心のなかの弱い部分を曝け出して
ぬくもりと切なさを感じる曲『オリオン』。
KOTORIの2ndミニアルバム『CLEAR』に収録されています。
過去を懐かしむ気持ちと、先行きの見えない未来への不安。
大きな悲しみも喜びもないけれど、なぜか心が掻き乱される。
だけどそんな不安定な自分を、どこか冷静に見ているところもあって……。
カタチや言葉にできない感情を持て余し、ときどき意味もなく泣けてくる。
そういった経験がきっと誰にでもあるはずです。
この曲は、簡単には整理できない気持ちを優しく包み込んでくれます。
心のなかの一番弱い部分を、曝け出してみませんか?
MVに隠されたストーリー
寒空の下、KOTORIがあたたかな音楽を奏でます。
気になるのは、MVに登場する1人の女性。
その無邪気な笑顔は、まるで夜空を照らす星々のように輝いています。
きっとこの女性が、歌詞のなかに登場する「会えるような気がした」人なのでしょう。
女性はどうやら、オリオン座を見るのを楽しみにしている様子。
星が輝く夜に外へ出たら、彼女に会えるかもしれない。
このMVには、そんなストーリーが隠されているのではないでしょうか?
雪にはしゃいでいた頃が懐かしい
ここからは歌詞の解説にうつります。
雪が降って嬉しい!
そんなふうに無邪気にはしゃいでいられたあの頃が懐かしい。
今はもう降り始めた雪を見ても、何も感じられない。
この曲の主人公は、そんな自分に寂しさを感じているようです。
大人になるのが少しだけ寂しい
雪が降るのがあんなに嬉しかったのに
真夏のピークはいつの間にか去っていた最後の夏でした
金木犀の匂いのせいで思い出した最後の秋でした
出典: オリオン/作詞:横山優也 作曲:横山優也
曲は過去の自分を懐かしむ様子から始まります。
子供のころは、雪が降るとそれだけで嬉しかった。
しかし大人になると、次第に雪に対する感動も薄れていきます。
寒いし、交通機関は乱れるし、イヤだな……。
こんなふうに考えるようになったのは、大人になった証拠。
なんだか少しだけ寂しいですね。
新しい季節の訪れにも鈍感になってしまって、気づけば夏が終わっていた。
主人公は「金木犀の匂い」を感じて、秋が来たことを知ったようです。
ここの歌詞で気になるのが、なぜ夏も秋も「最後の」と歌われているのか、ということ。
これについては、後ほど解説します。
雪に特別な思い出があるのかも
今年も東京には雪が降るみたいだ
いつもあんなに嬉しかったのになあ
出典: オリオン/作詞:横山優也 作曲:横山優也
ここの歌詞でもまた、主人公は昔の自分を懐かしんでいますね。
主人公は雪に何か特別な思い出でもあるのかもしれません。
天気予報やニュースで、今年も雪が降るらしいことを知った主人公。
でも、自分の心には喜びも感動も生まれません。
東京でも地域によっては毎年雪が見られますし、あまり珍しいものでもないのでしょう。
ああ、今年ももうそんな季節になったのか……。
主人公が抱いた気持ちは、きっとその程度のものだったはず。
そして、そんな感想しか抱けなかった自分に、ふと寂しさが込み上げました。
「嬉しかったのになあ」という表現には、どこか哀愁のようなものを感じます。
星空を見て想いを馳せる相手
サビでは、主人公が「誰か」に想いを馳せている様子が歌われています。
綺麗な星空を見上げながら、主人公はいったい誰の顔を思い浮かべているのでしょう?