否定をし続けていれば…
君に嫌われた後で
僕は僕を好きでいられるほど
阿呆じゃなかった
出典: 雨と僕の話/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
自分に対する謎かけのような歌詞が出てきました。順番に読み解いていきましょう。
まず君が僕を嫌いになって恋が終わったということは分かっているようですね。
君に嫌いと言われた僕。
そんな僕を僕自身が好きになるなんてことはあり得ないと思っているのでしょう。
君から嫌われる僕を僕が好きになるほど「阿呆」ではないことも自覚しているようです。
嫌いになった原因は僕にあるのだから僕を嫌いになることで君に謝ることができれば…。
今更口にしても僕の思いは君に届かないことも分かっているはずです。
混乱をしている様子は、失恋の痛手の大きさに打ちのめされているようにも見えますね。
君を嫌いになることは決して無いことを僕は分かっているのでしょう。
崩れていくものは
恋する気持ちや愛していることが形になっていれば…。
見えないからこそ大切にしていたはずです。
信じていたものが
どうして ああ どうしてだろう
もとから形を持たないのに
ああ 心が ああ 繋がりが 壊れるのは
出典: 雨と僕の話/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
終わった恋に打ちのめされた僕はまだ自分に問いかけています。
「形」になって見ることはできなくても交わしていたお互いの思い。
見えなくても心がつながっていることが君との恋だったと信じていたのでしょう。
僕に渡してくれた愛の分量が見えていたら僕はそれ以上の愛を君に返すことができたのに。
心にある君への思いを箱に入れて贈れば、君を喜ばせることができたのかもしれない。
見えないからこそ大切にしていた結びつきが「壊れる」ことを止めようとしても間に合いません。
誰ともつながらない心は支えを失くして崩れ落ちるように崩壊を始めたようです。
最後に突き付けられた現実が終わった恋をより悲しいものにしています。
僕だけが違っていた
君が触れたもの 全部が優しく思えた
例外は僕だけ もう君は見えない
出典: 雨と僕の話/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
ここでも自分への謎かけ問いかけを歌詞にしています。
でも悩み迷ったこれまでよりはシンプルに答えを出しているようです。
僕は君が「触れる」すべてが「優しい」と思っていました。
君が手にしたものは温かく思いやりに満ちているものばかりと思っていたのでしょう。
もちろん僕もその中に入っていると自分で認めていたのでしょうね。
でも君と離れたことで、唯一優しさが無かったのは僕だったことを思い知りました。
君の温もりと一緒にいる僕は幸せだったはすです。
今はすべてが僕の前から消えていきました。再び温もりある世界に僕は戻れないでしょう。
僕にだけではなく誰にでも優しかった君はもうどこにもいません。
何処にでもあるありふれたこと
悲しみに沈む中何とか立ち直る方法を探ります。
もう一度終わった恋と向き合うことを試みたようです。
きっと誰もが経験していること…
今となれば ただ ありきたりなお話
言葉にはできない そう思っていたのに
終わったのさ ただ 君と僕の話が
エンドロールは無い あるのは痛みだけ
出典: 雨と僕の話/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
僕にしてみればすべてを費やすような熱い恋愛体験だったのでしょう。
でも終わってしまえば恋を俯瞰して見ることも可能になるようです。
終わった恋を「ありきたり」だったと自分に納得させようとします。
失恋なんて一度は誰もが経験をしているはず、今回の恋もその中の一つに過ぎないのです。
「言葉」で表せないものは恋をしていた時の僕と君の心なのでしょう。
終わってしまった恋を「エンドロール」を流して振り返ることはしたくありません。
「無い」ときっぱり拒否をしたのは自分が独りで歩き出すためなのでしょう。
思い出は僕の心の中だけにあれば良いことだから。
「痛み」さえも愛おしい思い出になっていくことを信じているのでしょうね。