3枚同時リリースシングルのうちの1曲

1998年リリースの12thシングル

L'Arc~en~Ciel【浸食 lose control】歌詞の意味を考察!どうして笑っているの?の画像

今回ご紹介する楽曲は、L'Arc〜en〜Cielの12thシングル『浸食 lose control』です。

当時、活動再開から飛ぶ鳥を落とす勢いでヒットチャートを席巻していたL'Arc〜en〜Ciel。

そんな彼らが『DIVE TO BLUE』に次いでリリースしたこのシングルはメディアを騒がせました。

その理由は、当時としては珍しかった、シングル3作同時発売というリリース方法です。

  1. 印象的なギターカッティングをイントロに持ち、英語を使わないというテーマで作られた『花葬』
  2. 今やL'Arc〜en〜Cielの代名詞ともいえる、アップテンポなロックチューン『HONEY』
  3. 今回ご紹介する、ダークな雰囲気と激しいサビを持つ『浸食 lose control』

この、L'Arc〜en〜Cielを代表する3曲が同時期にリリースされたのです。

このことは大きな話題となり、当時のL'Arc〜en〜Cielの勢いを裏付けるものとなりました。

当然これらの曲は、全てオリコンランキングTOP10入りを果たしています。

当時のバンドキッズたちや、新旧ファンを釘付けにしたことは言うまでもありません。

ハリウッド版GODZILLA第1作目のサントラ収録曲

L'Arc~en~Ciel【浸食 lose control】歌詞の意味を考察!どうして笑っているの?の画像

『浸食 lose control』は、ハリウッドでリメイクされた第1作目のゴジラ『GODZILLA』に起用されました。

このアルバムには、海外の有名ミュージシャンも名を連ねています。

Jamiroquai、Rage Against the Machineなどなど、今も国内外に名を轟かすメンツです。

そんな中に肩を並べたL'Arc〜en〜Cielは、まさに日本を代表するバンドであるということが証明されました。

ちなみにこのサントラは、劇中で流れる曲を集めたものです。

『浸食 lose control』はGODZILLA登場シーンの揺れる海面に浮かぶ小舟の上のラジオから小さく流れています。

時間にして約10秒くらいで音も小さく、L'Arc〜en〜Ciel本人たちも一度では判別できなかったほどでした。

 

ちなみに『浸食 lose control』を作曲したのは、ギターのkenさんです。

作曲するにあたってイメージされたのは日本版ゴジラ。

ドッシリとした足取りでゆったり歩く姿と、破壊者としての激しさを見事に表現されています。

しかし、実際公開されたハリウッド版GODZILLAはニューヨークの街を素早く走り回る姿でした。

この辺りのイメージの乖離は、当時初めてハリウッド版GODZILLAを見た日本人皆が持ったことでしょう。

日本版にはない軽快さとリアリティ、そしてパニック映画としてのクオリティはさすがハリウッド。

なのでこの曲を聴くとき、日本版ゴジラを想像してお聴きになった方がしっくりくるかもしれません。

『浸食 lose control』の世界観

浸食を辞書で調べると、流水・雨水・海水・風・氷河などが地表の岩石や土壌を削り取ることと出ます。

何か大きな力によって削られていく様子を表した言葉です。

そんな言葉をタイトルに掲げた『浸食 lose control』

そのタイトルに込められた本当の意味とはなんでしょうか。

 

この曲において削られるもの。

 

それは、主人公の自我と理性です。

外的な要因によって自分自身を失いながら狂気に染まり、破滅へと向かっていく姿

その姿を克明に描いた楽曲がこの『浸食 lose control』になります。

当のゴジラも、人間のエゴが生み出した放射能によって姿を変えられ復習に燃える怪獣です。

(この描き方はシリーズ中、映画によって異なるのであくまで一例です)

 

一体どのようにして外的な要因で浸食されて自分自身を失い、狂気に走るのか。

 

この楽曲に秘められた歌詞の世界へとご案内していきましょう。

壊れゆく自我と目覚める本能

失い始める自制心

I lose control
とぎれた心 そっと風にさらわれて僕は天を仰ぐ
I lose control
ふさがれてゆく あなたさえ気付かずに壊してしまいそう
Good‐morning Mr.Fear

出典: 浸食 lose control/作詞:HYDE 作曲:ken

主人公の自制心や理性が徐々に失われていく姿が描かれています。

風にさらわれるのも、ふさがれるのも、すべて主人公の自制心や理性です。

大切にしている「あなた」ですらも、気付かず手にかけるほどに失った自我。

それと引き換えに、新たな自分が目を覚まします

それは一体誰なのかを表現しているのが、上記歌詞中に出てくる最後の言葉。

「Fear」とは日本語で「恐れ」を意味する単語。

主人公の中から目を覚ましたのは、他でもない、主人公自身の「恐れ」だったのです。

目覚める本能に身を任せる

覚醒されたのは失くしてた傷跡
この身体が奪われてく
焼き尽くす太陽 影を黒く染める
もう止まらない離さないで

出典: 浸食 lose control/作詞:HYDE 作曲:ken

自分自身の内側から湧き出る「恐れ」によって様々なものが呼び起こされます。

忘れ去っていたはずの出来事や、トラウマなど、それらの「恐怖」が主人公を支配していく。

まさに自分自身ではどうすることもできない状況なのでしょう。

上記、2行目の歌詞からもその様子が伺えます。

3行目ではその内なる恐怖が全てを飲み込み、闇をさらに深くしていっているのです。

そしてそのことに対して、あらがう事なく受け入れていく主人公を表した4行目。

恐怖が闇を呼び、狂気へと変容していく様子が克明に描かれたのがこのサビの部分になります。

曲調も一変し、変拍子とともに激しいビートへと激変するところからも、狂気の強さが伺えるのです。

では、主人公のトラウマとは一体なんだったのでしょうか。

それがわかるのが、2コーラス目に出てきます。

呼び覚まされるトラウマ