壊れちゃったっていいのに一回いっそのこと 洗いざらい流してまっさらな大地に
何を今さらしがみついてさ あれだけ愚痴ばっか言ってたクセに
出典: TWILIGHT/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
瞬間瞬間を大切にする「僕ら」には「執着」というものがありません。
それは環境に左右されないブレない心を持っているからです。
そもそも納得のいく環境ではなかったようで、全て壊れてもいいとさえいってのけます。
しかしいざ壊れてしまうと「執着」が芽生えてしまった様子。
これはこのコロナ禍における世界の変化について言及していると考えられます。
この大きな環境の変化によりコロナ以前の世界への執着が生まれてしまったわけです。
自らの生き方との矛盾がこのパートでは歌われます。
この未来を抱きしめる
何もないよりか とんでもないことが 起きたらいいのにな なんて考えてた
それが今ならば 抱きしめにいくから ねぇ未来
出典: TWILIGHT/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
このままの日々が続くくらいなら大きな変化が起きればいいのに。
そんなことを考えていたようです。
平凡な日々ではなくもっと瞬間瞬間が輝く未来、トワイライトのような明日を望んでいました。
そんなところにコロナウイルスの感染拡大という大きな大きな変化が訪れたわけです。
そして一度は未来よりもコロナ以前の過去に目を向けてしまいました。
しかし自分の信念に基づくならばこれが望んだ未来なんだ、と未来へと歩み出すのです。
瞬間の美学
人生の意味
たった一人ぼっちで生まれてきて たった一人ぼっちで消えゆくのに
そのわずか刹那に意味を産む 我ら人類の儚さ祝う
出典: TWILIGHT/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
ここまで昼と夜の狭間である「トワイライト(夕暮れ)」が「瞬間の美学」の象徴として歌われてきました。
このパートではもっと大きな時間軸で「瞬間の美学」が歌われます。
それは人生です。
生と死の狭間にあるこの人生に意味はあるのでしょうか。
何を成しても、何を手にしてもいずれ必ず人は死に全て失くしてしまいます。
そんな人生に意味を与えるのが「瞬間の美学」です。
この人生そのものが儚くも美しい刹那的なものである、と。
そんな人に与えられた儚い定めを呪うのではなく、祝う、と歌います。
彼らが求める「トワイライト」は人生そのものでもあったことに気付いたからです。
瞬間の渋滞
「永遠」なんかにはさ できやしないことが 俺らん中で今 飛び跳ねてんだ
渋滞起きた奇跡 両手広げ待っててよ未来
出典: TWILIGHT/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
この限りある命だからこそ、この儚い命だからこそ人生は輝きます。
「永遠の命」では得られない輝きです。
そしてその人生の輝きは人の数だけあります。
不老不死の人などいなく、人はみんな儚くも美しい人生を生きているからです。
「渋滞」という表現はその人生の輝きが人の数だけ世界に溢れている様子を表しているのでしょう。
その思想を持って未来に希望を見出します。
「俺たちならいけるさ」なんて グラッグラな星ではしゃごうか
分かってるそんな甘くないって 「だからなに?」って言える今を
「アイス」
出典: TWILIGHT/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
人生という「瞬間の美学」、そしてそれが人の数だけ輝いている世界の奇跡。
そのことに気付いたらもう怖いものはありません。
たしかに今の世界状況はそんな美学で片付けられるものではないでしょう。
「でもそう考えれば素敵じゃないか。」
と今この瞬間を愛することができる哲学を提示しているのです。