スピッツのシングル「さらさら」とは

スピッツのシングル「さらさら」の歌詞ページ♪ミュージックビデオあり!?の画像

「さらさら」は「さらさら/僕はきっと旅に出る」の両A面シングルとして発売されたスピッツの38作目のシングルです。

「さらさら」がJ-WAVE「春のキャンペーン TOKYO NEW STANDARD」のテーマソングとして起用されたほか、両A面シングルのもう一曲である「僕はきっと旅に出る」もJTBの「夏旅2013」のCM曲に起用されました。

「さらさら」のミュージックビデオ

「さらさら」のミュージックビデオではスタジオでスピッツメンバーが演奏する姿を見ることができます。

収録中の雰囲気が感じられるほか、演奏中の細かい表情や手元が見られるのでファンにはたまりませんね。

「さらさら」の歌詞解釈

前のシングルから約2年8ヶ月ぶりのシングルとなった「さらさら」は東日本震災の影響を受けた歌詞になっています。

この曲が伝えている、震災という悲しい出来事、そして、大切な人を急に失う可能性は誰にでもあるということをいつも忘れないというメッセージは震災から6年経った今こそ大事なのではないでしょうか。

スピッツ楽曲歌詞に関しては、バンドの方針として解釈を聴く人に任せていることで有名なので、この曲に関しても十人十色の解釈が存在すると思いますが、今回もかなり考えて解釈していますので、「さらさら」の歌詞解釈、読んでいただけたら幸いです。

上手くいっていない「君」との関係

素直になりたくて言葉を探す
何かあるようで何もなくて
雨の音だけが部屋をうめていく

出典: https://twitter.com/spitz_nr/status/392317727043362816

恋人と話す度、お互いがお互いの些細な言葉尻にイライラして、うまく会話ができないという経験はありますか?

この冒頭の歌詞は、最近上手くいっていない恋人と、また喧嘩別れして、一人部屋に取り残された男の人の心情です。

「君」と話す時に「素直に」気持ちを伝えるには、どういう「言葉」を使えばいいのかと一人の部屋で考えます。

しかし、別に自分の中に特別伝えたいことが「あるようで何もなくて」空虚な僕には、探している「言葉」は見つからないのでした。

空っぽの心を侵食していくように、「雨の音」が静まり返った部屋を支配していく。

「君」とお互いに素直になるにはどうしたらいいのか、考えても答えが見つからなかった主人公は、気づけば暗い部屋の中で「雨の音」を聞くだけになっています。

「眠りにつくまで側にいて欲しいだけ」

だから眠りにつくまで側にいて欲しいだけさ
見てない時は自由でいい
まだ続くと信じてる朝が来るって信じてる
悲しみは忘れないまま

出典: https://twitter.com/spitz_nr/status/392317727043362816

前の歌詞で「君」へ伝えたいことを考えても「あるようで何もなくて」という結論に達したこの曲の主人公が唯一恋人の「君」に求めていることが、「眠りにつくまで側にいて欲しいだけ」ということでした。

もしかしたら「君」は浮気をしていると主人公が感じるような出来事があったのかもしれません。

しかし、それでも構わないと言っているのです。

一緒にいるときは自分が眠りについて、「君」がいなくなっても気付かなくなるまで「側にいて欲しい」、その後は誰と会っていても構わないからということでしょう。

冒頭の歌詞のように、一人部屋に取り残されて眠れない夜が一番辛いという主人公の心細さが伝わってきます。

多くの人を失った震災の「悲しみ」が忘れられないからこそ、一人が怖い。

こんな不安定な心でも、また夜が明ければ、「朝が来る」、「君」との関係も、人生も「続く」と信じようとしている主人公の姿にどうしようもない儚さを感じますね。

卑屈な言葉でしか「君」に想いを伝えられないけど

的外ればかりまた謝って
ゆがんでいることに甘えながら
君の指先の 冷たさを想う

出典: https://twitter.com/gomasakiko/status/894563713365061633

自分といない間は何をしていてもいいと言いながらも、きっと、今日は別の男とどこかへ行っていたのかなどと「的外れ」なことばかり言って問い詰めてしまい、「謝って」ばかりの主人公。

上手くいっている関係性であれば、些細な嫉妬にも愛を感じて嬉しく思ったりするものですがこの二人の場合そうではありません。

しかし、そんな卑屈な言葉でしか、いつも「君」を想っている、気にしていると伝えられない主人公は「ゆがんでいることに甘え」ているということなのでしょう。

そして、本当は冷えた「君の指先」をいつも温めてあげたいのに、それすら許さない冷えきった「君」の心も伺えます。

相手の心が自分に向いていなくても、どうしても相手から離れられない気持ち、切ないですね。