「アザミ嬢のララバイ」について
中島みゆきデビュー・シングル
「アザミ嬢のララバイ」は、1975年9月25日にキャニオン・レコードよりリリースされた中島みゆきのデビュー・シングルです。
アルバム『私の声が聞こえますか』に収録されています。
オリジナル7インチのシングル盤の歌詞カードには、中島みゆきのプロフィールの他に「アザミ嬢のララバイ」を作った時の気持ちなどが書かれています。
宣伝活動ができなかった理由
中島みゆきは札幌出身ですが、5歳の時に北海道岩内に引っ越して11歳まで暮らしていましたが、その後帯広に引っ越しています。
中島みゆきの父親は医師として従事していましたが、51歳の働き盛りの頃に脳溢血で倒れ、昏睡状態になってしまったようです。
父親が倒れた同じ年、中島みゆきは「アザミ嬢のララバイ」でのプロデビューを控えていました。
しかし、父の病があったため、宣伝活動ができなかったということです。
また、その頃数々のグランプリを手にしていた中島みゆきですが、喜べる状態ではなかったといいます。
そして、1976年1月、父親は天国へと旅立っていきました。
医師の家庭といえば裕福な家庭だと思われがちですが、中島みゆきの父親は“赤ひげ先生”のようだったので、決して家庭は裕福ではなかったそうです。
「アザミ嬢のララバイ」より
歌詞とその意味
“ララバイ”とは「子守歌」のことを意味するのですが、この「アザミ嬢のララバイ」の歌詞を見る限りでは、赤ちゃんや子供を寝かせつける時に歌うような内容ではないことがわかります。
早速、歌詞を見ていくことにしましょう。
ララバイ今夜はどこからかけてるの
出典: https://twitter.com/nakajimamiyukik/status/663543680393850881
“ララバイひとりで眠れない夜は”や“ララバイあたしをたずねておいで”などの歌詞があり、4度目のララバイの後には“今夜はどこからかけてるの”と続きます。
このような歌詞から、大人の男性に向かって「眠れない夜だったら私のところにたずねておいで」と誘っていることがわかります。
そして、「私の胸で眠らせてあげる」という歌詞から男性を誘惑していると思われます。
これらの歌詞を見て、純粋な恋愛であるとは到底思えません。
大人の男性と大人の女性、それぞれが過去の恋愛に対する未練や別れなど、暗い背景を抱えているのではないだろうかと想像ができそうです。
そして、次の歌詞をご覧ください。
春は菜の花秋には桔梗
そしてあたしはいつも夜に咲くアザミ
出典: https://twitter.com/miyuki_bot1/status/516709283312828416
“そしてあたしはいつも夜に咲くアザミ”の歌詞からも深い意味が読み取れます。
“アザミ”はトゲがある花として有名です。また、咲いた状態を見ると棒状の花ビラから1つの花ができているようで、形からはとても可愛い花であるとはいえません。
穏やかな春の日差しの中で明るく咲いている“菜の花”やしっとりとした秋の季節に咲く“桔梗”に対して“あたしはいつも夜に咲くアザミ”と「自分はトゲを持つ女です」と表現しているのでしょう。
マイナーな曲だと思わせながらも“春は菜の花、秋には桔梗”ではメジャー進行を取り入れるているので、この部分は明るい曲調になっています。
曲全体が暗いことに対して、菜の花と桔梗で温かさを出そうとする、中島みゆきの独特な魅力が現れています。
また、アザミが本当は夜に花が開くわけではないところから「夜に活動する」という意味を持ってくるところも中島みゆきの上手いところです。
つまり、“水商売の女性”を歌っているのではないかと思われるのです。
「アザミ嬢のララバイ」をカバーしている人は
「アザミ嬢のララバイ」をカバーしている人が何人かいます。
以上の女性がそれぞれのアルバムで「アザミ嬢のララバイ」をカバーしています。