渋谷 渋谷 渋谷だけが
いつも私の話を聞いてくれるから
今日も 今日も 今日もここで
なぜだか泣けて来るんだ
出典: 渋谷ブルース/作詞:秋元康 作曲:佐藤嘉風
主人公は虚しさをかかえ、毎日渋谷にきているようです。
渋谷は雑多な空気で主人公を迎えてくれます。
ここにくれば、自分は名前のないただの人間になれるのではないでしょうか。
家や学校では常に役割を与えられ、周囲が期待するように振る舞わなければなりません。
それは時に重荷となって、私たちの心を疲れさせます。
主人公はとっても真面目な人なのだと思うのです。
きっと家族にも大切に育てられてきたのだけれど、なぜか周囲と噛み合わなくなってきてしまった。
それはなぜなのでしょうか?
主人公には自我が目覚めてきたのではないかと思います。
「私とはなにか、私はこれからどう生きていくのか。」
強烈な疑問が心の底から突き上げてきます。
上を向いて
空の青さに道を見失って
声を上げたくなった
出典: 渋谷ブルース/作詞:秋元康 作曲:佐藤嘉風
主人公がふと上を向くと、真っ青に広がる空が目に飛び込んできます。
何者にも縛られていない空は、この地球すべてに広がり国境がありません。
そもそも空には道すらないのです。
もちろん空には領空というものが存在し、他国の戦闘機等が入ると大問題になります。
ですが、空本来は誰のものでもなく無限の広がりを見せています。
これはすべて対して言えることではあるのですが、主人公は青い空を見たときはっと気がついたのでしょう。
そして今までの自分の殻を打ち破って叫びたくなったのではないでしょうか。
空の美しさに共鳴して、自分の心まで洗われていったのかもしれません。
今日もどこかで
渋谷 渋谷 渋谷だけが
どんな嘘でも本音も曝(さら)け出せるよ
明日も 明日も 明日もきっと
私はここにいるだろう
渋谷で歌うブルース
出典: 渋谷ブルース/作詞:秋元康 作曲:佐藤嘉風
主人公にとって、唯一の親友は渋谷だったのかもしれません。
学校もなんとなく馴染めない、違和感がある毎日。
それはとても辛いことだと思うのです。
学校が合わないことはわかっている。
でも、学校に行かなくてはいけないこともわかっている。
主人公はとても賢い女性なのだと思います。
そして、渋谷に来ることで自分なりに満たされない日常に折り合いをつけているのでしょう。
少しせつない思いがします。
ブルースとはそもそも、この抑圧された精神を発散する音楽なのかもしれません。
女子高生の日常をブルースで歌いあげるという演出がにくいですね。
誰の心の中にもブルースはあるのかもしれません。
主人公が渋谷で涙を流すことそのものが、魂を浄化して生きていく活力となっているのではないでしょうか。
おわりに
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