中森明菜「DESIRE-情熱-」
1986年2月3日にリリースされた14thシングル
「DESIRE」は、1986年にリリースされた中森明菜の代表曲ともいえる楽曲です。中森明菜のシングル曲としては初の作詞となる阿木燿子が担当し、彼女らしい艶っぽい世界が見事表現されていますよね。
もともとはアイドルとしてデビューしながらも、正統派には松田聖子がいたため、「少女A」や「飾りじゃないのよ涙は」など、ちょっと不良的存在感で注目を浴びていました。
そんな彼女が”大人の艶”を纏い出したのがこの曲あたりですね。
この曲は1986年の日本レコード大賞を受賞しました。前年にも「ミ・アモーレ」で受賞しており、史上2組目、女性歌手として2年連続受賞は史上初となる快挙を成し遂げました。
それだけ人気がある楽曲ですから、TBS「ザ・ベストテン」では7週連続1位、日本テレビ「ザ・トップテン」最終回も「歌のトップテン」初回も1位に輝きました。
また「DESIRE」はパイオニア「PRIVATE CD 500AV」のCM曲に起用され、自身初のCMタイアップシングルとなりました。
高橋真梨子や水樹奈々、MAXやJUJUなど多くの有名アーティストにカバーされ、トータル5回も再発盤が登場し長く愛されていることが分かりますね。
中森明菜の希望により、A面収録となった楽曲
「DESIRE」の特徴といえば、AメロやBメロのささやきのような歌い方から、サビの高音域の伸びの良さです。もともと高い歌唱力を持っており、綺麗なビブラートも魅力ですよね。
実はもともとこの曲は、シングルのB面に収録される予定だったそうです。
シングルになる予定だったけれども、惜しくも外れてしまった曲ばかりを集めた「Stock」というアルバムを聴いてもらえれば分かると思いますが、まあ、中森明菜のこの頃の楽曲はどれも名曲ばかりといわれているほどクオリティの高いものばかりだったので、大きな差はないんですけどね。
「DESIRE」がA面収録になったのには、中森明菜自身の強い要望があったからだそうです。
もともとA面の予定だった曲は?
ちなみに、もともとA面に収録されている予定だった楽曲はB面に収録されている「LA BOHEME」です。こちらもミディアムロックなナンバーでカッコいい楽曲ですね。
ただやっぱりイントロの衝撃というのは「DESIRE」の方が強い気がしますね。
中森明菜の個性が光るセルフプロデュース
中森明菜は歌手としてはもちろんですが、セルフプロデュース力も認められているアーティストの一人です。
17歳の時アイドルでデビューしていることを考えると、制作陣など大人のいうことをとにかく必死にこなし、言われた通りにするようなイメージありませんか?
しかし、中森明菜はそのころから確固とした自分の意見を持っていました。芸名「森アスナ」という名前を拒否し本名でデビュー。
そしてそのころから、楽曲制作においても積極的に意見を言い、衣装・メイク・振り付けなどに自分から発言、その奇抜なアイディアにスタッフがたじたじになることもあったそうです。
”艶”を感じられる魅惑のトータルコーデ
「DESIRE」では、英語から始まり「ディスコティック」や「dance」なんて言葉があるにもかかわらず「着物で歌いたい」と言い、あの着物にハイヒールという奇抜なスタイルへと決まったようです。
着物の中には洋服を着用し、派手なアクセサリーやブレスレット・大きなイヤリングなどをつけ、ディスコ感もあり曲をきちんとイメージしています。
「DESIRE」には「欲望」という意味があります。着物はどこかきちんとした清楚なイメージがあるので、その着物を着崩すことで内なる欲望を表現しているのかもしれませんね。
そして、トータルコーデとしては、おかっぱボブも特徴的です。バックで踊るダンサーもおそろいになることが多く、やはりこの曲を表現する一つですね。