久保田利伸「その人」
「その人」とはどんな人物か
日本でR&Bが流行するきっかけとなった人物ともいわれている、久保田利伸。
デビュー当時、国内では珍しいブラックミュージックを志向したサウンドは多くの人の心を掴みました。
今回ご紹介するのは2019年に発売された16thアルバム『Beautiful People』に収録されている楽曲「その人」です。
「その人」というタイトルからも分かる通り、この楽曲はある人物と主人公との人間関係を描いたもの。
その人物とは一体どのような人なのか、今回の記事では歌詞の意味を解釈しお届けします。
YouTubeでMusic Videoが公開中
YouTube上では「その人」のShort ver.のMVが公開されています。
青を基調とした空間の中で、楽曲を口ずさむ久保田利伸の姿が印象的です。
特にこの動画の最後、水槽の中を泳ぐ魚たちをバックにして歌う彼の姿は楽曲との高い親和性を感じるカット。
青というのは、この楽曲の世界観を表現する上で欠かせない色なのかもしれません。
それでは早速、歌詞の解説に移りたいと思います。
かけがえのない時間
夕焼けの中で
こんな夕焼けに 包まれてしまうと
分け合いたい想いに 彷徨う
出典: その人/作詞:Toshinobu Kubota 作曲:Toshinobu Kubota
冒頭の歌詞ではまず、夕焼けに染まる景色が表現されています。
主人公は今、オレンジ色に染まる空を見つめながら、ある想いを誰かと分かち合いたいと思っているようです。
その想いというのは一体誰に対してのものなのでしょうか。
これは恐らく彼の恋人、もしくは好意を抱いている人物に対してだと考えるのが妥当でしょう。
2行目の「彷徨う」という言葉から、彼には手持ち無沙汰になっている感情があるということ。
伝えたいけれど、伝えられないような状態なのかもしれません。
そうだとするならば、彼はどうして大切な人に対して想いを伝えられずにいるのでしょうか。
去っていった大切な人
ここにはもういない あなたは
すべての理由(わけ)だった その人は
出典: その人/作詞:Toshinobu Kubota 作曲:Toshinobu Kubota
この2行でその理由が分かります。
それは彼にとって大切な「その人」は今はもう彼の元を去ってしまったということ。
2行目は主人公のその人物への想いの深さが伝わる表現です。
自分がどんな風に日々を過ごそうかと考える上で、いつも頭の片隅にいた大切な人。
主人公が自分だけではなく恋人のことも考えながら過ごしていたのは、彼女のことが本当に大切だったからなのでしょう。
今ではそんな時間は過ぎ去って、思い出だけが彼の胸に取り残されてしまいました。
切なさと幸せ
2人の思い出
雨の粒の中 互いの肩
ぶつけ合いながら 歩いた
愛しい笑顔 幸せを
ひとつの傘に 閉じ込めた
出典: その人/作詞:Toshinobu Kubota 作曲:Toshinobu Kubota