成長した「僕」の姿

小さな机で描いた パステルカラーの未来は
滲んで燃えてった
大きなカバン背負うほどに ノンフィクションが広がって
憧れのボクは何処?

出典: ドリームキラー/作詞:わか 作曲:かいりきベア

1番にも「机」というフレーズが登場しました。

これに付随する言葉を見ることで、年月が経ち「僕」が成長したことがうかがえます。

1番では、広がるという言葉が使われていました。

「大きい」「広い」というイメージが連想できると思います。

ですがここでは、机は小さい

「僕」にとって、机が狭くなったのです。

これは身長が伸びるなどして、「僕」が成長、進級したことを象徴しているのでしょう。

成長は一般的に喜ばしいことですが、「僕」からは幸せそうな雰囲気が感じられません。

バッグに入っているものは一体なんでしょうか。

進級すれば、使う教科書が増えます。

成長すれば視野が広がって、様々なものが見えるようにもなるでしょう。

「僕」は現実や、固定観念を身につけて、ますます本来の自分から離れているのです。

「僕」は理想の自分、「ボク」を見失ってしまっています。

ここで登場する「ボク」はカタカナ表記で、「僕」と区別されているようです。

「ボク」は「君」と同じく、本来の自分を指す呼び名だと思われます。

忘れる手前で

目の前に広がる世界を 受け容れなよって
妄想?創造?シャボン膨らませ
君と観たい観たい観たい だからそっと
集めたフィルム ポッケつめて
壊れてゆくユメ忘れたくないよ
居たい居たい居たい この世界で
生まれた理由 見つかるまで
ボクが生きたユメの痕を消さないで

出典: ドリームキラー/作詞:わか 作曲:かいりきベア

夢や希望は、本来の自分に繋がる手がかりのようなものです。

「僕」は自分の現状に危機感を持ち、本来の自分を忘れまいとしています。

重要なのは、集めたものを手に握らず、ポケットに収めること。

ポケットの中身は、外側からは見えません。

両手は空いているので、自由に使うことができます。

けれども、ポケットの中身がなくなったわけではありません。

つまり「僕」は、本来の自分と現実に折り合いをつけようと試みているのです。

夢を完全に捨ててしまえば、「僕」は本来の自分を忘れることになります。

けれど両手に持ち続けていれば、誰か、そして自分の批判を受けてしまう。

だからこっそりポケットに入れて、持ち続けようとしているのです。

本当に忘れてしまった

エゴイズムだと切り捨てた
そうだって そうだっけ? キミを忘れてゆく
明日は来ない来ない来ない それはずっと
当たり前の日常で
鏡に映る僕は誰?

出典: ドリームキラー/作詞:わか 作曲:かいりきベア

しかし「僕」の努力も虚しく、理想の自分は遠くに消え去ろうとしています。

1番にも「明日」というフレーズが登場しました。

これは未来を象徴した言葉だと思われます。

私たちが生きているのは常に「今、この瞬間」であり、本当は明日すらも未来の一部なのです。

ですが固定観念に縛られた「僕」は、ありきたりな毎日の中で淡々と過ごしています。

鏡を覗けば、「僕」そのままの顔が映るのが普通。

ところが、「僕」自身のことも分からなくなるほど、自分自身から離れた生き方をしています。

思い出すことへの願い

ユメは期待期待期待 いつかそっと
思い出してよ 粉々の
フィルムの中 祈望に満ちた
嫌い嫌い嫌い それは僕が
君まで疑って
ドリームキラーは自分自身で
ミライを照らす 君の言葉が欲しいんだよ

出典: ドリームキラー/作詞:わか 作曲:かいりきベア

「僕」は一時的にでも、本来の自分を忘れてしまったかもしれません。

ところが「忘れた」だけで、「消えてしまった」わけではない。

本来の自分、つまり「君」は、まだ「僕」の心の中にいるのです。

加えて、「君」への手がかりも残っています。

ポケットに隠されたフィルムです。

「僕」は周りや自分からの批判に負けず、希望を持ち続けることができるかもしれません。

ドリームキラーの正体と、最後のフレーズ

わか/IMBK【ドリームキラー】歌詞の意味を解説!捨てた夢はどこで見つかる?君に求める言葉を紐解く!の画像

さて、最後になりますが、一体「ドリームキラー」とは誰のことだったのでしょうか?

見方を深めていくと、実はドリームキラーは2人いた可能性が見えてきます。

正体1  周りの大人たち