走る君を見てた 白いボール きらきら
放物線描いて 記憶の奥へ飛んだ
振り返る君遠くへ 追いかけてるまっすぐ
スタジアムの歓声 夢の中で繰り返す

出典: 明日、春が来たら/作詞:坂元裕二 作曲:日向大介

まずは、導入部分です。

「野球」を連想するようなフレーズが散りばめられています。

「春」といえば、選抜甲子園が行なわれる時期でもあります。

「桜」や「卒業」「入学」など一般的なイメージではなく、新しい切り口から始まっていく春ソングになっています。

「走る君を~」とあるように主人公は野球をしている少年を見ています。

スタジアムという言葉が出てくるので応援をしているのかもしれません。

ボールが輝く様子の描写などから、美しく爽やかな印象を受けます。

懸命にボールを追う「君」の姿は、まさに春の選抜大会に出場している球児のようです。

「記憶の~」「夢の中で~」とあるように、この光景が現実かどうかあやふやに感じられます。

ボールの白さや周囲の歓声だけがはっきりと認識できる状態です。

この光景は一体どういう場面の出来事なのでしょうか。

次から詳しく解釈していきます。

思い出と今の季節が重なる

そして名前呼び続けて はしゃぎあったあの日
I LOVE YOU あれは多分 永遠の前の日
明日、春が来たら 君に逢いに行こう
夕立が晴れて時が 止まる場所をおぼえてる?

出典: 明日、春が来たら/作詞:坂元裕二 作曲:日向大介

しかし、実はこれは記憶の中での出来事であり、過去を振り返っているのです。

想いを通じ合った相手とお互いに共通の話題や、思い出の場所があり、それを大人になった今でも忘れずに覚えています

それを相手にも求めるような歌詞からは、青春時代を思い返し、淡い恋愛をしていた頃を「春」という季節が巡ってきたことで思い返している様子が感じ取れます。

「名前呼び続けて~」というのは、スタジアムの応援で「君」の名前を呼んでいるということでしょう。

野球観戦はとても盛り上がります。

選手がヒットを打ってボールが飛ぶと応援しているファンも大喜びです。

さらにプレイしている選手の名前を呼ぶことで気持ちも盛り上がります。

この主人公も「君」の名前を呼び応援することで楽しい気持ちになったのでしょう。

楽しくはしゃぐ様子がうかがえます。

それほど「君」のことを本当に大切に思っていたようです。

そしてその楽しい野球観戦が思い出だったと記されています。

さて、昔の楽しい恋の思い出を心に浮かべながら主人公は明日の予定を考えているようです。

季節が廻り春がすぐそこまで来ているのでしょう。

思い出の春の情景と、今まさに訪れようとしている春待ちの情景が浮かんできます。

「夕立が晴れて~」というのは、主人公と「君」二人の大切な思い出の場所のようです。

再び青春の回想

長い廊下の向こう 笑う君のシルエット
壁にもたれて聞いてた スパイクの足音
そばにいたら二人 なぜかぎこちなくて
そばにいればもっと わかりあえたはずなのに

出典: 明日、春が来たら/作詞:坂元裕二 作曲:日向大介

そして、ここでも青春を回想する様子が描写されています。

学生時代に過ごした校舎や部活動の様子が思い浮かぶようです。

お互いに気持ちはあったはずなのに、なんだか恥ずかしさが勝ってしまって上手に恋愛ができない初々しさを感じる歌詞です。

描かれているのは「君」のシルエットを遠くから眺めている主人公の姿です。

聞こえるスパイクの音とは「君」が部活動をしている音でしょうか。

表情や姿をはっきりと見ずに音だけを感じている主人公。思い出の中の二人の距離を感じます。

さて、これは思い出の回想です。

今になって思い返せばああすれば良かったと思うことは良くあります。

昔の二人は近くにいればぎこちない関係だったのでしょう。楽しくお喋りができないほど緊張していたのかもしれません。

そんな昔を思い出している主人公は、大人になった今だからこそどうすれば良かったのか分かったようです。

たとえ照れくさくても、そばにいたらわかり合えたと思っています。

沢山話し合うことで互いを理解できたはずだと考えているのかもしれません。

回想から、明日への決意

沈む夕日かすめ 渡された君のウィニングボール
I LOVE YOU 言えなかった 永遠の約束
明日、春が来たら 君に逢いに行こう
夕立ちが晴れて時が 止まる場所をもう一度

出典: 明日、春が来たら/作詞:坂元裕二 作曲:日向大介

しかし、そんなぎこちない恋愛の中、言葉には出来なくてもウイニングボールを渡すことで気持ちはちゃんと伝えていたようです。

主人公は「君」から手渡されたウイニングボールのことを鮮明に思い出しています。

ウイニングボールは勝利の瞬間に選手が掴んでいたボールです。

「君」が打ち込んでいたのは野球ですから、3アウトを取り試合終了したときに使っていたボールのことでしょう。

主人公が見つめる「君」にとっても重要なボールだったはずです。

そんな大切なボールを貰ったけれど、二人がどうしても言えなかった言葉が「I LOVE YOU」でした。

さきほどの解釈では、二人の関係は近くにいるとぎくしゃくしてしまうとありました。

どうやらこの時もあとひと言、言葉が足りなかったようです。

ボールの向こう側には夕日が見えていたのかもしれません。

大切なボールを渡されたシーンは、どうしても言い出せない言葉夕方の情景と共に思い出になったようです。

「君」に会いに行こうと決意している主人公が、明日行こうとしている場所も夕立が関係しています。

もしかしたらボールを渡された日の続きをやり直したいのかもしれません。

あの日をもう一度やり直すための決意

そして名前呼び続けて はしゃぎあったあの日
I LOVE YOU あれは多分 永遠の前の日
明日、春が来たら 君に逢いに行こう
夕立ちが晴れて時が とまる場所をおぼえてる?

出典: 明日、春が来たら/作詞:坂元裕二 作曲:日向大介

明日、春が来たら 君に逢いに行こう
夕立ちが晴れて時が 止まる場所をもう一度

出典: 明日、春が来たら/作詞:坂元裕二 作曲:日向大介

そして、1番のBメロからサビ、2番のサビの後半を繰り返します。

1曲を通して、振り返ってきたことがどんどん鮮明になっていく締めくくりになっています。

そして、「君に逢いに行こう」という強い決意がより強固なものになっていくのを感じる歌詞になっています。

主人公にとって「君」の名前を呼びはしゃいだ日がどれだけ印象深い思い出か伝わってくるようです。

昔の出来事を思い返しながら、もし「君」に再開できたらあの日言えなかったことを伝えたいと思っているのかもしれません。

大人になった今だからこその決意です。

にわか雨が止んで晴れたそのとき、主人公と「君」の時間が止まったように感じたのでしょうか。

二人だけが感じている特別な時間を時が止まったようだと表現することもあります。

思い出の二人の間には確かに特別な何かがあったのかもしれません。

その瞬間を思い出すことにより恋が再び始まる予感がします。