやすいことや、木の質感を活かした玄人好みの風情を楽しめる点がメリットです。

さらに、極限まで塗装の厚みをなくすことでギター本来の音色を楽しめます。

しかし、強度の面で劣る点と1年程度で塗装としての効力を失ってしまうため、メンテナンスに手間暇がかかる点がデメリット。

ポリウレタン

ポリウレタンは耐久性に優れた塗料で、木材を保護する作用に優れています。そのため、ダイニングテーブルの塗装に使われることも多い塗料です。

表面に光沢が出やすく化学反応によって硬化する特性上、塗装に必要な厚みを持たせるための手間がかかりにくいため、大量生産品に使用するために向いています。

そのため、ポリウレタン塗装のギターはラッカー塗装されたギターよりも安価で購入できることがポイントです。

現在市販されている多くのギターに、このポリウレタン塗装が使われています。

ポリエステル

入門用ギターや安売りのギターの多くに使用されている塗装が、ポリエステル塗装です。

なぜなら、一度塗りで十分な耐久性や厚みを出せるため、安価な価格で提供できるというわけです。

鏡のようなツヤが出るため、ピアノの塗装に使用されることもあります。

見た目はきれいですが欠点もあります。それは、塗装の厚みを調整しにくいという点です。また、厚塗りのため木材の質感や特性を生かすことも難しいといえます。

さらに、塗膜は柔軟性に欠けており衝撃に弱いこともデメリットです。

同じポリ塗装として分類されるポリウレタンとポリエステルですが、ウレタンの方が厚みを調整しやすくラッカー塗料寄りであるといえます。

また、ポリエステル塗装は分厚い分、ギターの音の鳴り方に影響を及ぼしやすいと考えられます。

塗装はギターの音にどう影響する?

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手間暇がかかる分、高価になってしまうラッカー塗装やポリウレタン塗装のギターと、安価なポリエステル塗装のギターの音の鳴り方を比べてみると、やはり音質が違うように感じられます。

しかし、ギターの音質には塗装だけが関係しているわけではなく、パーツや機器の状態なども影響します。

音の感じ方は人それぞれなので一概にこうとは言い切れない面もありますが、塗装が分厚く硬度が低いほど音を吸収しやすく、こもった音質であると感じやすい傾向があります。

反対に、薄くて硬質な素材ほど音を吸収しにくい性質を持つため、塗装が薄い方がいい音が出やすいということは十分にあり得る話です。

ギターをリフィニッシュするには?

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