King Gnuの新たな幕開け「CEREMONY」

超高強度!タイアップ7曲

King Gnu【CEREMONY】アルバム収録曲解説!これは新たな幕開け?バンドの物語に触れようの画像

King Gnu(キングヌー)がまたしても時代を切り開いたといえるでしょう。

令和が始まった2019年、タイトなスケジュールの中で制作された3rdアルバム「CEREMONY」

20年代という新たなディケイドに入ったばかりの2020年1月15日にリリースされました。

このアルバムに収録のドラマ主題歌「白日」を始め、「飛行艇」や「傘」などの多くのタイアップ曲を獲得。

2019年はKing Gnuにとって、文字通り自分たちの世界が180度変わった非常に目まぐるしい変化の年だったことでしょう。

それゆえにこれまでに比べ、若者だけでなく子どもからお年寄りまで幅広い世代に知られる存在となった彼ら。

認知度が急激に上がり、アリーナ以上の大規模会場でのライブを想定した音作りになっています。

バンドとしてもこのアルバムを以てして、新たなタームの開幕に突入したというわけですね。

今回リリースされたこのアルバムには2つのバージョンが用意されています。

通常盤はCDのみで全12曲です。

初回生産限定盤には、2019年に開催された「Sympa」ツアーライブ映像という豪華な特典がついています。

全12曲中7曲はタイアップ曲で、3曲はインスト。

残る2曲のうち1曲は、家入レオさんへの提供曲のセルフカバーです。

つまり、まったく新しい歌もの楽曲は1曲のみという、ベスト盤やシングル集に近い状態。

要するに恐ろしく完成度の高い、強度が高い作品となったというわけですね。

アルバムの聴きどころ

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タイアップ曲を制作する際は、企業の要望やスケジュールに対応する柔軟性が求められます。

1曲のみで完結する世界観と、シングル並みの強度や大衆性も必要です。

つまりタイアップ曲と言うのは一言でいえば、かなりアクの強い楽曲ともいえるでしょう。

そんなアクの強い楽曲を1曲のみならず、複数収録することとなったこのアルバム。

しかも突出して大ヒットした「白日」を含むとなると、1枚のアルバム作品としてまとめるのは至難の業。

大衆性と音楽性の両立は、優れた音楽家ほど悩みもがくポイントでしょう。

1stアルバム「Tokyo Rendez-Vous」では、大衆性と音楽性が見事に融合されていました。

2ndアルバム「Sympa」では、大衆性を高めつつ音楽性も極めるという偉業を成し遂げたわけです。

歴史的な名盤を叩き出した後、奇才集団King Gnuは今回のアルバムにどのような音楽性を持たせたのでしょうか。

ここが本アルバムの重要な聴きどころにもなっています。

2部構成のセレモニー

01. 開会式
02. どろん
03. Teenager Forever
04. ユーモア
05. 白日
06. 幕間
07. 飛行艇
08. 小さな惑星
09. Overflow
10. 傘
11. 壇上
12. 閉会式

出典: CEREMONY/King Gnu

アルバム「CEREMONY」の収録曲は上記の通り。

この収録曲の内容を踏まえながら、まずはこれまでのKing Gnuの作品との違いについて考えてみました。

1stアルバム「Tokyo Rendez-Vous」にはインスト曲はありません。

全8曲で、8章からなる1つの恋愛小説のようなまとまりがあります。

「Sympa」は全13曲中4曲がインストで、全体が3楽章からなる1つの交響曲(シンフォニー)のようです。

「CEREMONY」はインスト3曲で、2幕からなるセレモニー(式典)のような2部構成になっています。

「白日」の大ヒットや多数のタイアップを祝う会、King Gnuの新たな開会式が催されている雰囲気です。

令和が幕を開けた2019年に続き、20年代の始まりを告げる2020年。

東京開催のオリンピックイヤーにアルバムリリースが重なったという時代性も反映されたのでしょう。

1幕と2幕それぞれがアグレッシブな曲で始まり、エモーショナルな曲で締めくくられる展開。

これはKing Gnuのライブでも重視されている流れです。

また、前半は大衆性、後半は音楽性により重きを置いてまとめられたという考え方もできるかもしれません。

アナログレコードのA面とB面になぞらえた可能性も想像されます。

こうした点を踏まえて、全12曲の音楽性と物語性を見ていきましょう。

1. 開会式

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前身バンドであるMrs.Vinciの頃に発表した楽曲『Mrs.Vinci In Tokyo』の一部分。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/CEREMONY

まずアルバムの1曲目はこちら。

セレモニーの開催を祝うファンファーレのようなインスト曲「開会式」。

大勢の人が集まる様子をイメージさせる大歓声と、管楽器や弦楽器の音色が重なっています。

常田大希さんが奏でるチェロ音源やお兄様、常田俊太郎さんのバイオリン、MELRAW(メルロウ)のサックス。

元オーサカ=モノレール、真砂陽地(まさご ようち)さんのトランペットの音色も入っています。

実際に演奏した生音などのサンプリング音源を、常田大希さんがDTMプログラミングしているわけですね。

全体的にトラック数(音数)が非常に多いKing Gnu。

常田大希さん好みの、華々しく壮大なオーケストラサウンドです。

その華々しさの中にも、あちこちに散りばめられた不協和音。

そしてわざと発生させているであろう各楽器の不穏な響きが、私たちの耳を引き付けます。

その中にただならぬ雰囲気の音色も混ざっているところは、次の曲への伏線でしょうか。

King Gnuというバンド新たな幕開けはおめでたいだけではなさそうです。

2. どろん

「どろん」の音楽性

そのまま楽曲は流れるように2曲目となる「どろん」へ。

この曲も2020年に公開となる映画主題歌となったことが発表されましたね。

映画「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」は2020年2月公開。

出演者
千葉雄大、白石麻衣、北川景子(特別出演)、田中圭(特別出演)、成田凌、井浦新、他。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/スマホを落としただけなのに_囚われの殺人鬼