「ユーモア」の物語性

King Gnu【CEREMONY】アルバム収録曲解説!これは新たな幕開け?バンドの物語に触れようの画像

始まりと終わりはつむじ風
いつだって唐突に揺さぶられ

耐え忍ぶ時は永遠に感じられ
まあそれも今じゃ御一興

出典: ユーモア/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta

あわせて、この楽曲歌詞についても一部抜粋してご紹介致しましょう。

人気ゲームのタイアップということも考慮されたのでしょうか。

「ロマサガRS」の技名「つむじ風」がさり気なく歌詞に混ざっています。

のらりくらりと踊るんだ

どうしようもないこの世界を
悪あがき、綱渡り

出典: ユーモア/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta

実際に華々しい世界へ躍り出ると、やはり大変なことも多いようです。

様々な要望を受け清濁併せ呑みながら、時には忖度も受け入れながら。

King GnuはJ-POPの世界で、自分達にしかできない音楽づくりを模索し続けているのかも。

この曲は、J-POPとしても聴きやすいメロディの歌もの楽曲

絶対数の少ない音楽ファンに届く曲と、どちらも織り交ぜてバランスを取っているのかもしれません。

そういったバランスの意を込められたのが、この歌詞の「綱渡り」というフレーズにも思えてきますね。

5. 白日

「白日」の音楽性

日本テレビ系 土曜ドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』主題歌

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/CEREMONY

そして5曲目がこちら。坂口健太郎さん主演ドラマ主題歌として大ヒットした「白日」です。

このアルバムの中でも、1幕の最後を飾るロックバラードという役割が見事にはまっています。

美しいハイトーンボイスに、歪みの効いたギターソロと走り回るベースを掛け合わせるという清濁の融合

J-POP的なメロディと、急に止まったり跳ねたり跳ねなかったりするファンキーなリズムの妙もたまりません。

エクスペリメンタル・ソウルバンドWONK(ウォンク)江﨑文武(えざき あやたけ)さんのピアノも秀逸。

一度楽曲の造りの妙に気付いてしまうと、やはり多くの人を魅了する理由がこの曲にはあることがわかります。

「白日」の物語性

King Gnu【CEREMONY】アルバム収録曲解説!これは新たな幕開け?バンドの物語に触れようの画像

戻れないよ、昔のようには
煌めいて見えたとしても

真っ白に全てさよなら
降り頻る雪よ
全てを包み込んでくれ

出典: 白日/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta

楽曲を通して聴く中でも、特に印象的なのはこの部分の歌詞でしょうか。

この「白日」という曲は、King Gnuというバンドをスターダムに押し上げた立役者です。

Teenager Forever」では10代の煌めきが永遠に続くかと思われましたが、どうやらそうはいきません。

サウンド面で相反する要素を同居させるところが醍醐味のバンドなので、そこが伝わってほしい。

そんな意味も漂いつつ、できれば過去に戻りたいと願うほどの葛藤が見え隠れします。

ですが、どんなに願っても過去に戻ることはできません。

覆水盆に返らず。これまで犯した過ちは消えることはないのです。

それでも人間は前を向いて、過去を背負いながら歩いていくしかないのです。

6. 幕間

King Gnu【CEREMONY】アルバム収録曲解説!これは新たな幕開け?バンドの物語に触れようの画像

「開会式」同様、『Mrs.Vinci In Tokyo』の一部分。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/CEREMONY

曲と曲の合間に演奏されるインスト曲は、音楽用語ではインタールード

これを日本語で表すと「幕間」です。

常田大希さんは東京芸大でチェロを専攻しつつドロップアウトされました。

この曲を含む「CEREMONY」のインタールード3曲には、その頃に弾いたチェロ音源が使われているそうです。

彼の音楽家としての最もコアな部分が表現されていると考えられます。

芸大の学生として、自分がこれから向き合うべき音楽への葛藤を当時持っていた彼。

そんな彼の一面が垣間見えるような、非常に貴重なサウンドが聴ける1曲でもあるのかもしれませんよ。

07. 飛行艇