周囲への劣等感
何度も何度も 身勝手な言葉に振り回され
傷つく私も 自分勝手なんだけど
何にもないから 気にしないよって聞こえないフリして
何より誰より 気にしちゃっているんだよ
バカだなぁ
出典: クライヤ/作詞:すこっぷ 作曲:すこっぷ
前述のパートにおける嘘も含め、周りの言葉によって翻弄される主人公の姿が描かれています。
周りの言葉によって傷ついていながらも、そのことを周りに伝えられず抱え込んでいるのでしょう。
実際はその言葉が深く心に突き刺さっているにも関わらず、気にしていないふりをする。
そこにはこれまでの歌詞でも主人公が言及していた、周囲への劣等感があるのではないでしょうか。
そのことで周りに反論することもできず、より深く自分を傷つけている。
そんな主人公の心に抱える深い闇が垣間見えます。
優しさが痛い
諦めたらそこで終わりってさ
どうにもならないことばかりで
優しい言葉に惑わされて
何度突き落とされてきたかな
出典: クライヤ/作詞:すこっぷ 作曲:すこっぷ
ここでは周囲からかけられた優しさにも感じる言葉に対しての主人公なりの想いが吐露されています。
1行目の言葉は、普段生きている中で言われたことがある方もいることでしょう。
しかしながらそうはいっても、周囲は自分の身代わりになってくれるわけではありません。
無責任に応援してくる他者に対して、彼女なりの違和感を言語化しているのでしょう。
ここで主人公がいっている優しさというのは本当にその人のことを思っている言葉ではありません。
相手の立場に立たず、その人の立場から発せられるだけの言葉に身勝手さを感じているのでしょう。
3〜4行目の歌詞はそんな言葉に期待して再び頑張ろうとした結果を表しているのではないでしょうか。
頑張ってもいつの間にか振り出しに戻るような毎日。
苦悩の大きさに見合わない結果と、無責任な周囲に対して幻滅しているのかもしれません。
無責任な言葉
誰も知らない 誰も知らない!
私がこんなに悩んでいるのも
痛みの数だけ強くなれるっていうなら
あと何回泣けばいいんですか
出典: クライヤ/作詞:すこっぷ 作曲:すこっぷ
このパートでは、無責任な言葉を吐いてくる他者に対しての主人公の想いが溢れています。
周囲から見える自分の姿と、本当は深く悩んでいる自分自身に対して大きなギャップを感じているのかもしれません。
そうして悩んでいることに気が付きもせず、好き勝手なことを言ってくる周囲に憤りを感じているのでしょう。
それに加えてこのパートからはそんな自身の苦しみを本当は知ってもらいたいという彼女の想いが伝わります。
毎日を涙と共に過ごす主人公は他者に裏切られながらも他者からの理解を求めているのでしょう。
絶望の先の希望
理想と葛藤
泣いても泣いても 私は何も変えらんないまま
悲しくて悔しくて だけど何も出来なくって
何にもないまま 涙は心の傷に沁みて
滲むから痛むから もう止まんないんだよ
出典: クライヤ/作詞:すこっぷ 作曲:すこっぷ
主人公はここで自分が変われないことへの悔しさを表現しています。
周囲に対して不満をこぼしながらも、自分にも原因があるのだということを理解しているのでしょう。
それでも周囲のせいにしてしまうのは、変わろうとしても変われない自分を認めたくないからなのかもしれません。
他者との関係によってもたらされた傷が癒えないのは、ずっと同じ場所に留まっているから。
そして彼女もそのことに薄々気が付きながらも、今の場所から動き出せずにいるのです。
嫌いな今の自分を受け入れられないのに、理想の自分に変わることもできない。
そのことに対しての葛藤が彼女の毎日に苦しみや悲しみを与えているのではないでしょうか。
その先にあるもの
何度も何度も 生きてる意味なんて探しても
涙の理由すらよく分かんないまんまで
何にもないけど 泣き止むたび明日が来るから
生きてて良かった そんなこと思える日を
願ってしまうんだ
出典: クライヤ/作詞:すこっぷ 作曲:すこっぷ
こちらが「クライヤ」の最後の歌詞パートです。
ここではそんな苦しみに塗れながらも生きようとする主人公の逞しさが描かれています。
1〜2行目から伝わるのは、主人公の心の中に存在する深い絶望です。
しかしそれでも生きようとするのは、その先に未来が存在しているから。
誰にでも平等に訪れる未来というものに対して希望を持っているからこそ生きられるのです。
このパートからは、どんな絶望の中にも希望があるということが伝わってきます。
この楽曲ですこっぷが伝えたかったのは、明るい未来を想像することで今が苦しくても生きていけるということ。
この主人公と同じような境遇にある人たちに対して、寄り添うような優しさが感じられる楽曲でした。