歌詞

さてそれでは歌詞を細かく見ていきましょう。

なんせ長いんで、気長にちょっとずつ行きますよ。

お前正直な話率直に言って日本の現状をどう思う?  俺はこれは憂うべき状況とは全然考えないけれども、
かといって素晴らしいとは絶対思わねえな俺は。 (だから俺は俺に聞いた。己の現状を俺に聞いた。)

出典: http://j-lyric.net/artist/a001cc9/l00cb8c.html

これはもちろんこの楽曲が発売された当時の政治について物申しているわけですが、これって現代にも言える歌詞だなあと読み込んでみて改めて思います。

「(目に見えて)良くも悪くもない」、そんな感じ。

翻って己自身の現況を鑑みるに、 これはやっぱり良いとも悪いとも言えねえなあ俺の場合は、君はどうだ?
俺はこれは憂うべき状況とは思っていないけれども、 
ならばこれが良いのかと問われればまあまあだと答えざる をえないのがおおいに不本意だ。

出典: http://j-lyric.net/artist/a001cc9/l00cb8c.html

たとえば戦後すぐのように食っていけないほど賃金が安いとか、働く場所がないのかと言ったらそんなこともないし、後進国のように保険や医療が破綻していてまともに病院にも行けないのかと言ったらそんなこともない。

だけど、では幸せなのか、生きやすいのかと言えば素直に頷けるほど、日本は問題のない国ではないでしょう。

もっと力強い生活をこの手に! OH! 胸を張って、胸を張って出かけようぜ。

出典: http://j-lyric.net/artist/a001cc9/l00cb8c.html

「力強い生活」とはどんなものでしょうか?

俺が生まれたのはそう所謂高度経済成長の真っ只中で、
それは日本が敗戦に象徽される黒船以降の欧米に対する 鬱屈したコンプレックスを一気に解消すべく、
我々の上の世代の人間が神風のように猛然と追い続けた、
繁栄という名の、そう繁栄という名の、繁栄という名の テーマであった。

出典: http://j-lyric.net/artist/a001cc9/l00cb8c.html

経済成長時代、日本は一丸となって、先進国を目指していました。

カラーテレビやクーラーなどを買うため、誰もが必死に仕事をして、給料もどんどん上がっていきました。

上を目指す道中には、力強さがあります。目指すべき目標があり、道があるからです。

そんな時代は、たとえば映画ALWAYS三丁目の夕日」などに鮮やかに描かれており、平成世代もよく知るところでしょう。

【ガストロンジャー/エレファントカシマシ】タイトルの意味は?かっこいいロックすぎる歌詞を徹底紹介!の画像

OH! 嗚呼そして我々が受け継いだのは豊かさとどっちらけだ。
あげくがお前人の良さそうな変な奴がのせられて偉くなっちゃって、
それでもそこそこ俺達は生活してんだから訳わかんねえよ なあ。おい。

出典: http://j-lyric.net/artist/a001cc9/l00cb8c.html

“豊かさとどっちらけ”上手な表現ですね。しらけた雰囲気は、現代まで続いているこの、散漫とした憂鬱に繋がってくるでしょうか。

目指すべき目標を失い、道に迷った平成の世の中。

ちなみに「人の良さそうな変なやつ」とは当時の首相・小渕恵三を皮肉っての表現だそう。

(でもこのフレーズって、現代の政治家の多くに当てはまりそうですね。)

化けの皮剥ぎにでかけようぜ、化けの皮を剥がしにでかけようぜ。
"くだらねえ世の中""くだらねえ俺達"
そんなのお前百年前から誰でも言ってるよ。お前変わんねえんだよそれ、

出典: http://j-lyric.net/artist/a001cc9/l00cb8c.html

何百年も前から繰り返すこのフレーズ「くだらねえ○○」の化けの皮とは何でしょう。

お前縄文時代から変わんねえんだよお前それ。
それ縄文時代から現代まで変わってねえんだよお前それは...。
ただなあ 破壊されんだよ駄目な物は全部。 OH!

出典: http://j-lyric.net/artist/a001cc9/l00cb8c.html

歴史の中で、「くだらねえもの」、駄目なものは淘汰されてきました。

男尊女卑は古い概念になりました、同性婚も認知されるようになりました。そんな風に、より良く世界は変わっていきます。

この世の中にはそりゃあ思い通りにならないことは
いくらもあるってことはお前さすがの俺も百も承知だけど
なあお前、しかし、俺は折角のロックンロールバンドだ。
あいつらの化けの皮を剥がしにいくってことをなあ、さっき自問自答の末結論した。

出典: http://j-lyric.net/artist/a001cc9/l00cb8c.html

せっかくロックンロールをやるバンドだからこそ、そういう「くだらねえもの」の化けの皮を剥がす曲をためらわない、そう宮本は歌います。