『Where We From feat. T-Pablow』
ようやく解禁された禁断のMV
今回はANARCHYの『Where We From feat. T-Pablow』をピックアップします。
「俺たちはどこから来たの?」と題されたこの曲。
7thアルバム『The KING』で全国のキッズがもっとも映像化を期待していたあの禁断のコラボ曲です。
2019年4月13日にようやく解禁されたMVの中身が皆の予想以上に“ヤバイ”と話題なのです。
とにかくまずはMVをご覧ください!
向島団地に集うのは?
舞台構成、出演メンバー、モザイクをかけられたANARCHYの中指...。
これほど危険な香りのするMVがエイベックスから公開されているという事実に愕然とします。
メインの舞台となるのは京都の向島団地、そして川崎南部の工業地帯。
いうまでもなく前者はANARCHYを、そして後者はBAD HOPという現象を育んだ聖地です。
向島団地に集ったのはANARCHYの家族ともいえる通称「向島ホーミーズ」の面々。
加えて不穏な存在感を放つのはANARCHY主催の1%レーベルからデビューしたWILYWNKA。
そして大阪のコリアンタウンからやって来た在日3世でトリリンガル・ラッパーのJin Doggです。
京都から川崎へ、そしてその先に見える景色...
その後、場面は川崎に移動、T-Pablowはバラック小屋に囲まれた池上町の暗い路地裏を歩きます。
彼がBAD HOPの仲間を引き連れ辿り着くのは『B.H.G』、『stay』のMVの舞台となった思い出の地です。
MVのラスト、ANARCHYとT-Pablowはビルの屋上から東京の夜景を見降ろします。
そこにはどんな景色が映っているのでしょう?
そこで今回は『Where We From feat. T-Pablow』の、彼らの地元についての歌詞に注目!
彼らの背負う地元について徹底検証してみようと思います。
episode-1 ANARCHY「向島団地の血の繋がらない家族」
ヒップホップライフの始まり
昔よりは暮らしもまし
貧乏には戻れない
向島が俺の街
ご近所も家族と同じ
仲間と血のつながりはない
裏切られたこともない
ついて来るなら覚悟しな
怪我するのは確実
出典: Where We From feat. T-Pablow/作詞:ANARCHY, T-Pablow作曲:D BO¥$
ANARCHYの歌詞には度々「仲間」と「家族」という言葉が登場します。
これはほぼ同じ定義として用いられていると考えてよいでしょう。
いわゆる任侠の世界でいう「血の繋がりのない家族」です。
そのルーツは彼が生まれ育った向島市営住宅、通称「向島団地」にあります。
「片親スタイルが向島団地のカラー」
そう語るほどにANARCHYの周囲には離婚による片親世帯が多かったのです。
彼の記憶では6歳の頃に母親が出ていき父親と幼い妹2人との生活が始まります。
その瞬間、ANARCHYのヒップホップライフが始まったのです。
ご近所も家族
もちろんANARCHYには血の繋がった家族が存在します。
彼が初めてタトゥー入れたのは15歳、彫師はなんと実の父親です。
彼の肩に彫られたTHE BLUE HEARTSの「チェインギャング」の一節。
それも当時、父親に彫ってもらったものなのです。
ANARCHYの歌詞には実際の家族との思い出ももちろん登場します。
しかしそれ以上に歌われるのが「近所のおばちゃん」に代表される団地に住む人々です。
小学校当時の同級生の母親である「近所のおばちゃん」は彼に家族の温もりを教えてくれました。
ANARCHYの自伝「痛みの作文」で頻繁に登場するのがこのような血の繋がらない家族なのです。