YUKI【ひみつ】
ピアノのメロディと優しい歌声が心に響く名曲
生きていることの素晴らしさ、人と人とが愛し合う尊さ。
同時に、そこに含まれている切なさ…。
歌手のYUKIは自身の作品の中で、そんな人間のあり方や心情を優しく表現してきました。
そんな彼女が2011年4月にリリースしたのは22枚目のシングル【ひみつ】。
ソロデビュー15周年に開催されたYUKI曲王座決定戦でも8位にランクインした人気曲です。
彼女の優しい歌声が映えるミディアムバラード。
前奏に流れるピアノの音色にも心が癒されるでしょう。
同年発売のアルバム「megaphonic」。
そして、翌年発売のベストアルバム「POWER OF TEN」にも収録されています。
最初は別のタイトルだった?
実はこの曲、発売前年のライブツアーで既にファンの前で披露されていた作品でした。
その時のタイトルは【赤い糸】。
「運命だ」と思っていた人は、既に誰かと赤い糸で結ばれていた…そんな報われない恋。
しかし、【ひみつ】というタイトルでシングルとして収録した際には趣旨を少し変えたそう。
ただ切ない気持ちを表現しているのではありません。
報われないけれど、むしろそれで好い。
今、相手を愛おしく感じられるこの瞬間が幸せ。
そう思えるような、道ならぬ恋が描かれている作品です。
2人は出会い、“ひみつ”が始まる
満たされない心を騙して
火傷したいわ
赤い糸 手繰り寄せて
辿り着いた指先が君じゃなかったとしても
喉が乾くのなら口づけで潤せばいいわ
紡いだ身体は揺れている
ひみつの始まり
ああ 産毛まで見える横顔が綺麗だね
出典: ひみつ/作詞:YUKI 作曲:大川カズト
この楽曲の登場人物は2人。
主人公と想い人の「君」は、今まさに道ならぬ恋に落ちようとしています。
なぜなら、主人公が「君」を好きになった時。
「君」の小指は既に誰かと赤い糸で結ばれていたからです。
そして、主人公の指にも別の誰かと結ばれているであろう赤い糸が…。
それでも主人公と「君」の気持ちはもう止まりません。
2人の小指同士は結ばれることは永遠にない。
その事実に心が満たされなくても、なんとかその心の穴を埋めようとしているのです。
そうして始まった2人の“ひみつ”。
距離が近づいて、愛おしさは増すばかりです。
思い出は心の中に残せばいい
「三日月・・・夜空が笑っているみたいに見えるよ」っていう話
わかってくれて ありがとう
2人を写す記念写真は残らなくってもいい
今の君が好い
出典: ひみつ/作詞:YUKI 作曲:大川カズト
主人公と「君」は出会い、愛を深めている最中。
何気なく発した主人公の言葉に「君」は優しく共感してくれました。
主人公はきっと感性が豊かな人なのでしょう。
誰にも理解されず、もしかしたら寂しい思いをしていたのかもしれません。
そんなわけないじゃん。変な人だね。
そう言われるかもしれないと思っていたからこそ、「君」がわかってくれたことに感動したのです。
愛おしくて、切なくて…。
2人の周りには幸せそうにツーショット写真を撮るカップルがいます。
羨ましい気持ちもするけれど、主人公は2人の思い出を残す写真はいらないのです。
今この瞬間が大切で、隣にいられるだけで満足。
そんな主人公の気持ちに胸がキュンと切なくなってしまいます。
気持ちは強く、切なさは増す
この恋が終わらないように
雲は流れて 形を変えては消えてく
初めから意味なんて何も無かったみたいに
ねぇ!このままどこかへ2人で消えてしまおうよ
誰も2人を知らない遠くまで
ひみつの長い旅
ああ 結びあった小指の約束が哀しくなるわ
出典: ひみつ/作詞:YUKI 作曲:大川カズト