おれは夢見たことはないんだ
完璧に自由な世界への扉をノックしよう
(君は孤独じゃない!)
出典: HIT IN THE USA/作詞:ヒダカ トオル 作曲:BEAT CRUSADERS
夢を見たことがない、つまり「アメリカでの成功」は決して夢なんかではない。
ここに想いの強さが表現されています。
夢や憧れや目標ではなく、使命のようなものだというのです。
その使命感を強調するのがサビでの「〜するために生まれてきた」という表現に繋がります。
そこまで「アメリカでの成功」にこだわる理由とは一体何なのでしょうか。
何故「アメリカでヒット」なのか
ポップ・パンク
BEAT CRUSADERSのポップでエネルギッシュな音楽性はポップ・パンクと呼ばれるジャンルに属するものです。
パンク・ロックにメロディアスなメロディを加えたポップ・パンクは90年代にアメリカで誕生しました。
Green Day、The Offspring、Blink-182などがその代表的なバンドです。
それら90年代アメリカのポップ・パンクは欧米のみならず日本でも大流行しました。
その影響下で日本でもポップ・パンクバンドが多く生まれることになります。
その代表的な一つがBEAT CRUSADERSです。
特にBEAT CRUSADERSは英詞で歌う「世界基準のポップ・パンク」を志したバンド。
インディーズ時代からアメリカツアーに出るなど、世界を視野に入れた活動を続けてきました。
その想いが【HIT IN THE USA】を生んだのでしょう。
「アメリカを叩く」という意味も
「hit」という英語には「成功する」という意味合いで使われるヒットの他に「叩く」という意味があります。
メインテーマには「アメリカをぶっ叩くために生まれてきた」という意味も込められてるのです。
ポップ・パンクのルーツであるパンク・ロックは1970年代に誕生しました。
パンク・ロックでは政治的主張や反抗、反発が多く歌われ、その思想こそが核だともいえるでしょう。
パンクをルーツに持つポップ・パンクにも音楽性だけではなくそのパンク精神は継承されています。
そのパンク精神が【HIT IN THE USA】のメインテーマのダブルミーニングに繋がっているのです。
誰がなんて言おうと
噓つきだと言われても
You're gonna say I'm lying
I'm gonna get the chance
I thought a chance is far from me
(You ain't no lonely!)
出典: HIT IN THE USA/作詞:ヒダカ トオル 作曲:BEAT CRUSADERS
誰が何と言おうと、何があっても使命を全うするという強い想いがこの曲には溢れています。
おれのことを嘘つきだと君は言うだろう
おれはチャンスを手にしてみせる
チャンスなんて遠いものだと思っていた
(君は孤独じゃない!)
出典: HIT IN THE USA/作詞:ヒダカ トオル 作曲:BEAT CRUSADERS
途方もなく大きな野望、ましてやそれを使命だなんていうと他人に嘘つき呼ばわりされることもあるでしょう。
それでも絶対に実現させてみせるという強い想いが歌われています。
訪れた「チャンス」はこの【HIT IN THE USA】によるメジャーデビューのことを指しているのかもしれません。
『BECK』の場合は世界最大のロックフェスへの出演の機会のことでしょうか。
バカだと言われても
you're gonna say I'm fool
But now I made it true
How many times I try to be
(You ain't no lonely!)
出典: HIT IN THE USA/作詞:ヒダカ トオル 作曲:BEAT CRUSADERS
愚かだ、バカだと言われてもその想いは変わることはありません。
おれのことを愚かだと君は言うだろう
だけどおれは今実現させてみせた
何度も何度も挑戦したのさ
(君は孤独じゃない!)
出典: HIT IN THE USA/作詞:ヒダカ トオル 作曲:BEAT CRUSADERS
ここではチャンスをものにした、と歌われています。
しかしこの曲がリリースされた2004年当時はまだバンドがどう進んでいくかはわかりません。
『BECK』もまだ漫画連載中で物語がどう進んでいくかわからない状態です。
つまりこの時点ではまだ「アメリカでの成功」は果たされていません。
なのでこの部分で重要なのは「try」というワードだと考えられます。
諦めず挑み続ければいつか届く、という想いが込められているのです。